社会学研究科のススメ_電子書籍版
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横よこ田た 伸のぶ子こ労働市場構造の分析を日本と比較を通して行ってきました。また、1960年代後半以降の、「漢江の奇跡」と呼ばれる韓国の経済発展の過程を、それをずっと低賃金労働で支えてきた労働者や都市下層に暮らす人々の視点から歴史的に把え直そうと研究しています。 ことに、1990年代後半以降、日本では「失われた20年」の中で、韓国では「アジア経済危機」を契機に、両国で共通して、労働の規制緩和とともに若者や女性を中心に急速に労働の非正規化が進んでいます。非正規労働者の増大とともに社会的格差も拡大し、そのしわ寄せをもっとも受けているのが若者と女性なのです。そこで、現在は、日本と韓国の若者の就労問題や女性の貧困問題について関心を持っています。なかんずく、労働市場の底辺にいる、若年非正規労働者や女性非正規労働者がどのように自らを組織し、日韓両国の既存の企業別労働組合とは異なる新しい労働組合モデルを創り出そうとしているかに注目しています。こうした新しい社会の動きを、主にインタヴューや設問調査などのフィールド調査を通じて明らかにしようとするのが私の研究の特徴です。 大学院のゼミは、主に韓国と日本をはじめとする東アジアにおける労働問題に関心のある学生を対象にしています。具体的には、韓国と日本では、女性がなぜキャリア形成がしにくいのか? ブラック企業やブラックバイト問題などの両国の若者に共通する就労問題、非正規労働者の組織化などをテーマに、学生のニーズや問題意識に合わせて、できるだけ多くの専門文献の講読及びデータ分析を中心に研究指導を行っています。規化を中心に』(第19回社会政策学会奨励賞受賞)、ミネルヴァ書房横田伸子、2012、(編著)『東アジアの格差社会』御茶の水書房横田伸子、2007、(編著) 『グローバル化とアジアの女性―労働と生活』(2008年度大韓民国学術院優秀学術図書選定)、ハンウル横田伸子、2018、(単著) 「ジェンダーの視点から見た韓国における有期雇用の実態と変化―非正規職保護法施行(2007年)後の超短時間パートの増大を中心に22Nobuko Yokota, 2014,“A New Attempt at Organizing 横田伸子、2011、(単著) 「1990年代以降の韓国における労働力―」『関西学院大学 社会学部紀要』第128号、pp.99-114Irregular Workers in Korea: Examining the Activities of the Korean Women’s Trade Union” Korean Journal of Sociology. December 2014 Vol. 48 No.6, pp.73-93の非正規化とジェンダー構造」法政大学大原社会問題研究所『大原社会問題研究所雑誌』 No.632、pp.18-40 研究・教育内容 経済社会学、産業社会学。とくに、韓国の労働社会の変容を、 代表的な著書・論文等横田伸子、2012、(単著)『韓国の都市下層と労働者―労働の非正専門分野・キーワード⃝経済社会学⃝産業社会学⃝東アジアの労働問題⃝ジェンダー⃝労働の非正規化教授

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