社会学部
K.G.

研究者 理論と調査との往復により社会を捉え直す

濱西 栄司教授
掲載日:2026.05.28

2026年4月に関西学院大学社会学部へ着任された濱西栄司教授にインタビューを行い、先生の研究内容やその面白さなどをお聞きしてきました。

はじめに、自己紹介をお願いします!

濱西 栄司(はまにし えいじ)といいます。
この4月から関西学院大学社会学部の一員になりました。
専門は、社会学、とくに「社会学理論」と「社会集団・組織論」です。

今年の3月までは、15年ほど岡山にあるカトリック系女子大学で大学教員をしていました。その前は、大阪日本橋で10年ほど学生・大学院生時代を過ごしました。

生まれは京都で、幼稚園は滋賀県、小学校は京都市山科区。
関西圏中心に引っ越しの多い人生だったように思いますね。両親の出身は神戸市垂水区で、阪神大震災の時にはボランティア活動を半年くらいしていたこともあります。

ご専門の「社会学理論」や「社会集団・組織論」とは、どういった学問でしょうか?

まず、「社会学理論」は、社会学(者)が生み出してきたさまざまな理論・学説自体を研究するメタ的な分野です。

理論・学説の歴史的背景や研究・調査法との関連、ライバルや後継者との関係性、他国での輸入・紹介のされ方などを調べ、そしてもちろん理論自体の意義や限界についても他の理論と比較しつつ検討していきます。

社会集団・組織論」は、さまざまな社会集団と社会組織について、社会学的に研究する分野です。

会社、行政組織の他にもNPO/NGO、ボランティア組織、あるいは国際機関、サミットのような国際会議、オンライン上のコミュニティやネットワークまで、分野横断的に様々な事例を研究し、それらのメカニズムや意義などを分析していきます。

私の場合は、さらに流動的な群衆や集合行動、社会運動も対象にしていて、ビッグデータなど最新のテクノロジーも活用しつつ研究をしています。

濱西先生が、「社会学理論」や「社会集団・組織論」に興味を持ったきっかけや、面白さを教えてください!

これだ、と明言することはできませんが、浪人中から哲学・現代思想に関心があって、難解な本・翻訳書を読むのも好きだったので、社会学のなかでもとくに理論・学説に関心を持ったのだと思います。

あと、私はいろいろなところに出かけたりするのが好きでしたし、ボランティアや音楽バンド活動にも参加していたので、国内外のいろいろな集団・組織に関心を持つようになっていきました。

私の中では、社会学理論の研究と社会集団・組織の調査はセットになっています。
理論を学ぶことで自分の研究テーマや調査の意義がはっきりしてきますし、自ら調査をすることでどうやって理論が生み出されてきたのかを経験し、研究に生かすこともできるようになります。

濱西先生は、どのような授業を担当されているんでしょうか?

「社会学原論B」や「社会運動論」という授業を担当しています。

それらの授業を通して、学生にはどんなことを学んでほしいですか?

まず 「社会学原論B」では、社会学の原論、つまり原理・原則(しくみときまり)について授業をしていきます。

社会学は、社会科学の一種で、先行する自然科学・人文科学から強く影響を受けています。経済学や法学といった他の社会科学ともかなり異なる特徴をもっています。そのことをぜひ学んでいただきたいです。

もう一つ、「社会運動論」では、社会集団・組織のなかで、とくに意図的に社会を変えようとする集団・組織・群衆に焦点をあてて、その歴史と研究法を学びます。

社会的企業やNPO/NGO、ボランティア団体、ロビー活動、フェスやパレードなども対象になりますし、地域活性化、SDGs、ジェンダー、エコロジーなどテーマも非常に幅広いものです。

濱西先生が、これから関西学院大学で挑戦していきたい研究や教育活動などの展望を教えてください!

社会学理論の研究としては、社会学・理論とは何かについて、他の科学や海外の社会学とも比較しながら、改めて考えて、海外にも発信していきたいと思っています。

日本語版テキストの執筆はすでに進めていて、来年くらいには出版できる見込みです。

また、社会集団・組織論としては、ビッグデータ・API・WebGISなど最新のテクノロジーを用いた群衆研究をさらに進めていくつもりです。

関学には理系学部も多いので、連携・協力していけるとよいなと思っていますね。

最後に、これから関西学院大学社会学部を目指す高校生へのメッセージをお願いします!

関学の社会学部は非常に大きく、社会学の多様な分野を、ほぼすべて専門的に学ぶことができます。本当に自由に、テーマ・方法を選んで研究することができる素晴らしい環境ですね。

ぜひ自分の関心(悩みや興味)を大切にしつつ、社会学部で学んでいただけたらとても嬉しいです。

記事担当者の感想

「社会運動論」では企業やボランティア団体だけでなく、フェスやパレードといった、一見すると学問とは結びつきがあまりなさそうなものまで研究対象になるという点は非常に印象的でした。

私たちが日常で目にしているあらゆる出来事が、社会学の視点を通すことで「研究」になることに、改めて社会学の懐の深さを感じました。

また、研究というと難しい理論を構築するというイメージを持つ方も多いかもしれませんが、フィールドワークやアンケートなど、理論と現実との往復の中で研究が進んでいく点も、社会学の面白さの一つだと感じました。