児島幸治・国際学部教授の研究グループが2025年度個人特別研究費「ファミリービジネスのレジリエンス(回復力)・長期的指向に関する実態調査」の支援のもと、日本全国の同族経営旅館を対象とした訪問調査を実施しました。
児島幸治・国際学部教授の研究グループが2025年度個人特別研究費「ファミリービジネスのレジリエンス(回復力)・長期的指向に関する実態調査」の支援のもと、日本全国の同族経営旅館を対象とした訪問調査を実施しました。
本研究は、日本に多数存在する長寿ファミリービジネスの中でも、特に地域社会に根差した同族経営旅館に着目し、その経営実態、経営課題、地域経済との関係、さらには世代継承や経営革新のプロセスを明らかにすることを目的としています。近年、日本の旅館業はインバウンド需要の増加による観光ブームの恩恵を受ける一方で、設備投資負担の増大、後継者不足、労働力不足、外資系ホテルとの競争激化など、多くの構造的課題に直面しており、倒産や事業再編も増加しています。
本年度は、石川県の金沢辰口温泉「まつさき」、東京都の「ホテルかずさや」、長野県の「旅館わらび野」や「仙仁温泉岩の湯」、愛媛県の「道後温泉ふなや」、北海道の「知内温泉ユートピア和楽園」など、日本各地の計12旅館に対して現地訪問を行い、経営者や従業員へのインタビューおよび現場観察を通じて質的データの収集を行いました。
これらの調査により、同族経営旅館は長期的志向や地域との強い結びつきといった強みを有する一方で、財務体質の脆弱性、事業承継問題、組織改革の遅れといった課題を抱えていることが明らかとなりました。また、ファミリービジネス研究における社会情緒的資産理論やエフェクチュエーション理論の観点から、各旅館における意思決定や経営行動の特徴を分析しました。
本研究の成果は、2026年度末に本学産業研究所『産研論集』に掲載予定の企画論文として採択されており、さらに2027年度中の書籍としての出版も予定されています。今後は、質的調査に加えて量的分析を行い、同族経営旅館の持続可能な経営モデルおよび地域創生への貢献に関する理論的枠組みの構築を目指します。