[ 人間福祉学部 ]安藤ゼミ(社会福祉学科)

いけの さとし

【担当教員】
安藤 幸(あんどう さち)

研究テーマ

 「日本型」ソーシャルワークを考える 〜多様性教育・福祉教育などを手がかりに〜

研究内容

 わたしはアメリカでソーシャルワークを学びました。学生時代はテキサス州で、ソーシャルワークの教員時代はペンシルバニア州で過ごしました。ソーシャルワークの価値や知識は共通していても、土地柄がソーシャルワーク実践に影響することにうすうす気がついていました。そして今、日本のソーシャルワークを学び直しています。アメリカのソーシャルワークと比較しながら学んでいると、日本のソーシャルワークが日本以外から輸入された価値・知識・技術に色濃く影響を受けていることを実感します。日本の歴史・社会・文化・風土の中で培われたり、転用されたりして、進化・発展してきた日本独自のソーシャルワーク実践に気づくとき、宝物を掘り当てたような思いになります。そんな日本独自のソーシャルワーク実践を、ここでは「日本型」ソーシャルワークと呼ぶことにします。
例えば、現在日本で展開されている地域福祉も、「日本型」ソーシャルワークのひとつといえるでしょう。日本では、「人間」「世間」というように、「間(あいだ)」つまり人や社会との関係性が重視されます。「あなたは何者?」と聞かれたとして、自分のアイデンティティでさえも人との関わりや社会の立ち位置で説明していることに気づきます。このような社会文化的背景は、ソーシャルワークやソーシャルワーカーに期待される機能・役割にも影響します。それでは、日本社会におけるソーシャルワーク実践やソーシャルワーカーに必要とされる文化的コンピテンスとはどのようなものでしょうか。
本ゼミでは、多様性教育・福祉教育などの取り組みを例に、国際比較(特にアメリカとの比較)もしながら、「日本型」ソーシャルワークについて考えます。具体的には、地域福祉の現場における多様性教育や福祉教育にはどのようなものがあり、ソーシャルワーカーが担うべき役割とはどのようなものか、その可能性と課題について、文献研究や実践研究から探究します。