研究紹介のホームページなど追加情報 研究業績については、リサーチマップ(https://researchmap.jp/akae)に記載しています。 また、史料データセッション研究会(http://socio-logic.jp/sociology/datasession/)の世話人をしています。史料データセッションは大学院ゼミでもおこないます。赤あか江え 達たつ也や 大学院での教育では、院生各自の問題関心や研究テーマの追求を重視します。ゼミの目的は、参加者が研究と論文執筆をお互いに支援しあうことです。そのために、文献購読、研究発表、データセッションをおこないます。データセッションでは、参加者が各自の史料・資料を提示し、分析や議論をします。の歴史社会学』岩波書店【論文集・教科書など】赤江達也, 2018,「無教会キリスト教」大谷栄一・菊地暁・永岡崇編『日本宗教史のキーワード―近代主義を超えて』慶應義塾大学出版会赤江達也, 2015,「内村鑑三の〈ためらい〉―学校・国家・宗教をめぐって」内田隆三編『現代社会と人間への問い―いかにして現在を流動化するのか?』せりか書房赤江達也, 2012,「靖国問題の戦後史」野上元・福間良明編『戦争社会学ブックガイド―現代世界を読み解く132冊』創元社赤江達也, 2010,「神社の統治、神社による統治―内務省と「国家神道」」副田義也編『内務省の歴史社会学』東京大学出版会赤江達也, 2009,「宗教とメディア―内村鑑三と「紙上の教会」」伊藤守編『よくわかるメディア・スタディーズ』ミネルヴァ書房赤江達也, 2008,「政教分離訴訟の生成と変容―戦後日本における市民運動と「戦争体験」」浜日出夫編『戦後日本における市民意識の形成―戦争体験の世代間継承』慶應義塾大学出版会赤江達也, 2005,「宗教/批判の系譜―吉本隆明・田川建三・柄谷行人」北田暁大・野上元・水溜真由美編『カルチュラル・ポリティクス1960/1970』せりか書房27 研究・教育内容 私の専門分野は、宗教の歴史社会学です。とくに近代日本のキリスト教、東アジアにおける国家と追悼というふたつの主題について研究してきました。 第一の主題は、近代日本のキリスト教の研究です。日本のキリスト教徒は人口の1パーセント前後にすぎないマイノリティです。そのため、「日本社会はキリスト教を受けいれなかった」と、くりかえし語られてきました。たしかに宣教の観点からいえば、日本のキリスト教の状況は否定的なものに見えるかもしれません。 しかし、「日本社会はある種のしかたでキリスト教を受けいれてきた」とも考えられます。キリスト教主義学校、キリスト教関連書籍、結婚式やクリスマスなどに注目するならば、日本社会はキリスト教を受けいれてきました。 そのような「教会外」のキリスト教文化のなかでも、思想の領域でもっとも人気を集めてきたのが、内村鑑三にはじまる無教会キリスト教です。この無教会についての研究成果をまとめたのが、最初の単著『「紙上の教会」と日本近代―無教会キリスト教の歴史社会学』(岩波書店、2013年)です。 この本では、1900年頃から1970年頃にかけての無教会の歴史を記述しています。とくに無教会運動が多くの雑誌をつぎつぎと発行していく一種の出版運動であったことに注目し、ゆるやかな読者共同体を社会的な基盤としながら、各地で小規模な集会が立ち上げられていくようすを描き出しました。 その後、無教会第二世代の伝道者であり、戦後二代目の東大総長を務めた矢内原忠雄についての伝記的な著作『矢内原忠雄―戦争と知識人の使命』(岩波新書、2017年)を刊行しました。現在は、同じく無教会第二世代の伝道者・聖書研究者である塚本虎二を主に研究しています。また、無教会主義は韓国や台湾でも受容されてきたため、その歴史も少しずつ調べています。 第二の主題は、東アジアにおける国家と追悼です。いわゆる「国家神道」は、戦前期日本のキリスト者の経験について理解するためにも重要な主題です。そこから、官立の戦没者追悼施設としての神社の歴史を調べるようになりました。また、神社と政治のかかわりが戦後にどのように展開したのかという観点から、「靖国問題」や「政教分離訴訟」の歴史について論文などを書いてきました。 また、2008年から2018年まで台湾に住んでいたのですが、そのあいだに、中華民国/台湾の官立追悼施設である忠烈祠についても研究しはじめました。今後は中国や韓国も視野にいれて国家と追悼の比較研究をしたいと思っています。 代表的な著書・論文等【単著】赤江達也, 2017,『矢内原忠雄―戦争と知識人の使命』岩波新書赤江達也, 2013,『「紙上の教会」と日本近代―無教会キリスト教専門分野・キーワード⃝宗教社会学⃝歴史社会学⃝日本キリスト教史⃝東アジアの国家と追悼教授
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