保健だより(2014年11月)

インフルエンザの予防接種って本当に効くの?

2014年11月20日 ~園医・芦田先生から~

 このところ朝晩の冷え込みがきつくなり、それに比べて日中の気温が高くなるので、服装に気を遣う時期です。私は皮膚感覚が鈍いのか、結構薄着で過ごしています。まだこの時期は診察場では半袖のポロシャツです。「やせ我慢をしているんじゃないの」と家人に言われますが、決してそうではありません。本当に半袖で気持ちいいんです。大体そんなに痩せてもいませし・・・。

 さて話題がそれてしまいました。今回はインフルエンザの予防接種についてのお話です。10月の半ばから予防接種が始まっているので、もうすでに接種されたお子さんもおられるかもしれません。1回目と2回目の接種間隔は2~4週なので、まだ2回を完了されたお子さんはそれほどおられないでしょう。このインフルエンザの予防接種、毎年多くの人が接種されます。でも「予防接種を受けたのにかかってしまった」なんて話をよく耳にされると思います。インフルエンザの予防接種って本当に必要なんでしょうか?
 確かにインフルエンザの予防接種を受けても、実際のインフルエンザにかかる子はおられます。その率は残念ながらあまり低くありません。ただ具体的に予防接種をした中で何%のお子さんがインフルエンザに罹ったかとの数字は出せません。それは地域の流行の度合いがその数字に大きく影響するからです。たとえばA市でインフルエンザの流行が見られなければ、予防接種を受けていていたのに実際の病気になるお子さんも少なくなります。逆にB市で大流行したら当然実際にかかってしまう子は増えてしまいます。二つの市で同じワクチンを使っていても、その数字に差が出るのは当たり前です。だからこのような方法では有効率が出せないのです。
 じゃあ、インフルエンザの予防接種は効かないのか、となるとそんなことはありません。予防接種を受けたグループ全体と受けていないグループ全体とで比べてみると、インフルエンザにかかる率は差が出るようですし、また予防接種を受けていなくてインフルエンザに罹った人に対してもし予防接種がなされていたら、6割~8割の人がかからずにすんだであろう、との推測も出されています(どのような方法で計算したのかは私も知りません。このあたりは医学の話ではなく、統計学の話になろうかと思います)。それにインフルエンザの予防接種自体が非常に副反応の少ない予防接種です。だから、受けることによって被る健康被害がほとんどありません。それなら受けておいた方がいいと思いませんか。特にもともと基礎疾患のある人(喘息やてんかん、その他の病気で普段から薬を飲んでいるお子さん)や妊婦さん、それに65歳以上のお年寄りはぜひとも予防接種を受けておいてください。65歳以上のお年寄りに限っては、インフルエンザの予防接種を受けることでインフルエンザによる死亡率を下げることができることがきっちりと証明されています。
 インフルエンザの脳症(こわい怖い合併症)は、残念ながら早期の抗インフルエンザ薬投与で防ぐことはできません。治療が遅かったから脳症になるのではなく、インフルエンザに罹った瞬間に脳症のスイッチが入ってしまうと言われてしまいます。だから100%の効果はないかもしれませんが、少しでも予防効果が期待できるインフルエンザの予防接種を受けて、インフルエンザ自体にかかることを防ぐことがとても大事だと思います。
 

芦田 乃介 (関西学院 聖和幼稚園園医)