社会学研究科のススメ_電子書籍版
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陳ちん 立りっ行こう社会ネットワークの研究を行いました。1991年国連に入職しました。当時、東西冷戦の終焉に伴い、経済のグローバル化の進行が加速し、ほぼ同時期に情報技術が普及し始めました。地域社会には外部から経済的、文化的、様々な側面で激動が生じ、変化に迫られていると痛感しました。そこで「海外へ移動する人々は文化や社会環境への適応がどのように達成しているか」、「受け入れる地域は異なる文化とどうのように共生しているか」、「社会統合のメカニズムが何か」について、移民の異質性のダイナミクスに注目し、研究を続けています。2000年以降、多国籍企業の海外投資に伴い、海外に移住した移民は出身国に戻り、それまで先進国への単方向の移動と異なり、還流的国際人口移動が現れています。これらの移民における文化のハイブリット化の程度に注目し、BRIC諸国出身の移民を対象にして、送り出す国と受け入れる国の相互作用について比較研究を行いました。現在の関心: 国際移民の比較研究に加え、最近東アジアの社会学、日中韓の比較研究を行っています。西洋社会と異なり、日中韓には神権ではなく、皇権の権威、儒教の思想、集団主義が中世から続いてきました。19世紀以降、東アジア諸国は共通して西洋列強から迫られる経験をしましたが、その後なぜか異なる道を進むことになりました。また、戦後、時期が異なりますが、約20年の間、それぞれ、高度経済発展を遂げたことには多くの共通点が見られています。約150年の近代化の過程における東アジア諸国の大きな社会変動を研究するために、西洋社会の諸事象をベースにした欧米社会学の理論では限界が現れています。そのため、皇権と官僚制度、集権と分権、儒教思想と科挙制度の浸透、家族制度と村の自治などの関連性を対象にして日中韓の比較研究を行っています。ゼミ運営: 大学院のゼミは、大学院生のそれぞれの研究テーマについて、研究発表を行い、参加者全員が討論の形で参加します。研究発表の内容は主に、先行理論と自らの研究との関連、調査資料の分析と二次データの活用、自らの分析枠組みの構築、調査実施の設計、調査結果の解析などがあります。ゼミを通じて、学術研究の蓄積を18踏まえ、新たな研究視点から新しい発見を試みる体験を繰り返しながら、研究者としての素質を身につけてもらいます。China, Global China Press, London.陳立行、2015、「21世紀における東アジア社会学の機運と挑戦」、『社会学評論 』 65(3)陳立行、2014、「現代中国における価値観の迷走」、『中国社会の矛盾と展望』、東方書店。東京陳立行、首藤明和編、2013、『地震・救援・重建的中日比較研究ー全球化与社会関係資本的視角』、吉林文史出版社、長春。陳立行、2011、「海外BRICs新移民に関わる国際比較研究」、「社会と調査」 第7号Lixing Chen, 2011, Dynamics of Personal Networks, Kwansei Gakuin University Social Sciences Review. Vol.16新華網コラム連載 URL『立行看日本』新華網、『品牌専欄』、(トップコラム)計36回【2011-2014】http://japan.xinhuanet.com/『思客』(Thinker)【2014-現在】http://sike.news.cn/statics/sike/posts/2016/05/219498418.html 研究・教育内容 大学院時代は地域社会学の分野で中国の都市空間の変化に伴う 代表的な著書・論文等Lixing Chen, 2016, (単著)What Has Been Lost in Contemporary 専門分野・キーワード⃝地域社会学⃝比較社会学⃝国際移民研究⃝東アジア社会比較研究教授

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