そうせいTIMES 第6号 どんな日本にしたいのか、その政治的構想を総政で学ぼう!(2012/12/15 発信)

[ 編集者:総合政策学部・総合政策研究科 2015年6月11日 更新 ]

「決められない政治」と「劇場型政治」を超える「構想力ある政治」を!

北原教授

北原教授

民主主義が浸透し、市民にさまざまな情報が行き渡るようになると、また別の問題が発生します。たとえばゴミ処理の問題です。ゴミ処理は社会全体にとって必要、しかし、いざ処理場が自分の住む地域になると絶対反対なんですね。みんながいやだといえば、ゴミ処理ができない。これはNIMBY問題といわれます。みんなが事情を知れば知るほど、個人の意見が聞き届けられれば届けられるほど、「私の裏庭にはいやだ(Not In My Back Yard)というわけです。住民エゴと言えますが、騙したり、脅したり、暴力を使ったりせず、話し合いでどう解決するのか、みんながどう納得するのか。ここが民主主義政治の難しいところです。

よくニュースで「決められない政治」と言われていますが、社会が大きくなればなるほど、すべての人の合意を得ることは難しくなります。何かを選べば誰かに利益や不利益が生まれるため、政治は決着の付けどころに苦しむというわけです。

柴山教授

柴山教授

しかしその利害調整が私たちの生活、社会生活の中では必要不可欠で、結果、バランス感覚が問われるわけです。この感覚をどう養うかが政治学の最初の入口としては重要になります。

北原教授

北原教授

ただ現状の政治を批判するだけでなく、なぜ「決められない」のか。政治学の基本は政治における判断の難しさの理解にあり、こうした視点を身に付けることが大切です。
政治家を役者のように例えて、観客型民主主義とか劇場型政治とも言われます。リーダーシップを取る政治家に対して拍手喝采は贈るけれど、市民は政治に関わっていないというパターンで、もはやこれは民主主義がもつ性格の問題でもあります。
こうした民主主義の難しさを踏まえた上で、政治家がどう動き、仕組みを整え、機能させていくかが重要なのです。

柴山教授

柴山教授

視点を変えれば、民主主義の抱える「消費者民主主義」、それを打破するためには、人に決めてもらう政治はやめて、自分が日本をどうするかという構想を示し、実行できる人間がいないとダメでしょう。大きな構想、ビジョン、私に言わせると一流国としての日本の回復構想です。国力回復こそが、待たれている構想なのです。