社会学部
K.G.

研究者 現代的問題を考えるときこそ、「温故知新」が重要であることを学びとってほしい

辻 大介教授
掲載日:2026.07.23

2026年4月に関西学院大学社会学部へ着任された辻 大介教授にインタビューを行い、先生の研究内容やその面白さなどをお聞きしてきました。

はじめに、自己紹介をお願いします!

辻 大介(つじ だいすけ)と申します。
学部生のときは――といっても40年ほど前のことです――心理学を専攻していましたが、大学院では、メディア研究をおこなう社会学系の研究科に進学しました。

専門は、「コミュニケーション論」で、インターネットが社会にどんな影響を与えているか、若者の人間関係がスマホやSNSの普及によってどう変わってきたか、等々を研究しています。

ご専門のコミュニケーション論とは、どういった学問なのでしょうか?

ひとくちに「コミュニケーション」と言っても、国家間の交渉から日常生活でのあいさつまで、多種多様なものが含まれます。人間だけでなく、動植物やコンピュータ・AIがおこなう情報伝達まで含めて考えることもあります。

その多様さに応じて、哲学、言語学、心理学、政治学、生物学、情報工学などなど、さまざまな学術分野で、それぞれにコミュニケーションに関わる研究がなされています。

私自身は社会学を軸にして、言語哲学や認知科学などの理論・知見も参考にしながら研究に取り組んでいますが、そうした学際性が重要な研究分野だと思いますね。

辻先生は、どのようなきっかけで、「コミュニケーション論」に興味を持たれたのでしょうか?「コミュニケーション論」の研究の面白さも合わせて教えてください!

学部を卒業してから3年半ほど広告の仕事をしていたことが、ひとつのきっかけでした。

広告っていいことしか言わないので、誰も鵜呑みにはしませんよね。
ある意味、「ウソだとばれているウソ」のようなものだと思うんです。
でも実際のところ、うまい広告表現は消費者を動かして、売り上げを伸ばす。

ばればれのウソにだまされてしまうようなことが、広告というコミュニケーションでは起きるわけで、そう考えるとちょっと不思議な気がしてきませんか。

こんなふうに、少し立ちどまって考えてみると、身近でありふれた現象のなかにもそう簡単に割り切れない謎が見えてくることが、「コミュニケーション論」のおもしろさだと思います。

辻先生は、どのような授業を担当されているんでしょうか?

関西学院大学社会学部では、演習科目(ゼミ)や社会調査・統計科目のほか、「メディアと社会」という講義科目を担当しています。

「メディアと社会」の授業を通して、学生にはどんなことを学んでほしいですか?

今の私たちの生活や社会には、ネットやスマホ、SNSが広く深く入りこみ、AI等の発達が次々に新たな変化や問題を引きおこしているように見えます。

ただ、それが本質的に新しい変化や問題なのかは、過去をふり返り、歴史的な視座から検討してみないとわかりません。

現代的な問題に取り組むときにこそ、「温故知新」が重要であることを学びとってほしいですね。

辻先生が、これから関西学院大学で挑戦していきたい研究や教育活動などの展望を教えてください!

私は、若者のコミュニケーションや人間関係の変化を研究テーマのひとつにしてきたので、その成果をそろそろ本にまとめたいと考えています。

ただ、もうとうてい若いとは言えない歳なので、今の若者世代の感覚や行動は、正直つかみにくくもなっています。

そこで、今年度から始まる辻ゼミのテーマを「若者のコミュニケーションと人間関係」にして、今の若者当事者である学生さんたちの力を借りながら、ともに学び、ともに研究を進めていきたいと思っています。

最後に、これから関西学院大学社会学部を目指す高校生へのメッセージをお願いします!

社会学にもコミュニケーション論にも共通しているおもしろさは、あたりまえのように見えている日常生活や社会の風景のなかで、少し立ち止まって、そこに違和感や奇妙さや謎や驚きを見いだすことにあると、私個人は考えています。

ぜひ関学社会学部へ、そのおもしろさを感得しにいらっしゃってください。

記事担当者の感想

今回のインタビューで印象的だったのは、「ばればれのウソにだまされてしまうようなことが、広告というコミュニケーションでは起きる」という話です。
「ふと振り返ってみると、私も同じような経験があるな」という人も多いのではないでしょうか?

そういった広告の表現や、何気ないおしゃべり、SNSでのやりとりなど、一見すると見過ごしてしまいそうな日常のコミュニケーションの中にも、社会を読み解くヒントが隠れていることに、改めて気づかされました。

また、スマホやSNS、AIといった現代的なテーマを考えるときにこそ、過去をふり返りながら捉え直すという「温故知新」の視点は、社会学部の学生やこれから社会学部を目指す高校生のみなさんにも大切にしてほしいなと思います。

本記事を通して、社会学部での学びの面白さを少しでも感じていただけたならうれしいです。