2025.11.18[ニュース]
外務省職員が「自由貿易体制の危機と日本の対応」をテーマに登壇
法学部が開講する「国際社会と法」が10月30日に西宮上ケ原キャンパスであり、外務省の新井理栄さん(経済局国際貿易課 課長補佐)が登壇しました。これは外務省が取り組む「外交講座」の一環で、外務省職員が全国各地の大学で講師として講義を行うものです。学生約350人が出席する盛況となりました。
新井さんは、まず現在の自由貿易体制の基礎について、とても丁寧に分かりやすくお話になりました。貿易自由化とは他国との輸出入に対する関税や規制を減らすことであり、生活水準の向上や経済の拡大に寄与するものだと言います。そして、現在の自由貿易体制の中核であるWTOについて、その基本的原則である「関税の譲許」・「数量制限の禁止」・「無差別原則」や、紛争解決のルールなどを詳しく説明なさいました。
その上で、近年の日本も直面する自由貿易体制の危機について、現状どのような問題が起きているのか、各国がそれにどのように対応してきたのかをお話になりました。中国による輸出管理、米国の関税措置などを皮切りに、保護主義や経済安全保障への大きな流れが見られます。そのような中でも、ルールに基づく自由で公正な国際経済秩序を維持していくことが重要であるとのことです。そして、対応として検討されているWTOでの意思決定方式・途上国地位・紛争解決制度の改革などについて説明なさいました。
会場からは、CPTPPや外務省でのキャリアなどについて質問がありました。日本とアメリカとの間で関税交渉が行われ、貿易が日本経済に与える影響が注目を集める中で、実際に日本の貿易政策を担う新井さんからお話を伺うことができ、学生にとって大変有意義な時間となりました。