Interviews 卒業生 観光を通じて“日本推し”を世界に!

Introduction紹介文
「自分がわくわく、生き生きとする瞬間は、自分が愛着を持っているものやことを、まだ知らない人に伝えているとき」。そのことを大学時代の経験を通して実感した舘さんは、わくわくできることを仕事にしたいと思い、その思いを実現するために日本政府観光局(JNTO)に入局。現在はソウルに赴任し、ビジットジャパン事業に携わっています。仕事をする中で困難に直面することもありますが、総合政策学部で培った学びや経験を生かし、常に柔軟な姿勢で向き合い続けることを大切にしています。
ソウルで訪日プロモーションに携わる日々。より良い成果を出すために周りを巻き込みながら挑戦しているとき、やりがいを感じる。
私は現在、日本政府観光局(JNTO)のソウル事務所で勤務しています。JNTOは、訪日インバウンドのプロモーションを専門的に行う日本政府の組織で、世界各地に事務所を展開しています。大学院卒業後、新卒で入局し、最初の3年間は日本国内で財務や営業・サービス関連の業務を担当しました。4年目からソウルに赴任し、ビジット・ジャパン事業に携わっています。具体的には、SNSなどのオウンドメディアを活用した情報発信に加え、韓国のインフルエンサーやメディア関係者を日本に招へいして彼らの媒体を通じて日本の魅力を発信するほか、日本でいう国際展示場のような会場で開催されるイベントに出展するなど、訪日観光客の増加につながる幅広い取り組みを行っています。
さらに、日本の公的組織から民間企業まで幅広い観光関係者の韓国市場における活動のサポートも行っています。
私が仕事においてやりがいや喜びを感じるのは、より良い成果を出すために周囲を巻き込みながら挑戦しているときです。JNTOの賛助団体・会員向けサービスを扱っていた際には、JNTOが持つ情報を集約したデータを、より効率的かつ分かりやすく分析するための仕組みを構築しました。その過程で、賛助団体や会員の方々へのヒアリング、他部署との情報共有や調整など、多くの関係者と連携しながら取り組んだ経験は、特に印象に残っています。
自分が愛着を持っていることを、まだ知らない人に伝えたい。外に出てみることで分かる魅力を発信していく。
現在の仕事に就こうと決めたのは、就職活動中にこれまでの人生を振り返り、自分がわくわく、生き生きとする瞬間は、自分が愛着を持っているものやことを、まだ知らない人に伝えているときだと気づいたからです。
その原体験は大学時代にあります。ひとつは、大学入学後に出身地・石川県の魅力に気づいたこと。高校までの18年間を石川で過ごした私は、大学進学で関西に来て「石川ってすごくいいところだよね」「今度石川へ旅行に行くんだけど、おすすめの場所を教えてくれない?」といった周りの声を聞き、石川から離れて初めてその魅力に気づきました。そして、その魅力を人に伝える楽しさを実感しました。
もうひとつは、インターンシップで訪れたマレーシアでの経験です。現地の人々から「私はすごく日本が好きなんだ」「日本についてもっと教えてほしい」と声を掛けられ、日本が好意や興味を持たれている側面があることを再確認しました。このときは、日本という自分の育った国を離れて海外に出ることで、日本の魅力を伝える楽しさを実感しました。
どちらも、自分が「“外”に出ることで、“内”の魅力を知る」という貴重な経験でした。こうした経験を通じて、自分が愛着を持っているものやことの魅力を発信する楽しさや喜びを知ったことが、現在の仕事につながりました。

白黒をつけられない問題はたくさんある。だからこそ、大学の多様な学び・経験から培った「向き合い続ける力」が大切。
社会に出て仕事や生活をする中で、学生時代とは違い、簡単に白黒をつけられない問題が多くあることを実感しています。 例えば、私が働いているJNTOは公的機関であり、単に経済的な利益を追求するのではなく、さまざまな公益に資する活動を行う使命があります。 そのため、物事を多面的・多角的に捉え、調整を重ねながら進めていく必要があります。 そうした中で困難に直面することもありますが、私は問題を「乗り越える」というより、「向き合い続ける」という姿勢を大切にしています。 そのためには、自分の芯をしっかり持ちつつ、柔軟な姿勢や言動を心がけることが重要だと考えています。 大学時代、総合政策学部で多様な価値観やモチベーションを持つ仲間と共に学び、さまざまな経験を積んだことが、今の「向き合い続ける力」の土台になっていると感じています。

韓国からの訪日インバウンド専門家を目指し、観光を通して両国の平和に寄与したい。
今挑戦しているのは、ソウル駐在を通して、韓国からの訪日インバウンド専門家になることです。そのために、観光関係者だけでなく他の産業とのコネクションも築いて、情報交換を密に行っていきたいと考えています。「観光は平和産業」と言われるように、観光客の往来が増えることで、政治的にも経済的にも双方にメリットが生まれます。だからこそ、目の前の仕事に真摯に取り組むことが、結果的には日韓両国の平和に貢献することにつながると信じています。