第3回「こどもみらいフォーラム」に関西学院高等部・大学・大学院生が登壇
―当事者世代の声から、こどもが生きやすい社会を考える―
2026年5月30日、大阪市の住友生命いずみホールで、第3回「こどもみらいフォーラム」(主催:一般財団法人住友生命福祉文化財団、読売新聞大阪本社)が開催されました。こどもの貧困や不登校といった課題が顕在化する中、当事者であるこども・若者の声は、どれほど社会に反映されているのかという問いに向き合い、「こどもによるこどものためのフォーラム」をテーマに、こどもと大人がともに考える場として開催されました。当日は基調講演に加え、こども・若者世代による研究発表とディスカッションが行われ、本学高等部、大学、大学院生が登壇し、会場とオンラインを合わせて約800人が参加しました。
第1部では、芸人として活動しながら講演活動も行う田村裕さんが登壇しました。「将来の不安を取り除けるかもしれない講演会」と題する講演では自身の経験をもとに、困難と向き合う中で大切にしたい考え方を語りました。苦しさの原因を一人で抱え込むのではなく、「自分を責めすぎないこと」が大切であると強調。「人生にはさまざまな出来事が起こりうるなかで、それをどのように受け止めるかが次の一歩につながる」と述べました。また、「自分を許し、前を向くことが未来につながる」と語り、状況にとらわれず前向きに歩み続ける姿勢の重要さを伝えました。温かく前向きな語り口で、聴衆に寄り添いながら希望を示す講演となりました。
続く、第2部では本学の高等部、大学、大学院生が研究成果を発表しました。 最初に、高等部の木曽元樹さんと石原拓海さんは、探究福祉として取り組んでいる「体験格差から見る子供の貧困」をテーマに発表しました。経済状況や家庭環境の違いが体験機会に影響し、将来の格差にもつながる可能性を指摘しました。「これまで当たり前だと思っていた体験活動は、決して当たり前ではない」という実感から調査・研究を行い「体験格差は親から子へと連鎖してしまう」と問題提起。子ども食堂での工作イベントの実施や、保護者への啓発活動を通じて、体験機会の拡充に取り組む必要性を示しました。
次に、社会学部の森田初葵さんは「不登校の今とこれから~社会とつながる経験~」をテーマに、自身の不登校経験をもとに、不登校を社会課題として捉え直しました。「不登校は特別な子どもにだけ起こる問題ではなく、誰にでも起こりうる身近な問題」と強調し、「学校以外の社会の中に、いくつも成長のルートを増やすことが必要」と提言。学校以外の居場所や多様な選択肢が、こどもの成長を支える基盤となることを示しました。
最後に、大学院人間福祉研究科の岡﨑真結さんは、「生活困窮者自立支援制度における子どもの学習・生活支援」と題し、生活困窮世帯のこどもを対象とした学習・生活支援について、現場での実践を踏まえて報告しました。「本事業では大きく3つの役割がある」として、①こどもたちが安心して過ごせる「居場所」としての役割、②生活習慣の形成や学校復帰などにつながる生活リズムの改善、③進学や将来への関心を広げるきっかけづくり、の3点を提示しました。また、支援の場を通じて、こどもたちが将来について語り始める変化にも触れ、学びと生活の双方を支える包括的な支援の重要性を示しました。
第3部では、田村さんと学生プレゼンターによる「こどもとおとなが共に考えるディスカッション」が行われました。議論では「こどもたちが生きやすい社会とは何か」をテーマに、当事者の声にどう向き合うかが問い直されました。森田さんは「100人不登校の子どもがいれば、100通りの理由がある」と述べ、原因を一つに還元することの難しさを指摘。これを受けて田村さんも「原因を突き止めるのではなく、どうアプローチしていくか」が重要だと応じ、こども一人ひとりに寄り添う支援のあり方について議論が深まりました。
本フォーラムは、こどもを取り巻く課題について参加者とともに考える機会となりました。登壇した生徒・学生にとっても、自らの経験や研究を社会に向けて発信し、多様な立場と対話する中で新たな気づきを得る貴重な機会となりました。こうした実践を通じて得られた経験は、こどもの未来について社会とともに考えていくための大きな一歩となりました。