人間福祉学部
K.G.

卒業生 スポーツの可能性を学び、 郷里の企業やサッカークラブで 地域貢献に邁進。

四国電力株式会社
加賀見竜馬さん
掲載日:2025.10.27
社会起業学科 2024年卒業

徳島県出身。幼稚園から高校までサッカーに打ち込む。オープンキャンパスで林直也教授のゼミに興味を持ち、社会起業学科へ進学。授業を通してスポーツの持つ力を知り、ゼミではスポーツチームと協力して地域の課題解決などに取り組む。卒業後は地元の電力会社で電気料金プランに関する問い合わせ対応などを担うほか、小学校時代に所属したサッカークラブでコーチを務める。

スポーツには多様な可能性があることを知った。

幼い頃から祖母が地域で更生保護活動をしていたのを身近に見てきたので、自分もいつかは地域に貢献したいという思いを持ちながら育ちました。高校2年生の時に関西学院大学のオープンキャンパスに参加し、スポーツを通じて社会課題の解決を目指す林教授のゼミを知り、ここなら幼い頃から続けてきたサッカーの経験を生かして社会の役に立つ方法が見つかるのではと思い、林ゼミに入ることを前提に志望校を関西学院大学人間福祉学部社会起業学科に絞って受験し、入学しました。

特に印象に残っている授業は、林教授の「スポーツビジネス論」です。スポーツには健康の維持はもちろん、労働力の向上、介護・医療費の削減、協調性や気配りの芽生え、地域愛の醸成につながるなど、さまざまな可能性があることを学びました。林教授の「スポーツは楽しむだけでなく社会の課題を解決するための手段になるんだよ」という言葉は、それまでプレーすることしか考えていなかった私に、新しい視点をもたらしてくれました。

全員がチームのためにという思いを持つことが大切。

3年生で念願の林ゼミに所属しました。ゼミではフィールドワークが多く、三田市を拠点に活動するプロ野球チーム、兵庫ブレイバーズとタイアップして地域の課題解決に向けたイベントの企画・運営にも挑戦しました。まずゼミ生12人が数人ずつのグループに分かれ三田の道の駅で三田が抱える課題を調査し、市内で栽培した農作物の多くが市外に流通するため地域の人に地元の農産物が知られていないことが分かりました。そこで、三田産の野菜や米を使った弁当を作り、ブレイバーズの試合日に販売し、地産地消の大切さをPRすることを企画しました。近隣のファーマーズマーケットで食材を集め、球団が運営する食堂に協力を求めて一緒に考えたメニューを作ってもらいました。弁当以外にも、周辺の農家の方々から規格外の野菜を譲り受けて安価で販売し、三田の方に三田の食材に触れてもらう機会を作りました。来場者から喜ばれるとともに、「三田で野菜の栽培がこんなに盛んだとは知らなかった」という声が聞け、達成感を味わうことができました。約半年の準備期間は就職活動の時期と重なり全員が出席できない時もありましたが「一部の人だけで頑張っても成功しない。一人一人がグループのためにという気持ちで動こう」という林教授の呼びかけで、皆でカバーし合いながら実現にこぎつけました。この経験を通し、メンバー全員の気持ちを一つにすることの大切さが分かりました。

思い通りに進まなくても諦めず打開策を探る。

卒業論文のテーマは、「スポーツチームと地域愛着との関連に関する研究―兵庫ブレイバーズが三田市住民の地域愛着度に与える影響と可能性についてー」です。ゼミ活動で兵庫ブレイバーズの試合に何度か足を運ぶうちに、毎回のように観戦に来る人がいることに気づきました。「彼らはチームはもちろん、三田のまち自体も好きなのではないか」と疑問が湧き、それを明らかにすることにしました。

林ゼミでは、卒業論文はグループで取り組むことになっており、3人で進めました。チームへの愛着と地元への愛着の相関関係を導き出すために、どれくらいの頻度で観戦に来ているか、三田にどれくらい愛着があるかなどを10段階で答えるアンケートを作成し、球場で配りました。1試合の観客が数十人のこともあり集めるのは大変でしたが、何度も足を運び100人から回答を得ました。集計しても相関関係が分かりづらく困っていた時に、林教授から他府県の同様の調査結果と比較するという方法をアドバイス頂き、チーム愛と地域愛との相関関係を示すことができました。一方からだけではなく、視点を変えて粘り強く向き合うことの重要性を感じました。

イベントを通して地元の大学に貢献できたのはいい経験。

大学1年生から関西学院大学のフットサルサークルの一員として活動し、その傍ら地元の友人が所属する徳島大学フットサル部の支援にも力を注ぎました。2年生の時に「四国以外の大学と試合をしたことがなく、指導者がいなくて練習もマンネリ化し、困っている」と相談を受け、まずはチームメイト2人の力を借りて徳島大学のチームを西宮に招いて交流試合を開催しました。さらに、関西ゆかりの元フットサル日本代表選手を練習に招いてはというアイデアが浮かび、SNSを通じて直接本人に依頼したところ快諾してくださり、徳島大学との合同練習会に来ていただきました。

大学3年生では、もっと多くの大学が参加する大会を開こうと仲間と企画を立て、西日本の30近くの大学を回って勧誘。遠征費がかさむので簡単には承諾してもらえませんでしたが、熱意を持って根気強く思いを伝え、結果、3年生の春休みに神戸で14大学が参加する大会を開催することができました。学生だけの運営は、対外的な交渉をはじめ慣れないことが多くて大変でしたが、大会のパンフレットを作成して思いをしっかり伝えることで信頼を得るとともに、兵庫ブレイバーズのイベントで球団や農家の方など学外の人たちとコミュニケーションを取ったゼミでの経験を生かして乗り越えることができ、自身の成長にもつながりました。徳島大学のメンバーからも「初めて全国のレベルを体感でき、チームの課題が明確になった」と言われ、部の強化に貢献できたことに達成感を感じました。大学時代のいい思い出です。

地元に貢献できることに喜びを感じる。

就職活動は地元のために働きたいという思いで取り組み、暮らしに欠かせない電気で地域を支える四国電力株式会社に入社しました。現在は徳島支店営業部に所属し、電話や窓口での個人のお客さまの対応や、電化住宅イベントの企画・運営などに携わっています。給湯器の相談に来られたお客さまから後日「丁寧な説明のおかげで買い替える決心がついたよ、ありがとう」と電話を頂いた時には、地域の方のお役に立てていることに喜びを感じました。また、地元の放送局のテレビ番組に出演して電化キャンペーンの告知を行ったり、阿波踊りで自社の連に入ったりと、地域と関われる場には積極的に参加しています。今後も地域の皆さんとのつながりを大切に、信頼される電力のプロフェッショナルを目指していきたいです。

休日には、小学校時代に所属していたサッカーチームでコーチとして指導に当たっています。私はこのチームでサッカーを続けたことが地域への愛着につながったと思っています。子どもたちにも、チームでの活動を通してふるさとを愛する気持ちを育んでもらい、彼らの中から一人でも多く、地元で働いて地域の力になりたいと思ってくれる後輩が出てきてくれたらと願っています。