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2026.06.25

加藤雅俊・経済学部教授らによる「ユーザー起業家による創業時資金調達への影響」に関する研究成果が、『Economics of Innovation and New Technology』に掲載されました

于冲さん(商学研究科博士後期課程)と加藤雅俊・経済学部教授(アントレプレナーシップ研究センター長を兼任)が、ユーザー起業家による資金調達におけるシグナリング効果に関する研究成果を発表し、その研究成果が2026年6月7日付で、『Economics of Innovation and New Technology』に掲載されました。

両氏の研究は、自らの利用経験から生まれたアイデアを事業化する「ユーザー起業家」が、創業時の資金調達において投資家からどのように評価されるのかを、シグナリング理論の観点から明らかにしたものです。起業家が持つ利用経験(需要側の人的資本)は外部からは直接観察できないため、投資家に伝わるには何らかの「コストのかかる行動」を通じたシグナルが必要になります。日本のスタートアップ企業を対象とした独自の調査データを分析した結果、製品・サービスの専門的な利用者として起業した経営者(プロフェッショナル・ユーザー起業家)は、利用経験のない起業家と比べて外部資金、特に株式による出資を受けやすいことが分かりました。一方、一般消費者としての利用経験から起業した経営者(エンドユーザー起業家)については、利用経験のない起業家との間に有意な差は見られませんでした。これは、専門的な利用経験が「高いコミットメントを伴うシグナル」として機能し、投資家との間の情報の非対称性を他の経験よりも効果的に軽減することを示しています。

スタートアップの資金調達は、事業の将来性を外部の投資家に正しく伝えることが難しいという「情報の非対称性」の問題を抱えており、有望な事業が必要な資金を得られずに成長の機会を逃してしまうケースが少なくありません。本研究の成果は、「イノベーティブであること」自体は資金調達の決め手にはならず、起業家自身の人的資本に基づく信頼できる質のシグナルが伴って初めて評価されるという知見を示すものであり、起業家がどのような経歴・経験を発信すべきかを考える上での一助となることが期待されます。また、ベンチャーキャピタルや金融機関など資金提供者側にとっても、有望な起業家を見極めるための新たな視点を提供するものです。今後は、こうした知見をもとに、ユーザー起業家の事業がその後どのように成長していくのかについても、継続的に分析を進めていく予定です。

雑誌名:Economics of Innovation and New Technology
論文タイトル:To be innovative is not enough: the signaling value of user entrepreneurship in start-up financing
著者:Chong Yu、加藤雅俊
DOI:10.1080/10438599.2026.2678935

Researcher's Information 研究者情報

経済学部 教授
加藤 雅俊さん

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