神学部
K.G.

神学部の学び

  • ・新約聖書の時代:アイデンティティを模索するキリスト共同体
  • ・エコフェミニスト聖書解釈の視点で読むヨハネ福音書のプロローグ
  • ・聖書の言葉の源流を探る、古代ヘブライの思想
  • ・内村鑑三の軌跡を辿り、日本特有の宗教的意識を探る
  • ・近現代キリスト教神学における聖霊論の総合的研究
  • ・宗教改革が生んだ世界、 ルターの思想的遺産
  • ・古代キリスト教におけるフィランスロピア論の生成
  • ・現代社会と教会の対話、生きた信仰のかたち
  • ・フィールドワークで学ぶ神学、 世界とつながるキリスト教
  • ・世界と日本の文脈でキリスト教を捉える
  • ・物語として聖書を読み、現代に与える影響を考える
  • ・生態学的アプローチによる宗教・美術研究
  • 1、2年次では、キリスト教神学の基礎を修得し、3年次から研究演習(ゼミ)をはじめ、幅広い専門科目を通して学びを深めていきます。

    キリスト教伝道者コース

    キリスト教の伝道者として必要な深い知識と実践力の修得を目的に、カリキュラムを編成。必修科目として新約聖書が書かれた言語であるギリシャ語を履修。さらにヒブル語やラテン語などに加え、日々の礼拝や教会での活動などの具体的な方法論も学習します。

    キリスト教思想・文化コース

    聖書などを通してキリスト教という世界的な思想の核心に迫り、現代社会におけるキリスト教の役割や可能性を考察。学問の領域を越え、文化やメディア、政治、経済など、現代社会のさまざまな事象・課題をキリスト教の視点から解明します。

    4年間の流れ

    1年次
    1、2年次は両コースともにキリスト教神学の基礎を中心に学びます。「旧約聖書入門」「新約聖書入門」や「キリスト教の歴史」など。「基礎演習」では、文献の探し方や、文章の書き方など、大学で学ぶ基本スキルを修得します。
    新約聖書入門I

    新約聖書の内容や形式的な特徴、成立の歴史的背景について学びます。福音書、パウロ書簡、黙示録を中心に、各書の特徴や成立過程を把握し、釈義の基礎となる知識を身につけます。研究史上の主要な論点にも触れ、より深い考察力を養います。

    2年次
    「宗教学概論」や「キリスト教と芸術概論」などの入門科目とともに、専門科目も充実。コースまたは個人の関心に合わせて多様な履修計画が可能で、より深く神学を学びます。
    キリスト教と芸術概論I

    「天使」と「悪魔」というキリスト教起源のイメージは対立的価値の表象であり、人々はそこに理想像や現実を投影してきました。本講義では、これらが西欧文化や日本のサブカルチャーで果たしてきた役割を考察。絵画や映像を取り上げ、表象文化を分析する視点と方法を学びます。あわせて、キリスト教文化に関する基礎知識も身につけます。

    3年次
    コースごとに特色ある学びを展開。各自の関心に合わせて専門科目を履修し、「演習」科目で深めます。また、目的に応じて自由履修科目で他学部開講の科目を履修でき、総合大学ならではの幅広い学びを実現できます。
    説教学概論

    説教とは何かを考え、一般の講演やスピーチとの違いを明らかにしながら、説教について実践神学的に学びます。説教の歴史や各時代の特徴に触れながら実際の説教を読むことで、説教学の基本的な知識と分析力を身につけ、自分なりの説教理解を構築することを目指します。

    4年次
    4年間の集大成として、「演習(ゼミ)科目」を中心にキリスト教について専門的な学びを深めます。演習での研究発表等では、各自の関心に合わせたテーマで、さまざまな角度から神学について研究します。
    ディアコニア・ワークショップC・D

    ディアコニア・ワークショップCでは、自身が選択した課題について活動する社会的リソースを調査し、自己のあり方や課題への関わり方について考察するとともに、グループでの建設的なディスカッションを通してテーマへの理解を深めます。
    ディアコニア・ワークショップDでは、A〜Cで選択した各課題をもとに、成果報告会で自身のテーマと「私にとってのディアコニア」を発表。テーマに対して自分自身の価値観、社会のあり方、倫理的見方、キリスト教の視点から考察し、自らの言葉で定義する能力を養います。

    卒業研究テーマ(抜粋)
    • テサロニケ書の終末論に関する研究
    • ケルト聖書装飾におけるキリスト教とケルト文化の関係
    • 同性愛とキリスト教
    • ハギアソフィア大聖堂の建築思想
    • 古代キリスト教文学における反ユダヤ主義
    • HIV陽性者とセクシャルマイノリティ ー行き場のない悲嘆のプロセスと自分らしく生きることー
    • 心が感じるままに絵を描くこととは何か ールネ・マグリットにおける二項対立のイメージー
    • 神学におけるプロセス哲学の受容
    • ビルの一角にある礼拝堂 礼拝する場所とは

    教育課程表・授業時間割

    カリキュラム・履修モデル

    社会につながる研究 For Society

    軽視されてきた手紙が放つ現代へのメッセージ

    東 よしみ准教授

    現在、「ヤコブの手紙」を解説する注解書の執筆に取り組んでいます。注解書とは、聖書などの古典的文書に記された語句や背景を丁寧に解説し、読者がより深く理解できるよう手助けする書物です。ヤコブの手紙は短い文書でありながら、キリスト教の中心的な出来事であるイエスの十字架と復活に触れていないなど、独特な性格をもっています。このため宗教改革者ルターからは「藁の書簡」と評され、長く軽視されてきました。しかし一方で、哲学者キルケゴールのようにこの手紙を高く評価した人物もおり、近年では学界において再評価が進みつつあります。 研究の過程では膨大な先行研究を精査し、多様な議論を参照しながら新たな解釈を探る必要があります。その中で見えてくるのは、ヤコブ書において、社会的に弱い立場にある人々に寄り添い、共同体のあり方を問い直す倫理的な実践が重要視されていることです。ヤコブの手紙は、現代に生きる私たちにとっても心に響く普遍的なメッセージを伝えています。軽視されがちだったこの文書を改めて読み直すことが、宗教の意義を新たに問い直す契機となるのです。

    国外の研究者とのつながり
    世界の学術ネットワークの中で深まる聖書解釈

    聖書学の研究は世界的に展開されており、ドイツ語圏や英語圏を中心に、ラテンアメリカやアジアにおいても活発に議論が行われています。各地で発表される論文をチェックし、最新の知見を手に入れることが本研究において非常に重要です。また、学生時代からの研究仲間との交流も大切な情報源であり、国際的な学術ネットワークの中で相互に刺激を受け合いながら研究を深めています。 聖書の解釈を掘り下げる過程において、新しい発想に出会い、思いがけない側面同士が結びつくこともあり、こうした積み重ねを通して聖書をより深く理解できるようになります。ヤコブの手紙が現代社会に対しても重要な倫理を提示しているように、研究を通して得られた知見は、広く社会に対して新たな示唆をもたらすでしょう。