2023.05.26.
貴金属・希少金属、毒性元素を用いない 高効率な二酸化炭素変換光触媒を開発

-元素戦略を指向したカーボンニュートラル技術として期待-

要点

○貴金属・希少金属や毒性元素を使用しない、新しいCO2変換固体光触媒を開発。
○可視光を駆動力としてCO2を変換。
○過去最高レベルの性能でCO2をギ酸に変換することに成功。

概要

  東京工業大学 理学院 化学系の鎌倉吉伸特任助教(研究当時)と前田和彦教授、関西学院大学 理学部 化学科の田中大輔教授らの研究グループは、金属-有機構造体(用語1)からなる固体光触媒を開発し、可視光を利用してCO2からギ酸(用語2)を高い選択率(用語3)かつ高いみかけの量子収率(用語4)で得ることに成功した。
  光エネルギーを化学エネルギーへと変換する光触媒としては、可視光で駆動する高性能なCO2還元光触媒である金属錯体が知られている。しかしその多くは希少金属や貴金属を主成分としているため、資源制約やコストの観点から、普遍元素からなる固体光触媒の開発が求められていた。
  研究グループは、スズを中心金属とする金属-有機構造体に注目し、CO2変換の固体光触媒として応用したところ、この触媒が可視光照射により構造変化を起こしながら、99%以上の選択率でCO2をギ酸へと変換することがわかった。またみかけの量子収率は、貴金属・希少金属を用いずにCO2をギ酸へと変換する、従来の単一成分固体光触媒の3.6倍の値を示した。本研究で得られた成果は、金属-有機構造体をプラットフォームとした、貴金属・希少金属を用いないCO2変換の固体光触媒の新たな材料設計指針を与えるものと期待される。
  研究成果は5月8日、ドイツ化学誌「Angewandte Chemie International Edition」にて、オンライン版が速報として掲載された。

お問い合わせ先

【研究者連絡先】 
東京工業大学 理学院 化学系 教授
前田和彦
Email: maedak@chem.titech.ac.jp
TEL: 03-5734-2239
FAX: 03-5734-2284

関西学院大学 理学部 化学科 教授
田中大輔
Email: dtanaka@kwansei.ac.jp
TEL: 079-565-7440
FAX: 079-565-7454


【報道連絡先】 
東京工業大学 総務部 広報課
Email: media@jim.titech.ac.jp
TEL: 03-5734-2975
FAX: 03-5734-3661

関西学院 広報室 企画広報課 
E-mail: kg-koho@kwansei.ac.jp
TEL: 0798-54-6017
FAX: 0798-51-0912

 

(共同リリース・関西学院)貴金属・希少金属、毒性元素を用いない高効率な二酸化炭素変換光触媒を開発PDFリンク