宗景ゆり・生命環境学部教授らがC4光合成における光化学系I循環型電子伝達の生理機能を解明した研究論文が「Plant Physiology」に掲載されました
宗景(むねかげ)ゆり・生命環境学部教授らがC4光合成における光化学系I循環型電子伝達を解析した研究論文が「Plant Physiology」に掲載されました(2026年2月9日付で受理)。
この研究では、C4光合成において光合成エネルギー生産や光障害の防御に、光化学系I循環型電子伝達が重要な役割を果たすことが明らかになりました。多くの被子植物がもつC3光合成では、光化学系I循環型電子伝達は、直鎖型電子伝達を補助的に調節する経路として機能することが知られています。本研究では、C4種Flaveria bidentisを用いて光化学系I循環型電子伝達に関わる二つの経路の活性を失った二重発現抑制株(PGRL1遺伝子およびNDHO遺伝子)が解析されています。CO2濃縮機能を備えるC4光合成では、代謝反応に多くのATPを必要とします。この二重発現抑制株を使った解析から、C4植物は、電子を循環させてATPを合成するためのプロトン濃度勾配を形成し、光合成を最適化していることが明らかになりました。さらに、この二つの循環型電子伝達活性により、光化学系Iの電子受容体の過還元により起こる光傷害が、防がれていることが示されました。これは光化学系I循環型電子伝達活性が、C4植物において光エネルギーが最大限に利用して乾燥や高温条件下でも高い光合成活性が維持できる役割を担うことを示しており、作物の高温や乾燥耐性を強化させる分子育種への応用が期待されます。
雑誌名:Plant Physiology
論文タイトル:Cyclic electron flow around photosystem I provides energy production and photoprotection in C4 plants
著者:Asuka Nakamura, Takako Ogawa, Ginga Shimakawa, Ryouhei Kobayashi, Toshiharu Shikanai, Yuri N. Munekage
DOI: 10.1093/plphys/kiag146