河野 義生 教授
高圧物理学研究室
河野研究室では主に、SiO2を主成分とするケイ酸塩組成の液体やガラス、または結晶の高圧高温下における構造と物性について研究しています。SiO2は、地球や月、または火星などの惑星の主要構成組成であり、それを主成分とするケイ酸塩液体は、いわゆるマグマとして、地球や惑星の形成と進化の理解に重要な要素とされています。さらに、マグマの物理を理解することは、火山の噴火などの自然災害の理解においても重要になります。また、もう一つの側面として、ケイ酸塩液体が急冷することによりできるケイ酸塩ガラスも重要な物質です。火山から噴出して急冷した物は火山ガラスとして自然界に存在するガラスになりますが、さらに、日常社会においても、様々なガラス製品や、光学部品、光ファイバーなど、ガラスは日常で幅広く利用される材料の一つです。そのため、SiO2やケイ酸塩組成のガラスの構造・物性などの理解や、さらに優れた特性を持つガラス材料の開発は重要になります。
河野研究室では、高圧実験装置、弾性波速度測定装置、レーザー加熱ガス浮遊炉装置などを用いた実験による研究を行っています。さらに、大型放射光X線施設SPring-8において高強度のX線を使用した実験により、高い圧力や高い温度などのその場環境下にあるケイ酸塩液体・ガラスの構造や物性(弾性率、粘性率、密度など)を調べています。火山のマグマと社会にありふれているガラスは全く違ったもののように見えますが、どちらもSiO2を主成分とするケイ酸塩の非晶質構造物質であり、共通する構造や物性があるため、2つの離れた分野を隔てることなく、ケイ酸塩液体・ガラスの構造・物性についての研究を行っています。また最近では、月の岩石鉱物組成を用いた研究も行っており、将来的な月居住に必要な材料などの開発に向けて研究を拡げていきたいと考えています。その時に重要になるのは、物性などの「物理」や、原子・分子の構造といった「化学」の知識、さらには月の岩石・鉱物などの「地学」の知識が必要になり、いわゆる高校の理科でいうところの「物理」、「化学」、「地学」を合わせた総合的な力と考えています。そのような、分野を横断した知見が、将来的な宇宙空間や月での研究に重要となるのではないかと思っています。