社会学研究科

共同研究会

社会学研究科では院生で構成される共同研究班が、以下の研究会・勉強会を開催しています。
ご興味がおありの方は、勉強会・研究会にご出席ください。
関西学院大学社会学研究科に所属されない方のご参加も歓迎いたします。

2023年度

研究会『「今、マルクスを読むということ」を考える』を開催します。

【日時】
 2023年12月16日(土) 14:00 – 16:00
【場所】
 オンライン(Zoom) 
【講師】
 石川洋行 氏(八洲学園大学他非常勤講師)
【参加方法】
以下のリンクから参加を受け付けております。
参加受付用リンク: https://forms.gle/GmhzHfVsMduDzzdHA
後日、ご登録いただいたメールアドレスにZoomのURLを記載したメールを送信させていただきます。

【概要】 
 停滞閉塞した社会、自己肯定感を削がれた人々、そして「みせかけ」溢れる消費社会。人々の多くが社会変革への意志を失ったかにみえる中、シニシズムに堕する事なく未来を見据えることは可能なのか。かつて「疎外/物象化」から経済関係のカラクリを説明したK・マルクス、そして進展する戦後消費社会を見つめ、ポストモダン記号論を鮮やかに社会学に輸入したJ・ボードリヤール。社会理論の二巨星を架橋し、とりわけ「余暇」からこの問題に切り込んだ古典『消費社会の神話と構造』を読み解くことで、思想史的視点も交えながら「理論との付き合い方」を考える。このことは必然的に、社会理論の意義と限界、そこに凝縮された歴史の証言、戦後日本社会への応用可能性も自ずと見えてくるだろう。多くが「無党派」を自認する現代に、社会運動は可能かという問題に、「消費社会と戦後日本」をテーマに研究を続ける発表者が応答する。

※本研究会の様子を、共同研究班のメンバーが後で研究会の内容を振り返る目的で録画させていただきます。 アーカイブとして録画の公開をすることはごさいません。予めご了承お願い申し上げます。

主催:「マルクス」研究会 共催:関西学院大学社会学研究科 大学院生サポートプログラム(GSSP)事業

研究会『ポストコロニアルな台湾と公/娼たちの闘い』を開催します。

 【日時】 
 2023年10月29日(日) 15:00-17:00
 【場所】
 オンライン(Zoomにて開催・参加者は申込要)
 【講師】 
福永玄弥氏(東京大学教養学部附属教養教育高度化機構Diversity&Inclusion部門准教授)
【参加方法】
以下のリンクから参加を受け付けております。
参加受付用リンク:  https://forms.gle/pxChbaz2L3ERP2fp8

【概要】 
東京大学教養学部附属教養教育高度化機構Diversity&Inclusion部門准教授の福永玄弥氏をお招きし、ご講演いただくことになった。福永氏はフェミニズム・クィア理論・東アジアの歴史を専門としており、インターセクショナリティの視点を重視して研究をしてこられた実績がある。今回の発表では、大日本帝国と中国国民党による「重層的な植民地主義」という観点から、戦後台湾で再構築された公娼制の歴史を批判的に考察しつつ、現代日本におけるアカデミアのあり方を再考する機会としたい。
問題の発端は、1997年9月4日、民主化を牽引する政治エリートとして脚光を浴びた陳水扁(民進党)台北市長が公娼制の廃止を宣言したことに始まる。それにより、市内で就労する128名の公娼が職場を追われた。失職した元公娼の女性たちは労働の継続を求めて台北市を相手に抗議運動を展開したが、当時のフェミニストは台北市の公娼制廃止を支持する立場を表明した。
当時の主流派フェミニストらは公共空間からの「ポルノ一掃」を進めていたからである。一方、公娼を支持して抗議運動に参与したクィア・フェミニストや労働運動団体は英語圏のフェミニスト言説を参照し「労働としてのセックスワーク(Sex Work is Work)」を主張した。SWASH(日本)を含む国外のセックスワーカー団体もこれを支持した。
しかし2001年には台北市の公娼制は廃止され、セックスワーカーたちは「地下」に潜り込み、危険で劣悪な環境で働くことを余儀なくされるようになった。
本報告では、以上の今日の問題の発端にある台湾の公娼制を帝国日本と中国国民党による「重層的な植民地主義」の歴史に位置づけつつ、公娼たちの労働権を求める闘争を狭義の「労働争議」、広義の「社会運動」と見做し、公娼らが闘っていた対象を明らかにする。そして、東アジアにおけるポスト/コロニアルな歴史的文脈に公娼たちの運動を位置づけて考察し、脱植民地主義のプロジェクトと性政治の関わりを検討することを試みる。
最後にふたたび研究班の趣旨に絡めていうのであれば、一見すると現代の日本を生きる人々と台北でのセックスワーカーによる抗議運動は無関係である。とはいえ、東アジアが共有する歴史からその関わりを見出すことができず「無関係」と見てしまうことは日本そして日本のフェミニズムにおける脱植民地化の議論がほとんど不在であることを抜きには考えられず、このようなインターセクショナルの観点の不在はアカデミアにおける諸問題とも重なるのである。

主催:「大学の革新とアカデミア再考」共同研究班

2022年度

共同研究班『文系大学院を考える-修了と初職獲得の関連から-』を開催しました。

 【日時】 
 2022年11月19日(土) 13:30-15:30
 【場所】
 オンライン
 【講師】 
平尾 智隆氏(摂南大学経済学部准教授)

 【概要】 
日本の大学は岐路に立っている。少子化がさらに進むと予測されている状況における大学の社会的役割は不透明といえよう。国公立、私立含め多くの大学は規制緩和以降(1990年代)、混沌を極めている。少子化の流れに逆行して、学部の新設、定員の増加、入試制度の拡充などに走っている。諸大学は研究機関としての大学という本質を見失っているように見える。そのような中で、社会における大学の役割はどうあるべきだろうか。 本研究会では大学において研究者養成、研究機関としての側面が強い「大学院」、特に今回は文系大学院を見ていきたい。そこで今回は平尾氏をお招きし、文系大学院(修士課程)について考えていく。平尾氏は教育経済学、労働経済学がご専門で、労働市場における教育効果や学歴ミスマッチ、キャリア教育などについて研究されている。本研究会では、「初職獲得における大学院学歴の効果」について講演いただく。文系大学院修了と初職獲得の関連から、大学側、労働市場側、在籍者・修了者など様々なアクターの現状も踏まえつつ、文系大学院の教育効果、教育内容、展望などについて考えるとともに議論していく予定である。

主催:「大学論を再考する」共同研究班
共催:関西学院大学社会学研究科 大学院生サポートプログラム(GSSP)事業