
卒業生 社会的企業の重要性を学び 営業活動で実践中。
オーストラリア生まれ。米国を経て小学2年生から日本で暮らす。高校時代に貧困に関する論文に取り組んだことから、社会課題を解決するビジネスに興味を持ち人間福祉学部社会起業学科へ進学。授業やボランティア活動を通して社会的企業の重要性、自らの目で見ることの大切さを学ぶ。人や環境に優しい商品づくりに取り組むメーカーに入社2年目、オリジナリティーを大切に営業活動に勤しむ。
「諦めないといけない社会課題はそんなにない」と思えた。
関西学院千里国際中等部・高等部で学び、高校3年生の授業で論文を書く機会があり、アフリカの紛争に巻き込まれた人々の記事を読んで貧困をテーマにしました。もともとビジネスや起業に興味を持っていたこともあって、例えば貧困で困っている人たちに仕事として貢献できる手段はないかと思うようになり、社会起業家や社会的企業の存在を初めて知りました。未来に向けて学ぶべきものはこれだと思っていたところ、先生から関西学院大学の人間福祉学部に社会起業学科があることを教えていただき、進路を決めました。
実際に入学すると、履修した一つ一つの授業が面白く、「仕方がない」と思ってしまうような社会課題にも意外な解決策があったりして、自分が考えている以上に取り組めることは多いと感じました。「諦めなければいけない課題はそんなにない」と分かったことは、4年間の一番の学びです。社会課題の解決に貢献するような仕組みをビジネスとしてつくり、利益もきちんと出していくことで、事業を持続することができます。その意味で、社会起業学科での教えは今の日本、世界に最も必要とされるものであり、それを学生のうちにしっかり理解し、身に付けられたことは大きな糧となりました。社会起業学科の学生には、「すごいな、自分もできるようになりたいな」と思う要素を持っている人がたくさんいました。「これをやる」と決めたらとことんやる学生が多く、先生方もそれに付き合ってくださるので先へ先へとどんどん進んでいける環境でした。
実際に自分の目で見なければ物事は分からない。
授業以外では、1年生の時、大阪市西成区のあいりん地区で「夜回り」ボランティアをしたことが記憶に残っています。
日雇い労働者や生活困窮者がたくさん住んでいるまちは、貧困問題や地域再生を専門分野とする白波瀬達也教授の研究・支援活動のフィールドです。知り合いの学生に「白波瀬先生と一緒に活動してみない?」と誘われて参加しました。
午後3時ごろから地区内の施設でボランティア団体の方がおにぎりを作り、それを2個ずつセットにして、暗くなり始めた18時半ごろからホームレスの人たちを訪ねて回り、手渡します。それまで西成に対しては怖いイメージがあったので当初は緊張していたのですが、そんな自分が恥ずかしくなるくらい温かい人が多く、ほとんどの方が「ありがとう」と言って受け取ってくださいました。インターネットで調べたり、本を読んだりするだけでは貧困を実感することは難しく、この時に初めて、「これは何とかしなければいけない」「こういう人たちを一人でも助けられるような活動が必要だ」という気持ちが強く湧き上がってきたのを覚えています。実際に自分の目で見なければ物事は分からない、と最初に感じた出来事でした。この活動に参加したことで、3年生になったら白波瀬教授のゼミに入ろうと決めました。白波瀬教授に出会えたことには感謝しかありません。
今あるものを生かす発想でまちの魅力を考える。
白波瀬ゼミでは、3年生の春から西成区についての理解を深め、11月から12月にかけて、西成区役所、地元企業と共に「産官学連携による西成区の課題解決・魅力向上プログラム」に取り組みました。ゼミ生が5、6人のグループに分かれて西成を歩き、課題を踏まえてイメージアップにつながるアイデアをプレゼンするというものです。私がまちを見て気づいたのは、若者が興味を持つような古着の店がたくさんあることでした。「古着が面白い」とメンバーに話して同意を得、各古着店の商品を一堂に集めて地域内のスーパーの一角で販売することにより“渋かっこいい”イメージを発信する提案をまとめました。発表では、「興味深い」とおっしゃっていただいた半面、「売り場の確保が難しいかもしれない」との意見も出て、結果的に実現できなかったのは残念でした。他のグループは、イメージアップになるものを新たに創り出す提案が多かったのですが、私たちは今あるものを生かそうという発想から考えたのが特徴的だったと思います。白波瀬教授はエネルギッシュで、その熱意がゼミ生たちにも伝わって来てどんどんパワーアップしていきました。
プログラムを通じて、1年生時の「夜回り」ボランティアと同様に、自分の目で見ないと分からないことばかりだと改めて分かりました。その経験は現在の営業の仕事において、商品を売るためにはデータばかりを見るのではなく、販売する店に行き、売り場の状況を見て提案するという姿勢につながっています。
卒業後に読み返しても納得できる論文になった。
卒業論文は「日本における外国人の受け入れの現状と課題~労働の視点から何を見て何を変えるべきか~」をテーマにしました。
父がイギリス人であること、当時クルド人や外国人労働者の問題がニュースになっていたことなどが理由です。日本はどのような条件のもとで外国人労働者を受け入れているのかを調べ、さらに諸外国の対応と比較検討し、参考にすべき他国の事例などをまとめました。例えば、外国人が暮らしたいと思った場合、日本はクリアしやすい条件が比較的多いのですが、オーストラリアでは国内で不足している職種の人や必要とされる技能を持つ人を優先的に受け入れるなど、自国のメリットにつながるような審査をしており、日本も見直しが必要だと指摘しました。また日本では、文化を理解していない、日本独特のマナーを知らないことで周囲とトラブルになるケースがよく見られることから、伝統文化などに関するテストを行い、一定以上の点数が取れた人を優遇してはどうかというオリジナルのアイデアも盛り込みました。
作成に当たっては、書籍やインターネットで見つけた信用できる文献を参考にし、とりわけ直近の事例はネット上に資料を見つけることが多かったです。そのため白波瀬教授からは「書籍関係が少ないのでは」と注意を受け、ルールが変わっていない場合や少し前の事例などは極力、書籍から探すように努めました。結論までしっかり、きれいにもっていけたと思っており、卒業後に読み返した時にも納得できる論文になるよう導いていただいたと感謝しています。
人としてもオリジナリティーを大切にしたい。
入社2年目になるサラヤ株式会社は、主力であるエコロジーな洗剤の製造・販売をはじめとして環境問題という社会課題の解決に他企業に先駆けて取り組んでおり、それが入社動機の一つでした。私は現在、近畿支店のコンシューマー事業本部で営業を担当し、卸を通じてスーパーやドラッグストアのバイヤーさんに商品の案内や企画の提案をしています。大学での経験を生かして、事前に対象とする店舗を必ずチェックしに行き、入念に観察して、どういったプランが合うのかを徹底的に考えるようにしています。引っ越しシーズンには、新規顧客の獲得を目指し、ある店舗に売価や店頭販促物のデザインなども含めて特設コーナーの設置を提案しました。後日それが採用となり、売り場に商品が並んでいる様子を目にした瞬間は、うれしさが込み上げてきました。ようやく仕事の全体像がつかめてきた段階ではありますが、オリジナリティーのある提案で商品を売るのはもちろん、人としても個性を売って、「バートンさん、また一緒にやろうよ」と言ってもらえるようになりたいです。
弊社には海外事業本部があり、世界各国で営業活動を行っています。また、洗剤の原料を育てているボルネオ島では環境保全活動を展開しています。将来的には海外で、英語を使って仕事ができればと考えています。