理工学部(関西学院事典)

[ 編集者:学院史編纂室 2014年9月28日 更新 ]
関西学院事典

理工学部

理工学部

理工学部

【沿革】
 理工学部の前身である理学部は関西学院創立70周年記念事業の一環として1961年に創設された関西学院初の理系学部である。
57年にソビエト連邦が打ち上げた人類史上初めての人工衛星は、米ソ対立の厳しい冷戦下にあった当時の世界に強い衝撃を与えた。
いわゆる「スプートニク」ショックである。
このような情勢の中で、当時の文部省は、日本の経済発展を支える科学技術者の大量不足に対応するために、科学技術者養成の施策を重点的に実施した。

 このような社会情勢のもとで、理系学部設置の必要性を痛感した理事会は、物理学科、化学科、生物学科からなる理学部設置案を答申した。
これを受けて大学側は、大学としては工学関係の学科を加えた理工学部の設置を希望するが、財政的な事情によっては、理学部から出発し将来工学系の学科を増設するという方針を採ることもやむを得ないという回答を行った。
さらにこの時、同窓生から強い要望があった社会学部を設置する案が大学より提出された。
理系学部設置のためには、経営的見地から社会学部設置により学生数の増加を図ることが適切であると考えられた。
このような大学の回答を受け理事会は、1959年7月理学部、社会学部の両学部設置を決議した。
このとき、財政的な問題を考慮して、社会学部と理学部の開設年次をずらし、社会学部を60年4月、理学部を61年4月に開設することを決定した。

 理学部創設の準備は、初代理学部長となった大阪大学理学部教授仁田勇を中心に進められた。
理学部の認可申請は、1960年9月30日付で文部省に提出され、61年3月10日付で認可された。
建学の精神であるキリスト教主義教育に基づいて自然科学の教育と研究を実践することを目的に創設された理学部は、当時社会的要請の強かった物理学科と化学科の2学科で構成された。
物理学科には数学に傾斜した分野、化学科には生物学に傾斜した分野を含ませ、小規模な理学部ではあるが自然科学の根幹となる領域をほとんど含むように配慮した。
両学科の定員をそれぞれ50名として、数多くの優秀な教授陣と最新の教育・研究設備を備えて、質の高い少人数教育と研究指導を目指した。
教育や研究が有効な成果を上げるため、研究室や装置の共同利用に努めるとともに、両学科の有機的なつながりを配慮した運営が行われた。

 理学部の完成に合わせて、1965年4月に物理学専攻と化学専攻(入学定員各10名)からなる大学院理学研究科(修士課程)が開設された。
さらに、67年4月に第1回理学修士が課程を終えるのに合わせて大学院理学研究科博士課程(物理学専攻、化学専攻)が開設され、理学部2学科、理学研究科2専攻の体制が確立した。
理学部、理学研究科はその後およそ50年にわたって順調に発展を続け、最終的に学士7,649名(物理学科3,391名、化学科2,907名、生命科学科436名、情報科学科915名)、修士1,587名(数理科学専攻7名、物理学専攻541名、化学専攻672名、生命科学専攻122名、情報科学専攻245名)、新制博士号取得者213名(甲号154名〈数理科学専攻1名、物理学専攻45名、化学専攻96名、生命科学専攻9名、情報科学専攻3名〉、乙号59名)を社会に送り出した。
卒業生は産業界をはじめ教育機関、研究機関などの諸分野で幅広く活躍し、高い評価を得ている。

 20世紀末には、冷戦構造が崩れ新たな世界構造が模索されていく中で、対外的にはグローバル化、国内的には少子高齢化の進む日本社会も新たな展開を目指して体制の変革が求められるようになった。
このような新しい時代の要請に応えていくため、1998年に学内に理学部改組転換準備部会が設けられ、生命科学と情報科学の分野の拡充の検討が始まった。
理学部改組転換準備部会には理学部の委員のみならず他学部からの委員も参加し、理学部教授会と密接に連携をとりながら改組転換計画がまとめられた。
この計画は、関西学院大学全体の教育体制および整備発展計画に基づき、神戸三田キャンパスの有効利用と理系学部充実の観点から、2000年3月開催の大学評議会で承認された案は、01年夏季休暇中に理学部を西宮上ケ原キャンパスから神戸三田キャンパスに全面的に移転させるとともに、02年4月に生命科学科および情報科学科の新設と物理学科、化学科の拡充を行うことを骨子とするものであった。

 生命科学科は、理学部創設以来化学科内にあった生物学の分野を独立・拡充させるものであったのに対し、情報科学科は全くの新設であった。
また、物理学科内に物理学専攻と数学専攻の2専攻を設置し、物理学科内にあった数学の分野を充実させた。
工学的色彩の強い情報科学科を加え、2002年に学部の名称も理学部から理工学部に変更した。
入学定員は物理学科物理学専攻60名、数学専攻26名、化学科60名、生命科学科40名、情報科学科100名、合計286名とした。
生命科学科の設置および学部名称の変更は01年5月29日に、また、情報科学科の設置は01年8月1日に文部科学省より認可された。
02年4月に生命科学科、情報科学科を含む4学科体制がスタートし、06年3月には理工学部として初めての卒業生を送り出した。
当初物理学専攻と化学専攻から出発した大学院理工学研究科は、04年4月に生命科学専攻を、また06年4月に情報科学専攻を設置した。

 理工学部は2002年の創設以来順調に発展してきたが、関西学院大学全体の拡充に連動して理系分野をさらに拡充するために、物理学科数学専攻を数理科学科として独立させて基礎部門を充実させると同時に、工学系学科である人間システム工学科を開設することが、08年3月の大学評議会で承認された。
08年4月26日に文部科学省に上記2学科設置の届出を行い受理された。
2学科増設と同時に、生命科学分野の急速な進展に対応するため、生命科学科を拡充して、学科内に生命科学専攻と生命医化学専攻の2専攻を設置し、09年4月から生命科学科内に2専攻を含む6学科体制となった。
各学科の定員は、数理科学科75名、物理学科75名、化学科75名、生命科学科生命科学専攻40名、生命医化学専攻40名、情報科学科75名、人間システム工学科80名、合計460名とした。
さらに、理工学研究科数理科学専攻修士課程を09年4月に、博士課程後期課程を11年4月に開設した。
人間システム工学専攻については、新学科完成に伴い13年4月に開設した。
13年度の理工学研究科の入学定員は、数理科学専攻10(2)名、物理学専攻22(3)名、化学専攻33(6)名、生命科学専攻33(5)名、情報科学専攻22(2)名、人間システム工学専攻25(2)名である(最初の数値は前期課程定員、カッコ内は後期課程定員)。
これにより、理工学部6学科、理工学研究科6専攻の体制が確立した。
この間、理工学部は11年4月に創設50周年を迎え、50周年記念事業が企画された。
物理学科卒業生で08年度日本学士院賞を受賞した中井直正筑波大学大学院教授による学術講演会を10年4月に開催したのを皮切りに、50周年記念の広報誌「拓く」および記念DVDの作成、卒業生も参加して行われたソフトボール大会、50周年記念式典および記念パーティなどの行事が行われた。
締めくくりとして、11年11月に「人のいのちと環境」と題する記念シンポジウムが上ケ原キャンパス中央講堂において開催された。

【現状】
〔キリスト教主義教育活動〕人としてどのような人間観、価値観、倫理観などをもって生きていくべきかキリスト教の立場から考えることを通して、生きる意味について深く考え真に豊かな社会の形成に貢献できる学生を育てるよう努めている。
キリスト教学の授業においてキリスト教の基本的な考え方を学ぶとともに、週2回のチャペル(礼拝)を通して日常の喧噪の中では気付かない心の世界に目を向け、深く沈思する宗教的経験に触れる機会を設定している。
チャペルでは宗教主事を中心に、理工学部の教職員によるメッセージ、学内外から招待した講師の講話、音楽による賛美礼拝など多彩なプログラムが実施されている。

〔教育課程〕理工学部4年間の教育課程は、低学年次においては広い視野と健全な倫理観をもって世界に貢献できる社会人を育てることを目標に、キリスト教科目をはじめとする総合教育科目を配すると同時に、専門教育の基礎となる数学、物理学、化学、生命科学、情報科学に関する基礎科目を開講し、学科の区別なく幅広く学ばせるようにしている。
その上に立って、2年生、3年生の専門科目では、各学科で基幹となる科目を中心に系統的に科目群を設定し、選択必修科目としている。
これにより、自然科学を基礎から先端的な内容まで体系的に幅広く学修させ、基礎を専門分野の応用へとつなげていく能力が身に付くようにしている。
また、自然科学を体得する上での実験や演習の重要性に鑑み、実験科目・演習科目を重視するよう履修指導している。
実験科目・演習科目では、大学院生の教学補佐が補助業務を行うため、数人の学生に1名の指導者がつき、きめ細かい指導がなされている。
特に、生命科学科では、学外の施設に宿泊して行う臨海実習にも力を入れている。

 4年生では、各研究室に学生を配属し、1年間を卒業研究に専念させるようにしているのも、理工学部カリキュラムの特色である。
少人数で個別指導を行い、質の高い専門教育を実現する卒業研究(数理科学科では「数学特別演習」、他学科は「外国書購読」「輪講」「卒業実験及び演習」)は、理工学部教育のまとめとして位置付けられている。
各研究室では、指導教員から研究上の指導を直接受けるとともに、研究室の構成員との共同活動を通して、人間形成の面でも得るところが多い。

 専門教育における必要性や国際社会での活躍を視野に入れて、英語教育にも力を注ぎ、大切にしている。
専任教員4名(うちネイティブ・スピーカー1名)とネイティブ・スピーカーの英語常勤講師7名の体制で、従来のライティングとリーディングはもとより、実践的なコミュニケーション能力の涵養に力を入れている。
1、2年次にライティング、リーディング、コミュニケーションを統一的に教授し、3年次には夏季集中キャンプを実施する理工学部の英語プログラムは、2005年度の文部科学省「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)」に「理系のためにデザインした英語教育プログラム」として採択され、高い評価を得ている。

 理工学部における履修を円滑に無理なく行えるように、学期ごとに履修単位数制限(優秀な学生には緩和措置)を設定し、きめ細かい履修指導を行っている。
学科単位で行う履修指導に加えて、各教員が各学年6~7名の学生を担任として受け持ち履修指導から生活上の相談まで、一人ひとりの状況に応じた対応が行われている。
また、優秀な学生の励みとなるように、2005年度より導入されたGPA(Grade Point Average)を利用して、その上位者を表彰している。

 理工学研究科では、博士課程前期課程は自然科学についての広い理解と、物理学、化学、生命科学、情報科学および人間システム工学の各専攻分野における専門的学識の修得を図り、専攻分野における研究能力または高度に専門的な職業に柔軟に対応できる能力を養うことを目指している。
博士課程後期課程は、各専攻分野において自立した研究を行う能力、深い専門知識を必要とする職業につく能力を養うことを目的としている。
自然科学の専門科目だけでなく自然科学・科学技術の応用と密接に関係する知的財産やベンチャー企業創成に関する授業も開講し、社会の動きにも対応できる見識を深められるようにしている。
こうした理工学研究科における自然科学・科学技術の基礎を重視する教育と研究は、社会のさまざまな分野で活躍できる柔軟な能力や、専門分野で高度な研究を行う能力の養成に成果を上げている。
さらに先端的研究の幅を広げて大学院教育を充実させるために、学外の研究機関と連携して大学院教育を推進する連携大学院も、大型放射光施設SPring-8(独立行政法人理化学研究所、日本原子力研究開発機構、高輝度光科学研究センター)、産業技術総合研究所、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター、兵庫医科大学と協定を結んで実施している。

 さらに理工学研究科では、急速にグローバル化する世界に対応して国際化を推進するために、サティヤ・ワチャナ・キリスト教大学(インドネシア)で1年間学んで修士学位を取得した学生を受け入れて1年半の学修で本学の修士学位を授与するツイニング・プログラムを2007年9月より、また英語のみで提供される国際修士プログラムを12年9月より開始した。

〔学生活動〕理工学部の学生には、上ケ原キャンパスを中心とする体育会所属のクラブで活躍する学生は少ないが、多くの学生が神戸三田キャンパス内のサークル等に所属して課外活動を行っている。
また、ハンドベルや理工学部アンサンブルなどの音楽団体に所属して、チャペルの音楽礼拝で演奏活動を行っている学生もいる。
2012年7月の教授会で「理工学部の学生間の親睦、学生生活の向上を図り、依って理工学部ならびに神戸三田キャンパスの発展に寄与する」ことを目的として、理工学部公認の学生団体Sci-Tech Main Truss(Mains)の設立が承認され、さまざまな親睦活動を展開している。
理学部時代から続いているソフトボール大会も毎年実施されている。
学生の学修活動の拠点となる施設であるアカデミックコモンズが13年4月より供用が開始され、ハード・ソフト両面で新しいコンセプトの下で運用がなされている。

〔学生募集・入学者選抜〕入試制度は毎年見直しが行われ多様化が進んでいるが、大きく分けて旧来の筆記試験によって選抜する一般入学試験と小論文や面接などによって選抜する各種入学試験が実施されている。
2月初めに実施される学部の一般入学試験では、学科別に選抜を行っている。
一般入学試験の方式も多様化しているが、全学日程と学部個別日程で行われる入試では、入学試験科目は英語・数学・理科の3科目で、英語・数学は必修、理科は物理、化学、生物の中から1科目選択(科目の選択範囲は学科ごとに異なる)させている。
関学独自方式では、試験科目を絞って特定の科目に秀でた学生を選抜している。
各種入試には、スポーツ選抜、帰国生徒、グローバルサイエンティスト・エンジニア、AO、外国人留学生、公募制推薦、指定校推薦、協定校推薦、提携校推薦、関西学院千里国際高等部推薦、関西学院高等部推薦、継続校推薦入学試験が実施されている。
これらの入学試験によって、多様な能力をもった学生を選抜している。

 理工学研究科の一般入学試験は、8月(第1次)と2月または3月(第2次)に行われている。
一般入学試験以外に、推薦、特別学生(社会人・外国人・外国大学卒業者)、国際修士プログラムの特別学生(外国人留学生・一般)および後期課程への編入学試験を実施している。
一般入学試験では、筆記試験に加えて面接も行っている。
国際修士プログラムの特別学生および後期課程学生については、入学時期を4月と9月に設定している。
特別学生は、入学後半年以上の学修の結果によって、正規学生への移行が可能である。

〔研究活動〕研究を推進する上で重要な最先端の研究設備が、大学や関西学院全体の理解と国庫補助等により導入されている。
これらの装置を利用して活発な研究活動が行われ、学部および大学院の教育に有効に生かされている。
本学部教員の研究成果は、国内外の学会等で高い評価を受けている。
民間企業との共同研究実績では、1件あたりの受入額で全国国公私大中第4位であった。
また、理工学部が大きなウェイトを占めている2013年度新規採択の科研費の採択率は44.8%で、関西学院大学は全国5位であった。
さらに、12年度には化学科の羽村季之准教授が、13年度には人間システム工学科の長田典子教授が文部科学大臣表彰を受賞した。
これらのことは、理工学部、理工学研究科の研究の質の高さを示している。

 外部資金の獲得も積極的に行われており、公的資金や民間からの資金がさまざまな研究プロジェクトで使われている。
2013年度に実施されている主な研究プロジェクトとしては、文部科学省「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」7件、経済産業省「地球温暖化対策技術開発事業」1件、JSTの(A-STEP)本格研究開発ステージシーズ育成タイプ1件、フィージビリティ・ステージ探索タイプ8件、CREST1件、さきがけ1件、先導的物質変換領域(ACT-C)1件、産学共創基礎基盤研究プログラム1件、国家プロジェクトへの参画(次世代パワーエレクトロニクス研究開発機構、つくばパワエレコンストレーションズ)などが挙げられる。
これらの外部資金を活用して博士研究員やリサーチ・アシスタントなどを採用し、研究の活性化を図っている。

〔国際交流〕学部の外国人留学生は少ないが、大学院では2012年9月、国際修士プログラムを始めたこともあり、増加傾向にある。
サティヤ・ワチャナ・キリスト教大学とのツイニング・プログラムの協定に加えて、3年間台湾師範大学の学部で学修した学生を国際修士プログラムで受け入れて2年間の課程を修了した時点で学士と修士の2つの学位を授与する協定を締結するなど、海外の大学とさまざまな協定を結んで留学生を確保していく方針であり、今後学生レベルでますます国際化が進展していくと考えられる。
研究面では、自然科学・技術分野の国際連携が進んでおり、多くの研究室が海外の大学や研究機関の研究室と共同研究を行っている。
また、国際学会における研究発表も活発に行われている。
協定を結んでいる中国の吉林大学の教員が毎年客員研究員として理工学研究科に在籍するが、それ以外にも海外から客員教員(招聘A、B、C)、研究員、博士研究員を積極的に受け入れている。

〔社会との連携〕近年開かれた大学として、社会との多様な連携が進展している。
教育面では、オープンラボ、研究室見学、出前授業などを通して、高校や中学の理科教育の活性化に取り組んでいる。
特に高大連携活動として、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けた隣接する祥雲館高等学校と連携してその活動を支援している。
研究面では、連携大学院で協力関係にあるSPring-8、産業技術総合研究所、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター、兵庫医科大学の他に、東京工業大学大学院理工学研究科、吉林大学生命科学院、大阪大学大学院理学研究科、マルケ・ポリテクニック大学(イタリア)などと協定を結んで、さまざまな研究交流を行っている。
産官学連携や民間企業との連携も、共同研究、受託研究、研究助成などの形で活発に行われている。
2009年度には、大型放射光施設SPring-8の「フロンティアソフトマター開発専用産学連合ビームライン」事業に18企業とともに参画し、成果を上げている。
また、地元の三田市や兵庫県との連携も重視して、地域の活性化に協力している。

〔男女共同参画〕2010年度女性研究者支援モデル育成事業に関西学院大学の「“Mastery for Service" に基づく女性研究者支援」が採択され、主に理工学部の女性研究者の研究をサポートする取り組みが始まった。
育児中の女性研究者に補助者をつけるピンチヒッター制度を中心に活発な支援活動が実施され、着実に成果を上げ、男女共同参画進展の端緒を開いた。
この事業は12年度に一旦終了し、13年度からは関西学院全体を対象とする男女共同参画推進本部が引き継いでいる。
理工学部では、独自に男女共同参画宣言を行い、女性教員採用におけるポジティブアクション、育児支援、キャリア支援などを継続している。
さらに女性研究者を対象として、13年2月、第2回猿橋賞を受賞した山田晴河教授を記念する山田晴河賞を創設した。

〔危機管理〕理工学部では、教育や研究の性質上、長年にわたって危機管理体制の整備に熱心に取り組んできたが、2006年度に2件の火災が発生したことを踏まえて、危機管理体制の大幅な見直しが行われた。
これにより、安全管理マニュアルの作成、複数の教員による各研究室の安全査察、夜間の出入りの管理など危機管理体制が整備された。
近隣の消防署の協力を得て、学生も交えた防火訓練を年1回行っているが、震災や火災の経験を踏まえて、人命優先を徹底し避難後の安否確認に重点をおいて実施している。
また、実験中の事故等に備え、救急病院のリストを作成し緊急時に対応できるようにしている。
危機管理の一環として、廃棄物管理にも力を入れている。
学科ごとに廃棄物処理の講習会を開催し、適切な廃棄物処理を徹底している。
常時見回りを行い、問題が見つかった場合は、各研究室に文書を配布して注意喚起している。

〔教職員組織〕理工学部教授会は本学部所属の教授・准教授および専任講師をもって構成している。
教授会メンバーは、宗教主事1名、外国語教員4名、各学科所属の教員69名(数理科学科11名、物理学科12名、化学科12名、生命科学科12名、情報科学科11名、人間システム工学科11名)の計74名である(2014年5月1日現在)。
理学研究科委員会は、外国語教員、宗教主事を除く専任講師以上の教員で構成される拡大研究科委員会の形で開催している。
この他に、国際修士プログラム担当の外国人任期制助教2名、ネイティブ・スピーカーの英語常勤講師7名、主に学生実験を担当する教育技術主事・実験助手・技術職掌・契約助手17名が理工学部に所属している。
また、神戸三田キャンパス事務室理工学部担当の職員は20名(専任職員9名、契約職員1名、派遣職員4名、アルバイト職員6名)が配置されている。
警備・用務関係の業務については外部委託している。

〔学部拡充計画〕理工学部は、2002年に理学部から名称変更されて以降順調に拡充発展してきたが、この間大学全体の拡充もあり、総合大学の理系部門を担うにはなお十全とは言えない状態にある。
このような状況を受けて、理学部時代から伝統のある自然科学の基礎分野と連携しつつ、現代日本の抱える課題に寄与することのできる応用的な学科を15年4月に増設する理工学部拡充計画案が、大学の新中期計画に沿って策定され、12年2月の大学評議会で承認された。
増設する学科としては、今後の日本社会再建の柱となるグリーンイノベーションとライフイノベーションに貢献できる先進エネルギーナノ工学科、環境・応用化学科、生命医化学科の3学科が構想されている。
新設3学科の入学定員は、それぞれ80名を予定しており、理工学部の総入学定員は現在の460名から700名に拡大することが、14年6月30日届出認可された。

【参照】Ⅱ 205,229【文献】『関西学院大学理学部20年史』1981;『関西学院大学理工学部50年のあゆみ』2012