保健だより(2015年11月)


園医 芦田先生から

ボタン電池を飲んだかもしれない、さあどうしましょう

 私たちの身の回りにどんどん増えてきたボタン電池、どこのお宅にもほぼ必ず置いてあると思います。このボタン電池に関するトラブルが最近増えています。一番多いのは、こどもが間違ってボタン電池を飲んでしまう事故です。大きさ、形ともいかにもこどもの口に入りやすそうにできているでしょ。もしこどもがボタン電池を飲んでしまったら、あるいは飲んでしまったかもしれないのならどうしたらいいでしょう。
 飲んだかもしれないこどもが12歳未満だったりそのボタン電池の直径が12mmを超えていたりする場合、これはただちにレントゲン撮影が必要です。となると、この文章を読んでおられる皆さんはほぼすべてあてはまると思います。つまりボタン電池を飲んだかもしれない場合はすぐに医療機関(レントゲン撮影ができる規模)を受診しなくてはならないのです。そしてボタン電池が食道にとどまっている場合は2時間以内に緊急摘出が必要となります。大変な話です。どうしてボタン電池が食道にとどまっていた場合は慌てなくてはならないのでしょう。
 その理由は次の3つです。①電池構造が壊れた場合のアルカリ性内容による組織損傷、②電池の圧迫による圧壊死、③放電による電流が引き起こす組織損傷。特にこの③が問題になります。なんか難しい話になってしまいましたが、要はボタン電池が食道の粘膜の所に引っかかると粘膜に電流が流れてそこがただれ、遂には食道に穴が開いてしまうケースがこわいのです。だからそのまま様子を見ていてはいけないことがはっきりとガイドラインでも示されています。
 とは言っても、夜間や休日にすぐにレントゲンを撮ってくれる施設を見つけることは大変です。ましてやボタン電池の緊急摘出ができる医療機関は都市部の大病院でも限られてしまいます。だからそういうことが起こらないように、こどもの手の届く範囲にボタン電池を置かないようにしてください。ボタン電池そのものだけでなく、ボタン電池が装着されている機器(リモコン、ゲーム機)なども同様の扱いが必要です。事故が起こってから行動するのではなく、いかに事故が起こらないように予防するか、それを常に頭に置いてボタン電池のトラブルを防ぐようにしてください。

 

芦田 乃介 (関西学院 聖和幼稚園園医)