言語コミュニケーション文化研究科(関西学院事典)

[ 編集者:学院史編纂室 2014年9月28日 更新 ]
関西学院事典

言語コミュニケーション文化研究科

【沿革】 
 言語コミュニケーション文化研究科(以下「言コミ」)は、本学初の独立研究科として、2001年4月に開設された。
十余年が経過した現在、言コミは、博士前期・後期課程の修了生数や定員の充足率などはもちろん、その研究内容に関しても極めて充実した研究科に成長した。

 本学では、従来から各学部に分属されていた外国語担当教員の多くは、その専門性を生かした授業を学部あるいは大学院で担当する機会が与えられていなかった。
しかしながら、1991年に文部省より出された「大綱化」を受けて、多くの国立大学の大幅な組織改革が実施されるのを機に、本学でも「知的資源(制度的に大学院を担当できない教員)の有効利用」が、93年7月に提案された「大学院指導教授の資格の取扱に関する学長試案」に盛り込まれた。
それを受けて、96年2月に「言語コミュニケーション文化研究科」の開設を検討する答申が大学に提出され、「言語文化学」「言語教育学」「言語科学」の3領域を柱とした斬新なカリキュラム体系をもとにした研究科を目指して、独立研究科開設検討部会が設置された。
その後、98年4月には、開設を前提とする「言語コミュニケーション文化研究科」設置準備部会が設けられた。
その際には、大阪府教育委員会、兵庫県教育委員会や近隣の大学(大阪大学、神戸大学、兵庫教育大学、姫路獨協大学など)に出向いて意見聴取を行うとともに、学会でアンケート調査なども実施した。
さらに、この開設準備部会は、文部省への事前相談も行いながら、申請に必要な各種の書類作成の準備を行った。
また、2000年9月には準備部会のメンバーを中心に、三田の千刈セミナーハウスで合宿して開設に向けた集中討議を行うなどの準備を行い、6月に文部省に届出申請し12月22日に最終的に大学院開設認可が下りた。
言コミは、言語教育研究センター(言セン)構成員によって支えられた組織として設置されたことにより、研究科委員長は言セン・センター長を兼務することとなった。
初代研究科委員長に、八木克正教授が就任した。

 2001年4月に昼夜開講制を基礎にした言コミ修士課程が開設された。
初年度(2001年度)入試では、定員30名に対して119名もの志願者があり、計59名が入学した。
修士論文コース37名、課題研究コース22名であり、また領域別では、言語科学16名、言語文化学9名、言語教育学34名で、その中には、既にアメリカで修士課程を修了した者や日本の大学で修士学位を取得済の者、現職の中学・高等学校英語教員を含む多様な学生がいた。
同年6月には文部科学省に対し博士後期課程の設置申請を行った。
そして、03年4月に待望の博士課程後期課程が開設された。
08年、G号館の完成により研究科の施設をすべてG号館1階に集中させることになった。
次いで11年には、研究科間協定を締結している北京第二外国語学院と南京大学との間で博士前期課程についてダブルディグリーに関する協定を結んだ。

 関学の中では比較的浅い歴史を持つ本研究科は、開設当初から学生・教職員が共に研究科を盛り立てていこうという雰囲気にあふれていた。
例えば授業評価に関しては、開設当時は他の研究科では行っているところも数少なかったが、本研究科では時代に先駆けて毎学期、授業の最終時に授業アンケートを実施し、次学期の授業の参考にした。

 本研究科では独立研究科の利点を生かし、従来の既成概念にとらわれず、新しいコンセプトの下に新しいシステムを導入して教育研究活動を開始した。
研究科のカリキュラムはいくつかの特長をもっているが、その一つに言語コミュニケーション能力養成科目があった。
これは言語に関する大学院レベルの高度な運用能力を養成するために設けられた授業科目であり、英語の母語話者が担当することになっている。
また、課題研究におけるアドバイザリー・コミッティ制度ももう一つの特長である。
アドバイザリー・コミッティ制度とは、社会人を対象にした課題研究コースにおいて、3名の教員(アドバイザー1名とサブ・アドバイザー2名)が1名の学生を指導することによって、修士論文に代わる課題研究論文を2年間でまとめ上げるという制度である。

 研究科の教員および学生の研究意欲を高め、言語コミュニケーション文化学を追究していくための組織的な活動として、本研究科教員と院生による言語コミュニケーション文化学会が創設されている。
この学会の総会と、各界から著名な研究者を招いて行う講演会は毎年6月に開催されている。
言語コミュニケーション・フォーラムはこの学会主催で開催される研究発表会であり、毎年9月と2月に開催され、多くの院生が日頃の研究成果を発表している。
また、2004年1月には学会誌『言語コミュニケーション文化』の第1号が刊行され、現在までに10号を数えるに至っている。
なお、この雑誌は一般会員、修了会員のほか、本研究科と関連分野をもつ全国の大学および大学院に送付されている。

 さらに、本研究科では、教員の教育能力を高めるためにファカルティ・ディべロップメント(FD)にも重点を置いており、開設当初からさまざまな関連行事を行ってきた。
この数年は、研究科執行部教員と院生会執行部学生による研修会を行い、授業、設備、研究科関連行事等に対する学生の意見を積極的に吸い上げ、研究科全体の改善の糸口を探っている。

 本研究科は2013年度末をもって開設後満13年が経過した。
この間の修了生の数については、前期課程が285名、後期課程が30名となっている。
修士号は285名、博士号(課程博士)は12名である(2013年度末現在)。

【現状】 
〔学生〕言語コミュニケーション文化研究科の学生数は、前期課程は2014年度入学生17名、2年生29名で合計46名、後期課程は14年度入学生2名、2年生4名、3年生6名で合計12名が在籍している(2014年5月1日現在)。
学生の受け入れは、前期課程は一般入学試験を年3回、学内推薦入学試験を年2回実施し、後期課程は一般入学試験で春学期入学分を年1回、秋学期入学分を年1回実施し、これらの入学試験によって学生を選抜し、入学を認めている。

〔教職員〕41名の教員が在籍している。
言語コミュニケーション文化研究科の事務は教務機構事務部(言語教育研究センター)が担当しており、専任職員1名、契約職員1名、派遣職員1名、アルバイト職員1名が主に研究科事務を担当している(2014年5月1日現在)。

【文献】『関西学院大学大学院言語コミュニケーション文化研究科10周年記念誌:2001~2011』2012