2024.12.17.
松林志保ゼミが滋賀県東近江市でフィールドワークを実施しました
11月22日、東近江市森と水政策課が実施するエコツアーに参加しました。東近江市は、鈴鹿山脈から琵琶湖までの豊かな自然とその中で人々が織りなす文化を地域資源とみなし、持続的に保全する仕組みとして住民主導型のエコツアーを推進されています。
1000年以上続く水郷集落伊庭では文化継承の地域課題を、愛知川上流では日本でも希少なビワマスの保全課題をご紹介いただきました。ツアーを通して、自然や文化を住民主体で守ることで地域への愛着や誇りを育み、未来へつなぐことを目指した行政の取り組みについて学びました。
町を走る石積みの水路とかつて物資運搬に使われた田舟と洗い場のカワト
茅葺の大濱神社で近江の伝統的奇祭「伊庭の坂下し」のご説明を受ける
堰堤と産卵のための遡上を補助する簡易魚道
アマゴの卵選別作業で漁協の活動体験
ゼミを受け入れてくださった東近江の皆様、貴重な学びの場を本当にありがとうございました。 以下は参加者の声です。
何百年前の生活が目の前に浮かぶようなお話を聞きながら現地を歩くことで、伊庭の文化の価値を実感しました。特に織田信長の人質となった河原崎助右衞門のお話が印象に残っています。当時から人は命をかけて水を守り、今もなおその大切な想いが地域に引き継がれていることに心が動かされました。文化とは人の想いを紡いで形作られていくものであり、物や事に対する必要性は時代を経て想いに変化すること、そしてたとえ一度壊れても人の手で蘇えさせられること学びました。(村上明音さん)
「地域の方は何でもやりたいという方が多い」と行政の方がおっしゃっていたことが心に残っています。地域に寄り添っているからこその言葉だと感じました。地に足を付けた地域への寄り添い方や、持続的な街づくり、景観の継承など、沢山のことを勉強させていただきました。こういった視点を今後の研究でも大切にしていきたいと思います。(安達愛衣さん)
至近距離で見るビワマスの遡上は迫力でした。魚道設置の背景には多くの時間と人の力があること知りました。ビワマスが命をかけて遡上を行うことと同じくらいの熱意をかけて魚道整備に取り組まれている漁協の村山様から、環境課題の解決に向けて行動をおこす信念の大切さを学ばせていただきました。私自身もビワマスの保全に継続的に関わりたいと強く感じました。(長谷川来愛さん)
今回のフィールドワークでお会いした一人一人から東近江の豊かな自然と文化を大切にしたいという強い想いを感じました。また、その価値を守り次世代に継承する上で、地域住民が主体となることの重要性を学びました。行政と地域住民との連携の在り方についての観点から、今後の研究をすすめていきます。(大城慶さん)
生息域が限られた希少種ビワマスが命を繋ぐために力強く川を遡上する姿が目に焼き付いています。人と自然の共生例として、この生息環境を守り、次世代に引き継ぐための地域全体の努力に心から敬意を抱きました。今後魚道の撤去や設置の際には微力ながらもお手伝いさせていただきたいと思います。(大江柊希さん)