
学生 社会学部と法学部の学びから見えた、社会の制度と人のつながり
今回ご紹介するのは、関西学院大学のマルチプル・ディグリー(MD)制度という最短4年間で2つの学部を卒業(2つの学位を取得)することができる制度を利用して、法学部から社会学部へ編入された社会学部4年生の吉田聖菜さんのインタビューです。
MD制度を利用するまでの経緯や、実際に利用することでどのように学びが深まったのかを、お伺いしました。
マルチプル・ディグリー(MD)制度とは?
最短4年間で2つの学部を卒業(2つの学位を取得)することができる制度。
関西学院大学公式ホームページで詳しくご紹介しております。ぜひ、以下よりご覧ください。
副専攻プログラム(学部を出て、他分野を学ぶ)|関西学院大学
高校生の頃、なぜ法学部を選んだのですか?
高校生の頃は公務員になりたいと思っていて、法律を学びたいという気持ちから法学部を選びました。
また、法律や制度について知っておくことは、公務員にならなかったとしても、日常生活の中で役に立つと考えていました。
あとは、単純に法律に興味があり、面白そうだなと感じていたので、高校の早いタイミングから法学部に進むことを決めていました。
なぜ関西学院大学を選びましたか?
高校3年生のときにオープンキャンパスに参加し、時計台を見て「すごく綺麗なキャンパスだな」と感じました。
また、オープンキャンパスで説明してくださった学生の方がとても楽しそうだったのが印象的で、「ここなら4年間楽しく通えそう」と思ったことがきっかけです。
MD制度を利用して、法学部から社会学部に編入されたということですが、もともとMD制度はご存じでしたか?
高校性の時に関西学院大学のことを色々と調べていて、制度があることは少しだけ知っていました。
でも、その時点では制度の利用までは考えていませんでした。
実際にMD制度を利用しようと思ったのはいつ頃ですか?
実際に利用しようと思ったのは、大学入学後、1年生の秋学期です。
法学部の「基本演習」というゼミの前段階の授業で、同性婚について学んだことがきっかけでした。
同性婚は、制度的にはまだ認められていないという現状を知りましたが、授業の中で「実際に制度を利用したい」と思っている方々の気持ちまでは扱われていませんでした。そこで、他の学部で学べば、制度だけでなく人の気持ちも含めて、より多面的に理解できるのではないかと思い、MD制度に挑戦したいと考えるようになりました。
編入先は、社会学部だけではなく、他の学部も検討されましたか?
はい。特に法学と経済学の組み合わせは「専門性が高まる」という話を聞いたことがあり、経済学部への編入を検討していました。
ただ、経済学部は法学部との学部連携で履修できる授業もあったので、せっかくなら他の学部も検討してみようと思いました。
また、人に着目するという点で人間福祉学部にも興味がありました。
そんな中でも特に女性や子ども、ジェンダーに関心があったため、社会学部の授業が一番自分に合っていると感じました。
他にも社会学部を選んだ理由はありますか?
所属していたサークルに社会学部の学生が多く、授業やテストの話を聞く機会が多くありました。
特に「家族社会学」など、実際の人に着目した授業が多く、「自分とは異なる価値観や考え方の人のことも学べるから、視野が広がるよ」と聞いて、すごく興味を持ちました。
身近に社会学部の学生が多かったことも、「社会学部、いいな」と思うきっかけになりました。
MD制度の利用を決めてから、どのような流れで進みましたか?
1年生の秋に申し込みをして、2年生の春から社会学部生のみが履修できる科目が取れるようになりました。
2年生の間は、法学部の授業を中心に履修しつつ、追加で履修できる4単位分を社会学部の授業に充てていました。
そして、2年生の秋からは社会学部の村田先生のゼミに所属し、法学部の授業は3年間で取り切れるめどがついたため社会学部の授業も本格的に履修するようになりました。
現在は村田先生のゼミに所属されているんですね。今はどのような研究をされていますか?
現在の日本では、育児における「ワンオペ状態」が深刻化しているという現状があります。私は、育児は母親一人で担うものではなく、父親や祖父母、ママ友、地域の方々など、家族や周囲の人々が協力して行う「チーム育児」の方が望ましいのではないかという仮説を立てています。
特に、双子や三つ子などの多胎児を育てる家庭では、一人で育児をすることが物理的にも精神的にも困難であるため、自然と周囲の協力が必要となります。そうした状況では、周囲の人々が「助けたい」「協力したい」という気持ちを持ちやすく、結果としてチーム育児が成立しやすいのではないかと考えています。
この仮説をもとに、現在、実際に双子を子育てされている母親の方々へお話を伺いながら、より良い社会のあり方について研究を進めています。
法学部での学びは社会学部の学びの中でどのように活きていますか?
社会の実情を示したうえで、「この人たちはこう思っています」や「こうしてほしいと願っています」といったVTRを見たり、資料を読んだりする際に、背景として「何年にこういう法律ができたから、こういう考え方に変わってきた」といった制度的な流れを法学部で学んでいたので、内容がすっと頭に入ってきやすいです。
法学部で制度面をしっかり学んでいたからこそ、社会学部での学びが“プラスアルファ”になっていると感じます。
法学部と社会学部、学び方に違いはありますか?
はい。違いは感じています。
法学部における多くの授業は、テスト重視でした。分からないことがあれば個別に質問に行き、先生に対応していただいたうえで、その内容を全体にも共有していただくという形がとられてました。
一方、社会学部では毎回コメントを書く機会があり、先生がそれを読んでくださって、「こういう考え方もある」「この意見も面白いね」といったフィードバックを授業の中で話してくださるので、色々な人の意見が知れて面白いと感じています。
来年4月から大学職員として働く予定とお聞きしました。法学部・社会学部での学びをどのように活かしていきたいと考えていますか?
法学部と社会学部、両方で学んだことによって、ひとつの物事でも制度面や人の気持ちなど、いろんな視点から見ることで全く違う理解ができることを実感しました。
今後、大学職員として働く中で、さまざまな価値観や考え方をもつ学生さんと関わることになると思うので、自分の思い込みだけで判断せず、「こういう面もあるかもしれない」と視野を広く持ってサポートしていきたいです。
私自身も、履修についてなど、職員の方や友人に相談しながら大学生活を送ってきました。その中で、他者の支えがあることで、自分の力以上に頑張ろうと思えることを実感しました。だからこそ、今度は自分が親身になって、何かを実現したいと考えている学生に対して、力を尽くせたらと思っています。
記事担当者の感想
とても穏やかな雰囲気の中に、芯の強さを感じる吉田さん。実際にMD制度を活用して学びを深めようとする姿勢や、思いを行動に移す力が素晴らしいと感じました。
来年の4月からは大学職員として新たなスタートを迎えられるとのこと。社会学部と法学部で学んだことを活かして、人の背景に寄り添いながら、多くの学生を支える存在としてご活躍されることを願っています。