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2026.03.31

田村守・理学部専任講師らの電子的禁制遷移における単一分子TERSの理論研究がNano Lettersに掲載されました ~ 分子の“指紋”に新しい見分け方 - 1個の分子の中に現れる模様の違いを捉える

関西学院大学理学部の田村守専任講師、大阪大学大学院基礎工学研究科博士後期課程(当時)の五十川弘行氏、立命館大学総合科学技術研究機構の石原一教授らの研究チームが、電子共鳴条件下の単一分子の先端増強型ラマン散乱(TERS)計測において、電子的禁制なラマン経路による振動モード識別の新しい機構を理論的に提案し、その成果が2026年3月16日、Nano Lettersに掲載されました。
TERS顕微鏡による単一分子計測では、分子固有の「指紋」スペクトルが空間的な模様として観測されますが、電子共鳴ラマン散乱における電子状態の空間分布を考慮した理論はこれまでなく、許容遷移のみを対象とするに留まっていました。本研究では電子状態の多重極構造を明示的に取り入れた電子共鳴ラマン理論を構築することで、従来は光学的に禁制とされてきたラマン経路が電子共鳴条件下で活性化し、実験的に区別が困難な振動モード間の差異が、異なる空間的模様として顕在化しうることを示しました。
この成果は、機能性有機分子や低次元材料系における電子・振動状態の精密計測に新しい理論的指針を与えるものです。

雑誌名:Nano Letters
論文タイトル:Electronically Forbidden Raman Pathways Create a New Contrast Mechanism in Single-Molecule TERS
著者:Hiroyuki Ikagawa, Mamoru Tamura*, Hajime Ishihara*
DOI:10.1021/acs.nanolett.5c06490

Researcher's Information 研究者情報

理学部 専任講師
田村 守さん

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