2025.11.05[ニュース]
安部祥太・法学部教授が訳書『これからも闘い続けます——韓国の現職検事が語る、内部告発の決意と苦闘』を出版
安部祥太・法学部教授(専門:刑事政策、刑事訴訟法、韓国刑事法)が訳書『これからも闘い続けます——韓国の現職検事が語る、内部告発の決意と苦闘』(現代人文社)を2025年11月に出版しました。この書籍は、韓国でベストセラーとなったイム・ウンジョン著『これからも闘い続けます——内部告発検事、10年の記録と誓い』(メディチメディア、2022年)の『10万部記念スペシャルエディション』(2023年3月)を訳出したものです。韓国の現役検事(2025年10月現在)であるイム・ウンジョン氏が検察組織内での孤立を恐れず正義を追求し、組織内部から声を上げ続けた決意と苦闘の記録が紹介されています。
本書の巻末には訳者解説があり、安部教授は、韓国における検察制度論・検察官論や、韓国政治と検察の関係、検察改革の現在などについて説明しています。本編と合わせて読むことで、本書の理解が深まり、日本の検察制度や検察官にも関心を向けることにつながります。
安部教授は「イム・ウンジョン検事は、韓国の検察組織が抱える構造的問題を指摘しています。すなわち、位階的文化や無誤謬思考——『検察は間違わない』という思考などが存在することを指摘しています。そして、検察官同一体原則や組織の様々な文化・体質なども相俟って、個々の検察官が自らの信じる『公益の代表者』性を貫徹したり、意見を主張することが構造的に困難であることを明らかにしています。実は、このような構造的問題は、日本の検察組織も抱えていると指摘されて久しいです。本書が、強大な権限を持つ日本の検察のあり方についても考える契機となれば幸いです」と話しています。