北きた川がわ 茉ま里り奈な 私は現在、テレビのニュース番組について社会心理学的な観点から研究を行っています。私はお笑いが好きなのですが、「よくお笑い芸人がコメンテーターとして出演しているけど、視聴者は彼らのことをどう思ってるのかな」という疑問を出発点に、卒業論文から継続してこのテーマを扱っています。 一般的に、社会心理学は「心理学」にくくられている大学が多いように思います。そのような環境では関心の近い大学院生同士、また先生方と、日頃から専門的な議論をすることができるという強みがあるでしょう。しかし、本学は「社会学」研究科です。私のように社会心理学を学ぶ学生もいれば、民俗学を学ぶ学生もいれば、もちろん理論社会学を学ぶ学生もいれば、計量社会学を学ぶ学生も……。ゼミや一部の講義を除けば履修する講義が定められているわけではないので、分野が全く違う学生と同じ講義を受けることがしばしばあります。 大学院では学部時代に比べて研究内容も少しずつ専門的になり、つい“身内”でのディスカッションが多くなりがちです。ところが講義の中で、まったく文脈や知識を共有していない人に自分の研究の52面白さや意義を伝えなければいけない場面に何度も遭遇しました。最初は戸惑いやもどかしさがありましたが、この「他者に説明する」というのは研究において常に意識されるべきことで、その訓練が自然と行われている環境は他にはない社会学研究科の大きな強みであると感じています。また指導教員として主指導の他に副指導の先生を選ぶことができるため、自身の研究についてもより深く、より多面的な指導を受けられます。 そして研究科の大学院生への支援制度も非常に充実しています。研究面では、たとえば先端社会研究所によるリサーチコンペや国際学会での研究発表、『KG社会学批評』という書評誌への論文投稿の機会などが設けられており、学年を問わず挑戦することができます。また生活面では、やはり進学に際して家計を圧迫する不安がありましたが、奨学金制度や教学補佐制度を利用することで、その点をほとんど気にすることなく研究に集中することができました。恵まれた資源に感謝しながら、充実した日々を過ごしています。社会学研究科社会学専攻博士課程前期課程
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