西立野修平教授の研究がVoxEU.orgで紹介されました。
中国の「一帯一路」構想(BRI)は、世界各地で大規模インフラプロジェクトの急増を促進してきた。西側諸国にとって、BRIによるインフラ投資は経済・外交・安全保障上の脅威となり得る可能性があり、重要な関心事となっている。本研究は、BRIが日本の海外インフラ事業および日本とBRI参加国との外交関係に与える影響を実証的に分析した。2001年から2020年までの138の低・中所得国を対象としたパネルデータを用い、段階的差分の差分法によるイベントスタディ分析を行った結果、BRIは日本企業によるインフラプロジェクトの受注を抑制し、BRI参加国の政治指導者による日本訪問を減少させたことが明らかとなった。これらの効果は、特に日本と中国のインフラ投資競争が最も激しい東アジア(太平洋地域を含む)および南アジアにおいて顕著であった。推計によれば、BRIの影響により日本企業が失ったインフラプロジェクトは369件、金額にして約120億米ドルに相当し、外国指導者の訪日滞在日数は累計で463日減少した。一方で、日本の政府開発援助(ODA)コミットメントや日本の指導者による海外訪問に対するBRIの影響については、統計的に有意な結果は得られなかった。
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