3つのフィールド
環境政策フィールド
学びの概要
人類は、自らの生存のために過度に自然資源を利用し、急速かつ広範囲に環境を改変・破壊してきました。
かつて世界第四位の面積(琵琶湖の約100倍)をもつ塩湖であった中央アジアのアラル海は、綿花栽培のための灌漑や運河建設などにより、南部水域の大部分が干上がってしまったことが2009年に確認されました。
その結果、砂漠化した湖底からは塩分や化学物質が巻き上がり、地域住民の多くに呼吸器疾患などを引き起こしています。

一方、私たちの周囲においても、大規模な宅地開発等により「自然」と「人間」との距離が狭くなり、イノシシやシカなどの野生動物による被害が各地で発生しています。
関西学院大学総合政策学部の位置する兵庫県三田市でも、外来生物であるアライグマやヌートリアによる作物被害の報告が急増しました。

自然保護、環境行政、環境法、環境経営、資源利用、人類生態学などを専門とする教員から環境政策フィールド科目を学ぶことで、私たちの暮らしが自然環境に与えている影響、そして自然環境が私たちの暮らしや健康に与える影響を知り、「自然と人間の共生」を追及することができます。
学生の研究テーマ例
*カナダにおける持続可能な森林管理政策の在り方について
*日本における陸内水域での外来生物管理 -オオクチバス問題について-
*ガソリンスタンドの跡地利用 -土壌汚染の浄化方法-
*日本の家庭部門に対する環境政策の考察 -政策の問題点分析と政策モデルの提案-
*水資源と節水について -質問紙調査の結果から節水意識の向上を探る-
*北摂地域における下水資源の農業利用の可能性
公共政策フィールド
学びの概要
公共政策は、私たち国民や市民の生活に関わる問題の解決に必要となります。
私たちが豊かで満足のゆく社会を創造していくためには、地域の問題から、国家レベルや国を越えた世界的な問題まで、私たち一人ひとりが「公共を担う」という意識と責任を持って、さまざまな課題に取り組んでいかなければなりません。
環境問題、都市問題、国際発展問題など、いかなる問題解決を論じるうえでも、政策の理念、分析の手法、政策形成のあり方を学ばなければなりません。
公共政策フィールドでは、政策の理論を学びつつ、それを現実の政策にいかに応用していくかを考えます。
政権交代をきっかけに、公共事業や政府の計画や事業の見直しが、全国各地で行われています。私たちの暮らしをより豊かで安心にするための政策とはどのようなものなのか、今一度問い直されています。
そのためには、政策やプロジェクトを評価するための手法を理解する必要があるでしょう。
また近年、市民が政府や自治体の計画づくり、公共事業の見直しにかかわることによって、住民視点のまちづくりをすすめようという動きも活発化しています。

人間はだれしも利益を求めようとする心を持っていますが、自分だけがよいという私的利益の追求が強くなりすぎると、人間と自然の共生、また人間と人間の共生が困難になります。
現代人が、どのように「公共」をとらえるのか、何が「正しい」ことなのか、哲学や倫理学の視点も必要になります。

公共政策フィールドでは、経済学、政治学、政策学、哲学、倫理学、環境学、福祉学、など、人間を取り巻く社会システムを様々な階層から考察し、「公共政策」とは何かを追求し、政策を実社会に適用できる力を養います。
学生の研究テーマ例
*大戸川ダム建設事業における便益・費用から見る必要性について
*市町村合併がもたらす地域福祉への影響について
*サブプライム問題による日本経済への影響と社会の再生
*「祈り」の意義とその変化
*ゆとり教育の検証と課題
*震災復興と地域におけるNPOの役割
言語文化政策フィールド
学びの概要
民族間・宗教間・文化間・性別間・世代間、人間は生まれた時代、おかれた環境や文化によってさまざまな違いをもっています。その違いは時に対立や衝突、紛争となって顕在化します。
世界で2,500の言語が今まさに消えようとしていると言われています。北海道のアイヌ語もそのひとつ。言語はコミュニケーションの道具ですが、さまざまな社会問題や政策とも関わりを持っています。
民族のアイデンティティというだけでなく、人類が残してきた文化遺産としての言語を、社会はどのように守っていくべきなのでしょう。社会言語学や言語学をもとに問題に迫ります。
グローバル化により日本に住む外国人は年々増加しています。日本で育つ、外国人児童への教育は、だれによって、どのように支えられていくべきか、責任の所在がいま問われています。
また2009年から英語教育が小学校から導入されました。このような日本の「言語政策」を分析することもできます。
言語文化政策フィールドでは、さまざまな社会問題を、コミュニケーションという切り口から分析します。フィールドで扱う主な学問は、言語学、社会言語学、比較言語学、教育心理学、異文化コミュニケーション論、言語文化論などです。「人間と人間の共生」を考えます。

学生の研究テーマ例
*The influence of internationalized broadcasts in Japan
*広告に見る日本人のジェンダー観
*笑いとユーモア ―日本とハワイの視点から―
*The Policies to support Newcomer Children in Japan