人間福祉学部
K.G.

学生 ゼミやインターンシップの経験を いつか故郷の活性化に役立てたい。

社会起業学科 4年生
江口晴仁さん
掲載日:2026.01.08

高知県土佐清水市出身。地元への愛着が強く、将来は土佐清水市に貢献できる存在になりたいと考え、そのためのスキルを得ようと人間福祉学部社会起業学科に進学。ゼミでは能登半島地震の被災地でボランティア活動をしたり、兵庫県西脇市の芳田地区で地域住民と共に地域活性化に取り組んだりしながら、地域のにぎわいづくりのノウハウなどを学んでいる。

地域との関わり方には多様な形があることを知った。

生まれ育った土佐清水市は働く場が少なく若者が仕事を求めて市外へと出て行くため、人口減少と高齢化が年々進んでいます。愛着のあるふるさとに貢献できる仕事がしたいと子どもの頃から考えており、いずれは土佐清水市役所に勤めるつもりでしたが、高校3年生の時、このままの自分では大したことはできないだろうと思い、いったん地元を離れることにしました。将来に役立つ経験ができそうな大学を探していたところ、関西学院大学に在学していた高校の先輩と担任の先生に勧められたこともあり、社会問題について学ぶ社会起業学科に決めました。
2年生の時にNPOマネジメントや災害復興、公共政策などを専門とする石田祐教授の「自治体経営論」を受講し、ゲストスピーカーの生の声を聞く機会がありました。その一人が東日本大震災の復興を支援するNPOの代表者で、「地域活性化は、きっかけをつくることと未来を担う若い人に任せることが大事」という話に感銘を受けました。このNPOでは、地域活性化に取り組む中小企業や団体にスタッフを派遣し共同で事業を進めており、このような地域との関わり方もあると知ったことで、地域を変えるには役所に入るしかないと思っていた視野が一気に広がりました。

特別なスキルがなくても力になれると自信がついた。

3年生になり、石田教授のゼミを選びました。地域支援をテーマにフィールドワークを交えながら学ぶスタイルで、6月には、能登半島地震の被災地でのボランティア活動を模索していたところ、関西学院同窓会西宮支部の方々に同行させてもらうことができました。
特別な技術や知識も持ち合わせていない自分が行っても足手まといになるだけではとちゅうちょしていたのですが、何事にも意欲的で情熱あふれるゼミの仲間たちに引っ張られて参加を決意。がれきの撤去作業を手伝ったり、高齢者施設でたこ焼きを焼いて振る舞ったりしました。お年寄りたちが泣いて喜んでくださったことに驚き、特別なことをしなくても役に立てるのだと自信になりました。「とりあえずやってみよう」と誘ってくれたゼミ生たちのおかげです。彼らと行動を共にしたことで、その情熱を吸収でき、自分もチャンスがあれば何でも積極的に挑戦してみようという気持ちになりました。

組織の中でアイデアを形にする難しさを痛感した。

3年生後半のゼミ活動では、西脇市西南部の芳田地区で活性化事業に携わりました。大半を山地や農地が占める同地区では、人口減少や高齢化が進む中で自治協議会を発足し、住民が主体となった地域の交流イベントなどに取り組んでいます。最初は月12回、イベントを手伝ったり、田植えや薪(まき)割りなどのフィールドワークを行ったりするだけでしたが、やがて自分たちでももっと地域の役に立つことを考えようという声が上がり、皆でアイデアを出し合いました。TikTokで芳田地区の魅力を発信する動画を配信する、地区住民の人物図鑑を作って配布するなどいくつかの案が出たのですが、自治協議会に持ちかけたところ、何かトラブルが起こった時のことを考えると難しいという結論に。組織の中でアイデアを形にする難しさを痛感しました。一方で自治協議会の方からは「地域の人は外から来た人の動きに対し、最初は慎重になりがち。まずは住民たちともっと関係値を高めないと」とアドバイスを頂き、もっと地域に溶け込みたいと考えるようになりました。

相手に本気度が伝われば関係値は深まる。

芳田地区での活動が停滞していた頃、石田教授から「社会起業アドバンスト・インターンシップ」を勧められました。社会政策や福祉事業の分野に取り組む企業・団体を自ら探して実習計画を立て実践するもので、芳田地区で実際に暮らしてみれば地域の人たちとも親しくなれるのではと、1カ月間のインターンシップに挑戦。現地のシェアハウスを借り、平日は自治協議会の業務や地域のイベント準備を手伝い、休日はそのイベントに参加しました。さまざまな現場を見学する中で芳田地区にはボランティアで地域のために尽力している住民が大勢いることを知り、土佐清水でもこのような人たちと関わる方策を考えられればまちを変えられるかもしれないと感じました。
インターンシップ後も月1、2回、ゼミ生と現地を訪れています。自分たちにできることを改めて考えた結果、住民同士がもっと絆を深められる場を設けようと月1回、地区内の旧公民館の一室を借りて「芳田ミッドナイト交流会」を始めました。初回はインターンシップで出会った人を招き、以降はそれぞれの知人を誘ってもらって輪を広げ、毎回、区長を含め約20人が集まっています。自治協議会からは「地区の広報紙に参加募集の案内を掲載しようか」と話を頂き、関係値が高まるというのはこういうことかと実感しました。1カ月滞在したことで、私の本気度が伝わったのかなと思います。私たちの代はもうすぐ卒業しますが、下級生にもこの取り組みを続けてほしいです。

多様な経験を積んでさらに見聞を広げたい。

人間福祉学部にはパッションを持って積極的に物事に挑戦する学生がたくさんいます。私はゼミに入るまで授業以外で特に何の活動もできておらず、もっと早いうちから行動を起こせばよかったと悔やんでいます。
石田教授はゼミ生の一人でしかない私にも親身になって多くの時間を割いてくださり、心から感謝しています。4年生の後半に差しかかってもまだ進路に悩んでいた私に、「自治体経営論」の授業でゲストスピーカーとして来られたNPO法人の代表者を紹介してくださいました。そこにスタッフとして入れば、研修を受けてすぐに日本各地の中小企業や団体で地域活性化事業に携わることができます。でも、今の私では経験が足りなさすぎると感じ、1年間の猶予をいただくことにしました。その間は、現在活動している芳田地区での取り組みに加え、宮城県にあるNPOでの東日本大震災の復興支援活動などを通して見聞を広げるつもりです。可能な限り多様な経験を積んで自らを成長させ、いつの日か土佐清水に戻ってまちを活気づける活動ができたらうれしいです。