奥おく田だ 絵かい三み隅すみ 貴たか史ふみ 私は現在、大規模公共事業―特にダム開発―によって移転せざるを得なくなった地域を対象に、移転後の地域がどのように生活再建をおこない集落を再編してきたのかを、対象地域に住み込んでフィールドワークを実施して研究しています。特にダム事業は補償金が入ることや道路や公共施設が整備されるなど、移転地域に大きな利益をもたらします。しかしその一方で、公共事業を受け入れることをきっかけに、移転の対象となった地域では、移転地域外への人口流出が増加し、移転集落の縮小・解体に追い込まれることや、地域固有の自然環境が損なわれることなど、中・長期的に見れば多くの課題が残されます。このようなフィールドワークで得られた知見から、私は公共事業の被害となる地域がどのような形で公共事業と向き合いながら再編していくのかを社会学的に研究しています。 このような研究をするにあたって、私は本学の奨学金制度や研究奨励制度が充実している点と、本研究科の研究環境が整備されている点が非常に大きいと感じています。奨学金制度や研究奨励制度に関して、本学ではベーツ特別支給奨学金や後期課程研究奨励金など、大学院生が対象となっている奨学金等の支援制度の種類も 祭礼で神輿(みこし)を担ぐ人びとについてのフィールドワークをとおして、現代の祭礼に関する民俗学的研究に取り組むとともに、民俗学の世界的な研究動向を踏まえた新しい民俗学のあり方を模索しています。 関学社会学研究科は、民俗学を専門に研究して博士号を取得可能な、日本における数少ない民俗学研究の拠点です。ここは、新しい民俗学を構想し、実践する上で、最も魅力的な環境の大学院だと確信しています。 本研究科の最大の魅力として、社会学・文化人類学・文化研究など幅広い視野を身につけながら自らの研究を進めていけるようカリキュラムが整えられ、多様な専門の教授や院生と議論できることがあげられます。また、教授が多い環境ゆえに、院生/教授比が、他大学の民俗学研究の大学院と比べて充実しており、手厚い指導が受けられることも魅力となっています。 さらに、日本に限定されない視野で世界の民俗学を学び、自らの研究をそこに投げ返してゆく上で、研究科の研究水準が先端的な位置にあることも魅力的です。私たちは、日々、世界の民俗学の状況豊富です。実際に私は本学が博士課程後期課程に在籍する大学院生を対象とした研究奨励制度(後期課程研究奨励金)に2年連続で採用され、学費相当額の支援を受けています。この研究奨励制度を受けることができ、私は充実したフィールドワークを実施して研究することができています。また研究環境について、本研究科は幅広い分野の研究者がいることと、大学院生の研究活動の支援制度(GSSP)があることが魅力的です。私はフィールドワークを中心に研究しているため、どうしても現場目線になりがちですが、他分野の研究者からも研究のアドバイスをいただくことで、現在の研究の問題点や今後の方針を検討することができます。また大学院生の研究活動の支援制度に関しても、私は本研究科の大学院生同士で共同研究をおこなう際にはGSSPの支援を受けることができました。このように、私は本学の奨学金や研究奨励制度による経済面での支援と、本研究科の研究面での支援を受けながら、研究に励むことができました。これらの支援を受けながら研究した結果、私は2016年度に日本学術振興会から特別研究員(DC2)に採用されるなど、充実した研究をおこなうことができています。に目を配りながら、海外の民俗学関連学会での発表や海外の民俗学者の招聘を行なっています。同じように新しい民俗学を模索している世界中の若い民俗学研究者たちと友人になり、互いの研究を深め合う機会があるのは何よりの魅力です。 本研究科は、研究活動を応援する金銭面での支援も充実しています。海外発表に最大20万円を支援する海外研究助成金、学費相当額の後期課程研究奨励金、自身の研究に最大20万円の研究助成金が支給されるリサーチコンペ(いずれも重複受給実績あり)、などの支援があります。これにより、金銭面で悩むことなく、自分の研究の深化だけを考えることができます。細かい部分でさまざまな研究支援が充実している本研究科のあり方は、他大学の院生たちからも羨ましがられています。 私は、グローバル化が進展する現代の人文社会科学においてこそ、民俗学の視角がより必要とされるようになってきていると考えています。新しい時代の民俗学について日々議論し、楽しみ、共創することができる、新しい仲間を心待ちにしています。51社会学研究科社会学専攻博士課程後期課程社会学研究科社会学専攻博士課程後期課程
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