K.G.

十河巌の企画展を記念した講演会を開催

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2025年11月6日、西宮上ケ原キャンパスの大学図書館ホールにおいて、「十河巌と朝比奈隆―協同の場としての朝日会館、そしてその外へ―」をテーマとする講演会を開催しました。

本講演会は、関西学院大学博物館で企画展「美術と文芸シリーズ 十河巌がつくる文化の庭―戦後の大阪朝日会館とアートプロデュース―」が、10月20日から開催されていることを記念したもので、26名が参加しました。

講師を務めたのは、本学卒業生で音楽学を専門とする同志社女子大学の小味渕彦之准教授です。小味渕准教授は、十河巌の経歴について、関西学院を1928年に卒業後、朝日新聞で記者などを経て、1946年に朝日会館の館長となったことを紹介し、「館長という職務の中で芸術団体の設立を支援し、演奏会などのプロデューサーとして、戦後の関西の芸術文化の基礎をつくったといっても過言ではない。戦後すぐに大規模な演奏会が行われたことは珍しく、会場周辺に長蛇の列ができるなど、世の中の関心も高かった」と十河の功績を語っていました。また、十河が指揮者である朝比奈隆と親交を深める中で培われた信頼関係が、関西の芸術文化の発展に繋がったことが紹介されました。

十河が館長を務めていた朝日会館について、「1926年に開館し、36年という短い期間であったが、十河による『文化の庭』という言葉が示すように、戦前から戦後の大阪における中心的な役割を果たした総合文化施設だった」と説明したうえで、「校歌『空の翼』を作曲した山田耕筰の演奏会が開催され、学内団体が様々な機会に使用するなど、関西学院とも深い関係があった」と話していました。

大阪府八尾市に住む20代の女性は、「大学で音楽学を専攻しているので興味があり、参加しました。現代音楽を学んでいるのですが、礎となる過去の音楽史について知ることができ、今後にいかすことができそうです」と話していました。

芦屋市に住む80代の男性は「学生時代に、十河さんの親族に勉強を教えていただいた縁で参加しました。私も関学の卒業生ですが、十河さんの芸術界への貢献を知り、誇らしいです」と話していました。

企画展「美術と文芸シリーズ 十河巌がつくる文化の庭―戦後の大阪朝日会館とアートプロデュース―」は12月13日まで開催しています。