Cコース(榎本 庸男先生)講座紹介

西洋の哲学における善と自由

  

【担当講師】 榎本 庸男関西学院大学名誉教授・元文学部教授

講義概要

道徳的な意味での善とはどういうことでしょう。また善悪は自由な行為についてのみ言われるはずですが、われわれは本当の意味で自由なのでしょうか。古代から近代までの考え方を紹介します。

講義のポイント

「よい天気」の「よい」は道徳的な意味での「よい」とどう違うのでしょう。それとも違わないのでしょうか。この問題についてのプラトン、アリストテレス、カントの説を紹介します。
道徳的な善悪は自由を前提とします。わたしがリンゴを投げて他人に怪我をさせると悪ですが、木から落ちてきたリンゴを悪とは言いません。しかしわれわれは様々な慣習や法律に縛られています。自然的法則からは逃れられません。神の摂理の下にあるとも考えられます。ではわれわれは自由なのでしょうか?

2024年度前期 K.G.ライフワークスクール パンフレット  

各回の講義予定

開催場所:大阪梅田キャンパス

日程      時間 講座内容
1 5/22(水) 15:10

16:40
導入
ソクラテス以前とプラトン               

万物の始源を求めるタレスから無知の知を発見したソクラテスを経てプラトンのイデア論までをわかりやすく解説します。                             

2 5/29(水) イデア論の展開とその批判 アリストテレスはイデア論のどういう点を批判するのでしょうか。また彼はなぜ幸福を最高の善としたのでしょうか。
3 6/5(水) 善意志と義務 カントによれば、「善いことをなす」のではなく、「なすべきことが善いこと」です。この考え方は正しいのでしょうか。
4 6/12(水) 自由論の展開(古代~中世) 絶対者である神の下で人間の自由はどのように考えられるでしょう。アウグスティヌスを中心に古代から中世の自由論を概観します。
5 6/19(水) 近代における自由の問題 近代になって神に代わる絶対者として自由と対峙するのは自然法則です。自然法則からの自由などありえないように思われますが‥。
6 6/26(水) カントと形而上学の問題

カントの自由論は形而上学との関係やヒュームとの対決を抜きにしては語れません。そもそも形而上学とは何なのでしょうか。

7 7/3(水) カントの自由論とそれに対する批判 カントは人間の認識を制限することによって自由の領域を確保します。しかしそれは新たな制約をつけることのようにも見えますね。

講師プロフィール

もともとはカントやヘーゲルの実践哲学(道徳、歴史、社会や国家)をテーマにしていましたが、最近ではカントの『判断力批判』を中心として「美しいと善いとはどこが違うのか」(カントは両者を区別します)とか「善悪の判断をする際に美しいとか見苦しいとかの美的述語を用いるのはなぜなのか」(カントは両者を区別するわけですから、こういう判断はおかしいことになります)、というようなことを考えています。
旅行が好きというわけではないのですが、じっとしているのがいやなので、コロナ前は毎年のようにイタリアに行ってました。なぜイタリアかというと、私が知ってる国の中では見るべきものが圧倒的に多いように思うからです(あくまで個人的見解です)。そろそろ普通に旅行できるようになってきたので、また行きたいなあと思っています。
家にいるときは、だいたい本を読んだり、ごろごろしたり、ねこの世話をしたりしていますが、やはりじっとしているのがいやなので(だからといってスポーツをするのが好きなわけではないです)、近所をうろうろすることも多いです。

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