理学部
K.G.

久保 真理子 准教授

銀河進化研究室

久保 真理子 (くぼ まりこ) 准教授

研究分野: 観測的天文学、銀河形成進化

銀河はいつどこでどのように生まれたのか

私たちのいる太陽系をずっと遠くから俯瞰すると、太陽が、銀河と呼ばれる数千億個もの恒星からなる集合体を構成する星の一つであることがわかります。更に宇宙を見渡せば、私たちの銀河だけではなく沢山の銀河があり、銀河は更に銀河団や大規模構造といった、銀河からなる構造をなしています。本研究室では、銀河がいつどこでどのように形成され、現在の姿に成長したかを解明することを目指しています。

大型望遠鏡による観測的研究

光の速さは有限です。例えば太陽までは光の速さで8分かかるので、現在私たちが見ている太陽は8分前の姿ということになります。このように私たちからの距離が遠い=より過去の姿を見ていることになります。一方、距離の二乗に反比例して天体の明るさは減衰します。初期(100億年以上昔)の銀河の姿を解明するには、集光力と遠い天体を分解できる解像度を達成できる大型望遠鏡が不可欠です。本研究室では、すばる望遠鏡、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡、アルマ望遠鏡など国内外の大型望遠鏡で取得した観測データに基づく遠方銀河の研究を行っています。学生たちにも、2025年春に科学観測を開始したすばる望遠鏡Prime Focus Spectrograph (ʻŌnohiʻula) で取得した大規模な分光観測データなど、最先端の観測データを用いた研究を進めてもらっています。

いつの時代の銀河を研究するか

約138億年とされる宇宙の歴史の中で、いつの時代の銀河を研究するのが面白いでしょうか?どの時代を研究しても楽しいですが、まずは、とにかく宇宙で最初に生まれた天体を探しに行くのは面白いでしょう。また、最近=近傍の宇宙ならば、星の一個一個を分解するような精度で銀河について研究することができます。本研究室で主にターゲットとするのは、約100億年前、(天文学者的には)遠くもなく近くもない中途半端に昔の宇宙です。しかしながら、この時代は銀河の形成と進化の謎を解く鍵となる重要な時代なのです。

宇宙の星形成率密度は初期宇宙から現在に向けて増加していき、約100億年ほど前にピークを迎え、現在は平均的には静穏な宇宙になったと観測的に明らかになっています (下図)。この銀河形成進化の最盛期(~100億年前)には、現在の銀河の数百倍のスピードで星を形成するモンスター銀河や、星の元となる冷たいガス網が取り巻く銀河群など、銀河がまさに劇的に進化していく過程の姿が観測されています。これらの星形成がどのようなメカニズムで誘発され、また静穏化し、現在の銀河へと進化したかを観測的に理解するため、すばる望遠鏡などに加え、光赤外線だけでは見えない分子ガスや星間塵の分布を解明するための電波観測や、活動銀河核とよばれる活動中の巨大ブラックホールなどを観測するためのX線観測も組み合わせて研究を行っています。

銀河形成進化史の概略図。
100億年ほど昔の宇宙では、天の川銀河のような棒渦巻銀河だが、その100倍以上のペースで星を作るモンスター銀河や(https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2025/03/115.html)、銀河をいくつも包含するような巨大ガス天体(https://subarutelescope.org/old/Pressrelease/2006/07/26/j_index.html) など、劇的に進化する過程の銀河が発見されてきた。