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松田祐介・生命環境学部教授による海洋光合成に関する研究が2026年度科学研究費助成事業【基盤研究(S)】に採択されました

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松田祐介・生命環境学部教授による海洋性珪藻の光合成のメカニズムを解明する研究が、2026年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)【基盤研究(S)】に採択されました。
基盤研究(S)は、独創的、先駆的な研究を格段に発展させるために設けられており、研究期間は原則として5年間、研究費の申請総額は5,000万円以上2億円以下とする大型研究種目です。

松田教授の研究課題
二次葉緑体アーキテクチャーが最適化する海洋光合成の分子基盤

研究の概要
珪藻は地球上のCO₂固定の約20%を担う重要な光合成微生物です。珪藻の葉緑体は紅藻という光合成微生物が二次共生して生まれたもので、その中心部にはピレノイドと呼ばれる、CO₂固定化酵素ルビスコが凝集した小器官を持ちます。松田教授らの研究グループは最近、ピレノイドを形作る骨格構造タンパク質、Pyrenoid Shell (PyShell)を発見しました。PyShellは葉緑体で初めて発見された骨格タンパク質であり、 “PyShell型ピレノイド” を持つ二次葉緑体の代謝が、この骨格構造を持つことによって、いかに効率的に最適制御されるかを分子のレベルで詳細に解明することを、本研究の目的としています。

期待される効果
油脂蓄積能の高い珪藻はバイオ燃料生産で注目を集めていますが、生産コストの壁は依然大きく課題となっています。本研究の成果はブルーカーボン(沿岸・海洋生態系が光合成によりCO₂を取り込み、その後海底や深海に蓄積される炭素)の生産に向けて、格段に深化した分子・情報基盤となります。
また、地球温暖化により変動する海洋で食物網を支える珪藻の生産力が、どのような理由でいかに変動するかを明確に示す分子指標・機構がこの研究から得られることも期待されます。

松田教授のコメント
海洋における二酸化炭素固定の分子メカニズムについて、関学に赴任して以来取り組んで参りました。この研究は世界に先駆けて開始し、独創的に決まってるでしょ?という矜持で取り組んで来ましたが、当初はむしろ「なに変な研究をやってるんだろ?」という衆目を圧倒的に感じておりました。しかし、めげることなく関学生と共に、研究を発展させ、海洋の光合成や葉緑体の色々な新しい知見を世界に発信できました。そのため、このほど、このような研究助成に採択されたこと、感慨深くまた身が引き締まる思いです。これで、さらに自由な発想で、これからの研究を推進できる環境が整ったわけです。今までにも増して、「関学から世界へ」独創的な研究成果を発信していきたいと意気込んでおります。