産業研究所
K.G.

日本貿易振興機構(JETRO)との連携
(2026年度の活動)

※いずれも肩書は講演時のものです

7/23<フィールドスタディ>「マルヤナギ小倉屋訪問」報告

2026年7月23日(木)、産業研究所と日本貿易振興機構(ジェトロ)神戸との共催企画として、マルヤナギ小倉屋(神戸市東灘区)においてフィールドスタディを実施しました。

本フィールドスタディは、「日本の伝統食材が世界のスーパーフードになるまで ~マルヤナギが挑むグローバル戦略の裏側~」をテーマに、豆という日本の伝統食材を扱う地元食品企業が、海外市場に向き合う際に直面する課題や経営判断の難しさを実例から学び、企業活動とグローバル化の関係について理解を深めることを目的として実施したものです。

当日は、6学部・1研究科からあわせて10名の学部生・大学院生が参加しました。まず、2024年11月にオープンした、同社のコンセプトショップ「まめむぎマルシェ」を見学し、商品展開や売場づくりの工夫に触れました。

その後、事業紹介や海外展開の取り組みについて説明を受け、伝統食材の価値を受け継ぎながら、健康志向や食文化の変化を踏まえた商品開発・ブランド戦略に取り組んでいることが紹介されました。特に、会社設立以来68期連続で黒字を維持しているという堅実な経営実績や、短期的な流行に左右されるのではなく、「付加価値のある商品をお客様に届けたい」という想いが、参加学生に強い印象を与えました。

つづく座談会では、海外市場における日本食材の受け入れられ方、健康志向や食文化の違い、商品価値の伝え方からキャリア形成にいたるまで多岐にわたり、社員の方々と意見を交わしました。海外展開にあたっては、パッケージ表記や現地の基準、食文化の違いなど、国内市場とは異なる制約や課題があることも共有され、学生たちは、海外市場を開拓することの難しさと面白さを具体的に学びました。また、海外展開の際のジェトロからの支援にも触れ、企業が海外市場に挑戦する際に、外部機関との連携が重要な役割を果たすことについても理解を深めました。

参加者からは、「伝統的な食材であっても、見せ方や伝え方によって新しい価値を生み出せることが印象的だった」、「利益を追求した商品を作っているから売上も伸びていると思っていたが、時代に左右されない本質的に良い商品を作っていると知った」といった感想が寄せられ、身近な食品の背後にある企業努力や、グローバル展開の実際について理解を深めた様子がうかがえました。

日本の伝統食材を世界に届けるため、海外市場におけるブランド戦略、食文化の違いを踏まえた商品展開の重要性、地域に根ざした企業活動と国際展開の接点など、多くの学びを得られ、大変有意義な機会となりました。

<講演会>「地政学リスクと経済安全保障~国家間対立が企業活動とサプライチェーンに影響する背景~」報告

2026年6月11日(木)、日本貿易振興機構(ジェトロ)大阪本部との共催により、ジェトロ調査部国際経済課課長代理の北見 創氏を講師にお招きし、講演会「地政学リスクと経済安全保障~国家間対立が企業活動とサプライチェーンに影響する背景~」を開催しました。

本講演では、米中対立やウクライナ・イラン情勢の不透明化、アメリカの政治動向など、急速に変化する国際情勢を背景に、近年関心が高まる経済安全保障について、実例や調査結果を交えながら解説が行われました。不確実性が常態化する中、企業はサプライチェーンの構築において、地政学リスク、デジタル化、サステナビリティ、人材不足といった課題への対応が求められていることが示されました。また、昨今の原油供給不安に起因する「ポテトチップスの袋が白黒になる」等の身近な事例にも触れられ、国際情勢の変化が私たちの生活にも影響をおよぼしていることが具体的に示されました。さらに、日本においても、経済安全保障の確保に向け、資源・エネルギーの脆弱性やサイバーセキュリティへの対応が重要であるとの見解も示されました。

受講者からは、「経済安全保障は政府や大企業だけでなく、私たちの生活にも深く関わることを理解できた」「半導体、エネルギー、食料の安定供給が日常を支えていると実感した」といった政策・企業・生活面のつながりに加え、「サプライチェーンや情報管理など、企業の組織マネジメントに直結する課題として捉えることができた」「経済安全保障は企業にとって“生存戦略”であると感じた」「サプライチェーン強靭化や技術流出防止が不可欠と感じた」といったビジネスやマネジメント視点からの意見も見られ、多角的な理解の深化がうかがえました。

講演内容がタイムリーであったこともあり、受講者の関心は非常に高く、講演後の質疑応答も活発に行われ、盛況のうちに終了しました。