村上慧・理学部教授による「アルキニルアンモニウム塩のラジカル官能基化」の研究がPrecision Chemistryに掲載されました
関西学院大学理学部の村上慧教授と榊原陽太助教らの研究グループが、可視光を利用して「アルケニルアンモニウム塩」に多様な炭素鎖を導入する新しいラジカル反応を開発し、その研究成果が『Precision Chemistry』に掲載されました。
アルケニルアンモニウム塩は、正電荷をもつアンモニオ基が炭素-炭素二重結合に結合した化合物です。この二重結合は電子不足であるため、ラジカルを受け入れる反応点として利用できると考えられますが、これまでラジカル反応への応用は十分に研究されていませんでした。本研究では、可視光フォトレドックス触媒とハロゲン原子移動(XAT)または水素原子移動(HAT)を組み合わせることで、多様な原料からアルキルラジカルを発生させ、アルケニルアンモニウム塩の二重結合に付加させることに成功しました。これにより、温和な条件下で、さまざまな炭素骨格をもつ第4級アンモニウム塩を効率的に合成できるようになりました。
本反応は、多様なアルキルラジカル前駆体に適用できるだけでなく、シクロプロパン環の構築や複雑な分子の合成終盤における官能基導入にも利用できます。さらに、得られた第4級アンモニウム塩を同一容器内で脱メチル化することで、第3級アミンへ変換できることも示しました。本研究により、アルケニルアンモニウム塩が光触媒ラジカル反応における新たな合成素子として活用できることが明らかとなり、医薬品や機能性分子に含まれる多様な第4級アンモニウム塩および第3級アミンの効率的な合成への応用が期待されます。
雑誌名:Precision Chemistry
論文タイトル:Photocatalytic Radical Functionalization of Alkenylammonium Salts
著者:Aoi Yoshita, Kohiro Shimozawa, Tomohiro Fukushima, Yota Sakakibara*, Kei Murakami*(*責任著者)
DOI:10.1021/prechem.6c00029
https://doi.org/10.1021/prechem.6c00029