Interviews 卒業生 大学院 国連・外交コース 卒業生の声②

アフリカ随一のポテンシャルと多様性を誇るナイジェリア。公共サービスの乏しさ、気の遠くなるような貧富の格差等多くの問題も抱えています。私は今、首都AbujaにあるJICA事務所で、国民一人一人が豊かで安心して暮らせる国創りに不可欠な行政サービスや社会基盤を整備するお手伝いをしています。 例えば教育分野では、18百万人と言われる学校に行けない子ども達の学びの環境整備に取り組んでいます。過去何十年に亘り政府や開発パートナーが教育環境改善に多くの資源を投入してきたにも拘らず十分な効果が出ない原因は何なのか?先ず我々は、開発の担い手であるパートナーと対話し、現場を歩き、過去の教訓を探ります。その上で、お互い何を持ち寄れば最適な学びの環境を創出できるか、どのような人材や施設が必要か、そしてどのような制度や仕組みが有れば持続的にサービスを提供できるのかを考え、協力のグランドデザインを描きます。教育分野の知識に加え、ナイジェリア特有の文化や歴史的脈絡の理解が欠かせません。この半年ぐらい掛けて、試行錯誤をしながら協力のかたちを創り、合意の輪を粘り強く広げて来ました。時間は掛かりますが、最前線で新たな国際協力のいのちを産み出せる、とてもわくわくする仕事です。
ナイジェリアでは経済活動の基盤となるインフラが圧倒的に足りていません。例えば人口当たりの電力供給力が日本の1/60ぐらい、未電化率は約4割に上ります。1億人近い人々に電気を安定して届けるのは容易ではありません。目標を共有し共に歩む仲間が必要です。我々は世界銀行やアフリカ開発銀行と協調し、『アフリカ3億人電化計画』の第一弾として再エネ分散型電源を大規模に導入しようとしています。数年後にはクリーンで安価な電力が多くの家庭や病院、生産拠点等に届けられ、そこで暮らす人々に沢山の笑顔と自立的な開発の機会とをもたらすことでしょう。人々の生活に具体的な違いを届けられることが我々の仕事の醍醐味です。
AIの存在が当たり前になるこれからの世界では、従来の仕事の常識、個々人に求められる能力等が全く異なるものになるでしょう。正しい答えを出す能力よりも、おもしろがり、突き詰め、共感し、行動を起こすバイタリティ、言い換えれば「人間的な能力」がより一層重要になるように感じます。デジタル・AIネイティブのみなさんの頭の中には、私が想像も出来ないような国際協力の新たなアイデアがどんどん浮かんでいるのではないでしょうか?是非在学中に一つでも二つでもアクションを起こしてみてください。自然豊かなキャンパスで、大いに議論し、笑い、悩み、失敗し、そして広い世界で自分ならではの国際協力を実践して行ってください。世界のどこかでご一緒出来ることを楽しみにしています!