大学共同研究(学長指定研究)「ヴォーリズ建築のアーカイブ構築および歴史的位置づけの再考と現代的意義の探求」を実施しました
2022年度から2024年度に、大学共同研究(学長指定研究)として「ヴォーリズ建築のアーカイブ構築および歴史的位置づけの再考と現代的意義の探求」を実施しました。
本研究は、建築学部ヴォーリズ研究センター(以下VRC)における研究テーマとして、センターのメンバー6名(山根 周(建築学部教授/代表者)・石榑督和(建築学部准教授)・谷口真紀(建築学部准教授)・角野幸博(関西学院大学名誉教授)・山形政昭(大阪芸術大学名誉教授・関西学院大学フェロー)・中山献児((株)一粒社ヴォーリズ建築事務所顧問))からなる研究チームにより進められました。
本研究では、以下のテーマについて探究することを目的としました。
①膨大に残されているヴォーリズの建築設計図面の調査とデジタルデータ化の検討、ならびにヴォーリズ建築図面の全体像の把握と今後の活用に向けた整理と活用方法の検討。
②データ化された図面資料に基づいた、ヴォーリズの建築作品における計画的特色、意匠的特色、構造的特色などの分析と検討。
③アメリカにおけるスパニッシュ・ミッション・スタイル、スパニッシュ・リバイバルならびにクラフツ・ムーブメントの系譜におけるヴォーリズ建築の建築史的位置づけの検討。
④アメリカのキャンパス計画の系譜におけるヴォーリズのキャンパスデザインの建築史的位置づけの検討。
⑤キリスト教信仰に根ざしたヴォーリズの思想、活動の内実の解明と、それらの建築設計への反映に関する検討。
⑥ヴォーリズ建築の保存再生および現代建築への継承ならびに都市再生・地方創生への効果に関する検討。
ヴォーリズ建築関連資料のアーカイブ構築については、VRC所蔵の文献資料の目録作成とラベル貼付による保管体制を整備するとともに、戦後建築を中心とした図面資料のデジタルデータ化を進め、アーカイブ化に向けたリスト化作業を実施したほか、ヴォーリズ建築の現存リストの作成に取り組みました。
また、ヴォーリズの建築スタイル、建築思想の源泉を探るため、アメリカにおいて、スパニッシュ・ミッション・スタイルの起源に触れ、同スタイルによるキャンパス計画の実例に関する調査やヴォーリズが学んだコロラド・カレッジにおける資料収集等を実施したほか、ヴォーリズによる戦後期の住宅建築に関する調査研究や、ヴォーリズ建築の継承や活用に関する調査研究などを実施しました。
これら3年間の研究成果は、VRC紀要『ヴォーリズ研究 1』(2024.3)、『ヴォーリズ研究 2』(2025.3)のほか、査読論文誌、学会発表などを通じて公開しました。

