2025.09.26
佐藤寛・文学部教授が日本認知・行動療法学会第51回大会で「大学生の抑うつ症状ネットワークに対する簡易型集団マインドフルネス介入の効果」をテーマに発表を行いました
佐藤寛・文学部教授は、2025年8月23日から24日にかけて大阪府で開催された日本認知・行動療法学会第51回大会において、文学研究科博士課程前期課程修了生の高階光梨さんと共同で「大学生の抑うつ症状ネットワークに対する簡易型集団マインドフルネス介入の効果」をテーマに発表を行いました。
本研究では、大学生を対象に週1回90分、全5回の簡易型集団マインドフルネス介入を実施し、介入前後の抑うつ症状の変化を心理ネットワークアプローチによって分析しました。分析の結果、介入前後を通じて「身体症状」が抑うつ症状ネットワークの中心的役割を果たしていることが示されました。また、「ポジティブ気分の減退」は介入前には他の抑うつ症状とネットワークの結びつきが見られましたが、介入後にはこの結びつきは消失していました。抑うつ症状にはさまざまな症状が含まれますが、症状同士のネットワークの結びつきが強いと症状が連鎖的に増悪していく可能性があることから、介入によって抑うつ症状ネットワークの結びつきを弱められることは有望な結果と言えます。
心理ネットワークアプローチは近年注目されている新しいデータ解析法であり、心理療法の開発や効果検証に新たな視点がもたらされることが期待されています。今回の発表は、大学生の抑うつへのマインドフルネス介入の適用可能性や、心理ネットワークアプローチの応用に新たな示唆をもたらすものとなりました。