学問的誠実性

[ 編集者:千里国際       2018年2月14日   更新  ]
学問的誠実性

1) 目的

この文書は、学問的誠実性に関する本校の定義を示すものであり、また、関係する全ての人の役割と責任、中等部、高等部それぞれの生徒ガイドライン、そして学問的不誠実な行為が起こった場合の対応について明確にするものである。

作成にあたっては、本校生徒の行動の指針である5つのリスペクトの中の一つである「Respect for Learning 学習を大切に」を土台にし、同じキャンパスにある併設校の大阪インターナショナルスクールの保有する「大阪インターナショナルスクールK-12 Academic Honestyの考え方」と最大限の統一性を図っている。従って大阪インターナショナルスクールが基盤にしている国際バカロレア機構の「Academic honesty in the IB educational context」、その日本語版「学問的誠実性」をも参考にしている。またUNESCOの示す21世紀型学力やOECDのキー・コンペテンシーをも参考にし本校独自のものとして作成されたものである。

2) 定義

学問的誠実性

学問的誠実性(アカデミックオネスティ)とは、個人の学問に対する誠実さ、および、一定の価値観とスキルである。のちに述べる「学問的不誠実さ」の事例を説明する方が簡単であると思われるが、「Respect for Learning 学習を大切に」している学習者として、「誠実さ」を尊重する姿勢を持つことの必要性を第一に説くものとする。

真正性:「本当に生徒自身が取り組んだもの」

真正性のある作品というのは、生徒個人のオリジナルなアイディアと、他の人の作品やアイディアを正しく認識した上で使用し、作られた作品である。つまり、評価の対象となる課題は、どのような様式のものであれ、その生徒がすべて自分の言葉で、自分のアイディアや表現によって作ったものでなければならない。その生徒の作品の中に他の人のアイディアや作品が使われる場合には、それが直接的な引用であれパラフレーズ言い換えであれ、そのアイディアや作品の出所を適切な方法で十分に認識しなければならない。(1.5)

協働・協力・創造性

生徒は、授業の単元によっては、文献や、集めたデータを共有し、それらの解釈について話し合い、協力し合い、協働作業を行うことがある。適切な協働作業の例を以下に記す。

a. ディスカッショングループ
b. 一般的なテーマや概念についてのディスカッション
c. 評価基準の解釈
d. 生徒同士が助け合うことで、学問的な文章力を伸ばす

また、協働や協力は、共同プロジェクトのリサーチやライティングを含むこともある。

学問的誠実性の原則は全科目に共通して同じように適用されるが、「芸術」の科目においては、模倣や影響、インスピレーションが伝統的に尊重されていることから、特別な考慮点がある。芸術において、形を観察し、自然との類似性や他の芸術家の作品との類似性を観察するスキルは、育まれるべきスキルとされている。志願者が他の芸術家や作家の作品に影響を受け、それらの作品からクリエーティブなインスピレーションを受けることは、期待されているのである。このため、ある一定の状況下では、他人の作品や発想のクリエーティブな使用が認められる。ただし、その場合も、原典は必ず明記しなければなりません。他の芸術家の作品を模倣することは、教師が十分な指示を与えた状況では容認される場合もあります。ただし、他人の作品を自分の学習成果物として提示することは認められず、これは不正にあたることを生徒は理解しなければならない。(1.6)

3) 役割と責任

1.管理職教員

校長と教頭は、学問的誠実性を理解し、積極的に生徒に伝え、学問的誠実性を大切にしようとする学校文化を育てる(3.2)

責任がある。学問的誠実性は本校の行動の指針である5つのリスペクトの大切な要素であると考えられる。

2.図書館司書教諭

IBの学問的誠実性の文書には、このような記述がある。

「教師は、学校図書館司書(school librarian)がもつ役割と専門知識を活用すべきです。熟練した司書は、剽窃や著作権その他の倫理問題に精通しており、出典記載方法に関する学問的に望ましい行いについて指導し、実践することができます。生徒がアクセスできるソースについて司書がもっている知識、および検索のスキルは、引用された出典を検証する際に役立つうえ、司書は疑わしい文の出所を突き止める際にも手腕を発揮することが多々あります。さらに重要な点として、情報を見つけて評価し、利用することにかけて司書が有しているスキルは、印刷媒体やオンライン媒体、さらには人的リソースなど生徒がさまざまな情報源のなかから権威のある信頼性の高い情報を見分けるうえでも役だちます。」(4.9)

3. 教員

全ての教員には以下の責任がある。

・どの教科においても、多様な文献からの引用についての適切な例を示し、具体的な指示を与える。(4.13)
・教員自身も、引用を含んだ文書を提示するときには生徒と同じ方法を使って示す。教員が生徒の模範となって学問的誠実性の例を示す。(4.12)
・教員は、「学問的怠慢」(academic negligence)と見なされる行為を防止するよう努めなければならない。生徒が出典の記録を不注意に行ったり、文献の出所を学習成果物に含めることを平然と無視したりした場合に、どのような結果を招くかを必ず生徒に警告する。(4.22)
・万一、不誠実な行為が見られた場合は、教頭に報告のうえ、以下の5)に記した対応をとる。

4. 保護者

保護者は学校の学問的誠実性のポリシーを理解し、倫理的な行動を奨励し生徒の家庭学習(コンピューターの使用、宿題、書く作業など)の様子を見守ることで、生徒をサポートする。

5. 生徒

中等部・高等部の全ての生徒は学問的誠実性を守ることができるように指導を受け、学習において、倫理的な行動をとり、デジタルシチズンシップを示す。

生徒はSISの学問的誠実性のガイドラインに従い、誠実で正直に行動し、個人やグループ、学校コミュニティに対して、公平なリスペクトを持って対応する。生徒は、自分自身の行動やそれに伴う結果についての責任を負う。

4) 生徒ガイドライン

中等部生徒

学問的に誠実な生徒は:
以下のことができます
・直接引用の引用元を示す
・参考文献一覧に、参考にした文献を示す
・本文中で引用を示す
・剽窃(ひょうせつ)とは何か、が分かっている
・不正行為が何か、が分かっていて、ルールを守る
・テストの時の決まりを守る

以下のことはしません

・先生の許可なくテスト中にノートなどを見る
・テスト中に他の生徒の答案を見て写す
・他の生徒の宿題を写す
・写した宿題を自分のものとして提出する
・他の生徒の宿題を代わりにする
・他の生徒に課題などを写させてあげる

高等部生徒

学問的に誠実な生徒は:
以下のことができます
・個人的な授業の記録ノートをとる
・具体的な手法で、多様な出典文献から得た情報を示す
・正式で適切な方法で、出典を明記する
・直接引用を適切に使用する
・剽窃(ひょうせつ)の意味を理解している
・校内での課題であれ、学外での活動であれ、不正行為があった場合の責任について理解している
・テストに関する決まりに従う

以下のことはしません

・他の生徒の課題等を写す
・他の生徒に自分の課題等を写させてあげる
・他の人がした課題等を提出する
・教員の許可やテストの決まりには無いのに、試験中にノートなどを見る
・他人の作品を購入して提出する
・他の生徒の代わりに論文(等の文書)を書く
・教員の許可や課題の決まりがあるのでは無いのに、他作品の模倣にあたる芸術作品や創造的作品を作る

5) 学問的不誠実行為の定義と、それへの対応

不誠実な行為とは

他の人に対して不公正な益を得る結果を生む行為のことで、次のようなものがある:

・剽窃(ひょうせつ:他の人の考えや作品を適切な出典を示さずに自分のものとして使うこと。
・共謀(不適切な協働作業)
・複製
・不正行為(カンニング)

上記の行為が確認された場合は、原則としてその作品、レポート、テスト等を0点とし、この経緯を教頭に報告する。
繰り返し同様の行為が確認された場合は、保護者を交えて、担任・教頭・校長等により、指導や懲戒を行う

参考文献:

・International Baccalaureate Organization (2014) 「 Academic honesty in the IB educational context」
・国際バカロレア機構 (2014)「 IBの教育環境における学問的誠実性」
・UNESCO(2017)「 Education for the 21st century」<http://en.unesco.org/themes/education-21st-century>
・文部科学省(2017) 「OECDにおけるキーコンペテンシーについて」<http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/siryo/05111603/004.htm>