佐藤寛・文学部教授がAssociation for Behavioral and Cognitive Therapies 59th Annual Conventionで "Development of the Japanese version of the Multidimensional Test Anxiety Scale (MTAS-J) Examination of Its Reliability and Validity" をテーマに発表を行いました

佐藤寛・文学部教授は、2025年11月20日から23日にかけて、アメリカ・ニューオリンズで開催されたAssociation for Behavioral and Cognitive Therapies 59th Annual Conventionにおいて、文学部卒業生の川﨑紗和子さんと共同で "Development of the Japanese version of the Multidimensional Test Anxiety Scale (MTAS-J) Examination of Its Reliability and Validity" をテーマに発表を行いました。

本研究では、日本の高校生1,332名を対象に、テスト不安を多面的に測定するMultidimensional Test Anxiety Scale（MTAS）の日本語版を作成し、信頼性・妥当性を検討しました。
分析の結果、確認的因子分析により許容できる適合度が示され、内的一貫性も概ね十分でした。再検査信頼性は合計得点では良好でしたが、下位尺度では一部に十分でないものも見られました。妥当性については、既存のテスト不安尺度と強く関連し、さらに不安とは強い相関、抑うつとは中程度の相関、学校適応とは弱いもしくはほぼ無相関というパターンが示されました。学業成績との関連では、総得点は弱い負の相関を示し、とくに「認知的干渉」の下位尺度は中程度の負の相関を示しました。

このように、MTASは日本の高校生におけるテスト不安を多面的に評価できる尺度として、ある程度の信頼性と妥当性を示すことが確認されました。今後は基礎研究だけでなく、介入研究や学校現場での教育実践におけるアセスメントとして貢献することが期待されます。