法学部
K.G.

公務特修入門

価値対⽴が避けられない公共政策を学び 合意形成の実現方法を考える

法学部「特修コース(公務分野)」の導⼊科⽬です。公務分野では、公務員として重要な「合意形成能力」「政策企画立案能力」を実践的に養うとともに、幅広い政策分野の「専門的知識」、「公務の思考力」を身に着けることを目的としています。 
この授業と「公務特修実践演習A」(履修基準年度3年生)では、少人数での、文献購読・プレゼンテーション、ディスカッション、ロールプレイングゲーム等をつうじて、幅広い政策分野の知識を習得し、合意形成能力を涵養します。
政策分野は、福祉政策、教育政策、エネルギー政策、ICT政策、外交・安全保障政策、移民政策、公共政策と政府間関係を取り上げます。
ロールプレイングゲームでは、異なる役割(賛成住民、反対住民、事業者、行政等)に分かれて、「N市におけるごみの有料化」について、各役割のスタンスに沿って協議を行います。

授業の特長

こんな人におすすめ
  • 将来は公務員をめざしている人
  • 価値対立の不可避性と「合意形成能力」を実践的に養うとともに、幅広い政策分野の「専門的知識」と「公務の思考力」を身に着けたい人
  • (公務希望でなくても)3年生からのゼミや就活に備え、プレゼン能力を涵養させたい人
どんな学びや成長ができる?
  • 公共政策における価値対立と(価値対立における)合意形成について、理論(知識)と実践(スキル)を身に着けることができます。
  • 毎回教員が提示するテーマ・検討事項に対して、文献購読・調査・考察・議論・ふりかえりを繰り返すことで、幅広い政策分野の専門知識と、公務的な視点からの思考力を涵養することができます。
  • よいプレゼン(+質疑応答+プレゼン資料)とは何かを頭で理解してもらったうえで、45分程度という比較的長いプレゼンとそこからの質疑対応を経験。最後に、プレゼンに対する教員からのフィードバックを受けること等により、プレゼン能力を涵養することができます。プレゼンだけでなく、質疑対応も重要な要素だと考えており、丁寧に行っています。
  • 希望者に対しては授業外として、2年秋から受験できる国家公務員総合職教養区分に向けたサポートを別途行っています(参考書の提示・過去問提供、進捗アドバイス、授業内容と試験内容をリンクさせた授業、ES添削、模擬面接・アドバイスなど)。過去の受験学生は、約半年の準備で筆記(一次試験)を通過しています。もし興味があれば全力でサポートします。
授業の雰囲気は?

うーん、自分では何とも言えないですが、生徒主体、ディスカッションメインのクラスになるので、しっかりと授業の枠組みを整えたうえで、話しやすい雰囲気、楽しい雰囲気ができるよう心がけてはいます。これまでの授業では、みんな積極的に意見を言ってくれているような気がします。
ただ、学生間のディスカッションだけでは、そのテーマだけにとどまってしまうので、より広い視点からの見方、重要だと考える視点等は最後に教員からしっかり伝え、さらに深めていくことも心がけています。
公務員希望者が多いので、学生同士で切磋琢磨している印象があります。また、課題が結構多いため、良い面としては成長できますが、人によっては大変かもしれません(全員、毎週の授業前と後に課題があり、プラスαでプレゼン準備があります)。

担当教員が語る他にはない魅力

うーん、上記の授業内容は、自分なりに学生の皆さんに魅力に感じてもらいたいと思って設計しています。あとは、担当教員のこれまでの経験を踏まえ、理論/実践のどちらかだけでなく、理論と実践を架橋することの大切さや面白さも伝えることができるかもしれません。それは、社会に出てから、重要な要素になってくると思います。
また実務家教員として、授業という枠を超えて、学生のより良い人生に向けて、公務(公務員、公共政策等)だけでなく、社会に出てからの組織人として、何が正しく、どうすれば目標を実現できるかなどを折に触れて伝えることも自分なりに心がけています。

キーワード

公務、公共政策、価値対⽴、調整能力、合意形成、論理的思考⼒、傾聴力、コミュニケーション⼒、プレゼンテーション、国家公務員総合職教養区分

履修基準年度・担当教員

履修基準年度:2年生
担当教員(2025年度):小川 大和

授業計画

  授業計画
第1回 【オリエンテーション】
・授業概要の説明
・自己紹介
・第3、4回の役割の決定
・第5回から第12回までの授業における発表者の決定
第2回 【講義】
テーマ1:公務員とは(総論)
テーマ2:公共政策とは(総論)
テーマ3:政策過程とは(総論)
テーマ4:価値対立とは(総論)など
導入のディスカッション(テーマ:高校無償化=どのような価値対立があるか)
第3回

【グループワーク】
ロールプレイング会議:受講者を5つのグループに分け、担当教員から提⽰された社会的課題に関する共通シート及び役割シートに沿ってスタンスとその理由をまとめて発表することができるよう、各グループで準備する。

【発表】
ロールプレイング会議:グループごとにスタンスとその理由を発表する。

【グループワーク】
ロールプレイング会議:全体での発表を受け、どのグループに対してどのような内容をただすのかをグループ内で確認し、質疑応答の準備を⾏う。

第4回

【議論】
ロールプレイング会議:前回の準備作業を踏まえ、グループ間で質疑応答を⾏う。

【グループワーク】
ロールプレイング会議:記者会⾒に向け、前回の発表の場でどのような内容の主張をし、今回の質疑応答の場で他のグループからどのような回答を引き出したのかを整理する。

【発表】
ロールプレイング会議:グループごとに記者会⾒を⾏う。

第5回

【発表】
テーマ:福祉政策

【議論】
全体議論:福祉政策

第6回

【発表】
テーマ:教育政策

【議論】
全体議論:教育政策

第7回

【発表】
テーマ:エネルギー政策

【議論】
全体議論:エネルギー政策

第8回

【発表】
テーマ:ICT政策

【議論】
全体議論:ICT政策

第9回

【発表】
テーマ:外交・安全保障政策

【議論】
全体議論:外交・安全保障政策

第10回

【発表】
テーマ:移⺠政策

【議論】
全体議論:移⺠政策

第11回

【発表】
テーマ:公共政策と政府間関係

【議論】
全体議論:公共政策と政府間関係

第12回

【講義】
テーマ:どのように合意形成を進めていくのか―理論(合意形成とは何か、合意形成プロセスにおいて行うべきこと)

【議論】
全体議論:どのように合意形成を進めていくのか―これまでのアクティビティを踏まえて(合意形成とは何か、合意形成プロセスにおいて行うべきこと)

【講義】
・翌週に向けた導入講義
・ネゴシエーションゲームのグループ・役割等の決定

第13回

【グループワーク】
ネゴシエーションゲーム:受講者を2つのチームに分け、担当教員から提⽰された共通シート及び役割シートに沿って、各チームで合意⽂書に盛り込むべき事項の原案を検討する。

【発表・議論】
ネゴシエーションゲーム:交渉の相⼿⽅のチームどうしで合意⽂書に盛り込むべき事項を発表し、内容確認のために必要な範囲で質疑応答を⾏う。

【グループワーク】
ネゴシエーションゲーム:各チームで相⼿⽅の希望に対する対応策を検討する。

第14回

【議論】
ネゴシエーションゲーム:前回の検討作業を踏まえ、交渉の相⼿⽅のチームどうしで項⽬ごとに意⾒交換を⾏う。

【グループワーク】
ネゴシエーションゲーム:各チームで意⾒交換を踏まえた対応策を検討し、戦略を練り直す。

【議論】
ネゴシエーションゲーム:交渉の相⼿⽅のチームと合意⽂書の作成・締結を⾏う。

【発表】
ネゴシエーションゲーム:交渉のチームごとに合意⽂書を発表する。

ここまで読んだあなたへのメッセージ

いつも授業前に念じていることがあります(笑)。それは、学生に対して少しでも前向きなインパクトを提供できる可能性が少しでもあるのであれば、どのような状況でも(仮に学生が一人で居眠りをしていても)、丁寧に真心を込めて、全力を尽くして授業を提供するということです。
学生のみなさんに、履修してよかったと思ってもらえるよう、必要な能力をもっと引き上げられるよう、自分なりに努力していきたいと思います。もしよければ、法学部の特修コース公務分野、その入口であるこの授業でご一緒させていただければ幸いです。