Interviews 学生 見えない「心」をデータで可視化し、結婚のリアルを見つめる
Introduction紹介文
「結婚は本当に幸せか?」という素朴な疑問を、経済学で紐解こうとする長瀬さん。現在は「婚姻率の低下」をテーマに、マッチングアプリや推し活といった現代的な切り口から調査を進めています。既存のデータがない「人の感情」にも向き合い、社会のリアルを知ることで自分にとっての正解を探し続ける。データと共に未来を切り拓く彼女に、研究のやりがいや成長、そして学部での学びについて聞きました。
「生活の解像度」を上げる経済学。データ分析が、日常の景色を変えてくれた。
私が経済学部を選んだ理由は、人間の生活基盤である経済を学ぶことで、これからの自分の人生に対する「解像度」を上げたかったからです。高校生までは、経済という言葉に漠然としたイメージしか持っていませんでしたが、「社会がどう回っているのかを知らなければ、自分の足で立って生きていけないのではないか」。そう考え、本学部へ進学しました。
経済学部には、多種多様な分野から自分の興味に合わせて学びを取捨選択できる自由な環境があります。私はそこで、実在するデータを用いて社会現象を読み解く「データ分析」の面白さに没頭していきました。 例えば、スーパーに並ぶお米の値段一つとっても、「なぜこの価格なのか?」「原価や流通はどうなっているのか?」など、背景には経済の動きがあります。経済学というレンズを通すことで、何気ない日常の風景が論理的な構造を持って浮かび上がってくることに、面白さを感じます。
「結婚は幸せ」への懐疑心。当事者世代として挑む、婚姻率低下のリアル。
私は「日本における婚姻率低下の原因」を研究しています。テーマ設定のきっかけは、私自身が抱いていた個人的な違和感でした。私の身の回りの人たち、特に上の世代の方は口を揃えて「結婚こそが女性の、あるいは人間の幸せだ」と言います。しかし、成長してもなお、私には結婚が無条件に魅力的なものだとは思えませんでした。「本当に結婚は幸せなのか?人生に必須なのか?」。そんな素朴な疑問と、大学で学んだ客観的事実がリンクした時、研究への意欲が湧きました。
その事実とは、「婚外子の少ない日本社会において、婚姻率の低下は少子化に直結し、人口減少という社会課題の根幹にある」ということです。婚姻率を下げる要因を作っている当事者世代といえる私自身が、あえてこの現象を研究対象とすることで、定説とは違う新しい世界が見えるのではないか。そう考え、所属ゼミの学生とともに2名で研究を進めています。私の担当は、「マッチングプロセス(出会い方)」の分析。近年急増しているマッチングアプリが、婚姻率や結婚の質にどのような影響を与えているのか。現代ならではの出会いの形に注目し、自分なりの答えを出そうと試行錯誤しています。
人の心は数字で測れるか。見えないデータを追い求め、自分の未来を描く。
研究を進める中で、私は頻繁に「データ化の壁」に直面します。経済学的なアプローチにはデータの裏付けが不可欠ですが、私が扱っているのは「人の心」や「意思決定」の領域です。「結婚したい」という感情の機微は、単純な数値として管理されていません。そのため、研究に直結するコアな事象ほど、既存のデータが存在しないことが多いのです。
そんな時こそ、研究の腕の見せ所。自分たちでアンケートを行って感情を数値化したり、政府統計にはない貴重なデータを他大学の資料から探し出したりと、地道な作業を重ねます。苦心して集めたデータによって、仮説が裏付けられた瞬間の達成感は何にも代えがたいもの。この共同研究を形にし、婚姻率低下のメカニズムへの理解を深めることが、直近の目標です。
さらに、今後は卒業論文に向け、「趣味(推し活)と婚姻率の関係」についても深掘りしたいと考えています。「現代の若者は趣味で満たされているため、結婚への欲求が薄いのではないか」。そういった仮説の検証を通じて、結婚のインセンティブやリスクを客観的に理解したいと考えています。研究を通じて社会を知ることは、私が自立した一人の人間としてライフデザインを考え、未来を選び取るための、確かな糧になるはずです。
「伝わらない」悔しさをバネに。生きた英語学習と多言語習得への挑戦
外国のお客様が多いアルバイト先で、言葉が通じない悔しさを味わったため、「現状を打破したい」と考え、2年次に大学のプログラムでカナダへ留学。英語を話さないと生活できない環境に身を置いたことで、言語力の向上に加え、物怖じせずに話せるマインドも身につきました。現在は、スラングや訛りまで理解できる「生きた英語」の習得に加え、中国語やスペイン語への挑戦も視野に入れています。言葉を通じてより広い世界の人々と心を通わせられるよう、努力を重ねる日々です。