国際学部 連続講演会(2015年度)

[ 編集者:国際学部・国際学研究科       2016年12月21日   更新  ]

関西学院大学国際学部は「国際事情に関する課題の理解と分析」を教育・研究上の目的とし、その目的の達成を通じて、「国際性」と「人間性」を備えた世界市民として、国際的なビジネス・市民社会で活躍できる人材を養成することを謳って2010年4月に開設されました。国際的視野を育成するための一助として各界の第一線で活躍されている方々を講師にお招きし、連続講演会を開催しています。

第69回 インドネシア、タイ、ベトナムの在大阪総領事3氏が講演

2015年12月1日

ベトナム、タイ、インドネシアの在大阪総領事3氏

ベトナム、タイ、インドネシアの在大阪総領事3氏

2015年12月1日(火)、「ASEAN 経済共同体正式発足に向けて-ASEAN Economic Community, Challenges and Opportunities-」と題し、インドネシア、タイ、ベトナムの在大阪総領事3氏を講師としてお迎えし、第69回国際学部連続講演会を開催しました。会場の関西学院会館には約200名もの学生・一般の方々が詰め掛けました。なお、この講演会は、グローバル人材育成推進事業の一環として、関西学院大学産業研究所の協力を得て実施しました。(司会:国際学部 鷲尾友春教授)

講演会は二部構成で、第一部に3氏に連続でご講演いただき、第二部に学生との質疑応答の場が設けられました。第一部では3氏ともASEAN 経済共同体(AEC)のキーワードを取り上げながら、自国とASEANのつながりやASEANの展望と関係付けてお話を進められました。キーワードには、GDP・人口ともに巨大な市場の誕生、コネクティビティ(連結性)、競争力の強化、加盟国間の発展格差解消、ASEANと多国間の経済連携や自由貿易協定などがありました。

ご講演のトップバッターを務められたのは、在大阪インドネシア共和国総領事ウィスヌ・エディ・プラティグニョ氏です。まずAEC設立に至る歩みを振り返り、ASEANとASEAN共同体の概略を説明されました。続いて、今回の講演のテーマであるAECの設立実施計画に盛り込まれた4つの柱(①単一市場と生産基地②競争力ある経済地域③公平な経済発展④グローバル経済への統合)の内容をスライドで具体的に説明されました。また、11月に行われた東アジアサミットでのインドネシアの優先課題(海運開発や海洋経済の持続可能な発展等)をご紹介くださり、島国としてASEANとの窓口である海をより積極的に利用していく方針であることを教えてくださいました。最後に2025年に向けたAECの展望と直近の日ASEANサミットの内容紹介の中で、日本からの災害マネジメント知識の提供や交換留学等を評価し、このつながりによって、日本とASEANの協力関係はより強固になると述べられました。


次に、在大阪タイ王国総領事デュシット・メナパン氏は、外国企業にとってのASEANの魅力を、世界第7位のGDPや6億2500万の人口といった数値を挙げて説明されました。また、ASEANの課題を地域レベル・国レベルで整理され、両レベルの戦略・利益バランスが大切だとされました。課題のひとつである「競争力」について、地域レベルでは域内の人々に対してASEAN共同体の存在を周知して競争力を付け、発展格差解消につなげる取り組みが必要であること、国レベルではASEAN加盟国がそれぞれの強み・弱みを知ることで他のASEAN加盟国に対する競争力が強化されること、また集団の持つ力について国民への教育が重要であることを指摘されました。最後に、物理的・制度的・人的なコネクティビティがASEANにとって重要であることを強調されました。物流を例にとり、タイには地理的強み(ASEAN隣国と地続きかつ域内中央部に位置)があり、アジアの物流拠点となり得ること、またその強みを活かして中国―タイ-インドをつなぐ交通インフラ整備のイニシアチブを取る計画があることを述べられ、ASEANの交通網がつながれば物流コストの削減につながるとの展望を示されました。

最後に、在大阪ベトナム社会主義共和国総領事のチャン・ドゥック・ビン氏は、加盟国には共通してインフラ整備等の課題があるが、協力してその解決に取り組むことで、チャンスを生み出せると述べられました。特に、コネクティビティについては、AEC発足で10カ国に渡る広大な市場に共通のルールが適用されるという状況は、ベトナムにとって貿易のし易さや、域内で旅行者や熟練技術者の移動の容易化につながると同時に、世界各国からの投資を呼び込むチャンスであると期待を示されました。日本の自動車産業を例にとり、活動拠点はベトナム、エンジン工場はタイやインドネシアに設置、とASEAN内で国をまたいだ製造ラインの設立が容易になると説明され、ASEAN各国が競争してビジネス環境の改善や競争力の向上に取り組めば、日本企業にとって進出先を選びやすい状況が生まれ、そのように日本とASEANが協働することで両者の友好と繁栄につながると締めくくられました。

第二部の学生との質疑応答の中で「将来ASEANを舞台に活躍したいが、大学生の内に身につけるべき能力は何か」との問いに対し、大切なのは今大学でできる自分のベストをつくすこと、ASEANの共通言語である英語力をつけること、そして実際に興味のある国を訪れて文化や伝統を学ぶことだというメッセージがありました。その他には、インドネシアでの新幹線導入計画についてやASEAN加盟国間の発展格差は解消できるかといった質問があり、総領事達は熱意を込めてお答えになりました。

ASEAN_集合写真

第68回 駐日ドイツ連邦共和国大使 ハンス・カール・フォン・ヴェアテルン 氏が講演

2015年10月13日

ハンス・カール・フォン・ヴェアテルン氏

ハンス・カール・フォン・ヴェアテルン氏

10月13日(火)、駐日ドイツ連邦共和国大使 ハンス・カール・フォン・ヴェアテルン氏を講師としてお迎えし、第68回国際学部連続講演会を開催しました。約180名もの学生・一般の方々が参加し、図書館ホールは通路にまで人があふれました。なお、この講演会は、グローバル人材育成推進事業の一環として、関西学院大学産業研究所の協力を得て実施しました。(司会:国際学部 鷲尾友春教授)

演題は「ドイツ再統一から25年 – ドイツと欧州の立ち位置とは」。本題に先駆けて大使は学生に対し「自分の頭で考えながら聞き、活発に質問をしてほしい」とメッセージを伝えられました。

ご講演はまず、ご自身の体験を交えたベルリンの壁崩壊当時のお話から始まり、再統一はドイツ近代史における最も喜ばしい出来事であるとし、ドイツを信頼し統一を支えた周辺国への感謝を示されました。また、自由を求めて立ち上がった東ドイツ人を称え、平和的革命であった点を評価されました。

次に、ドイツ再統一の現状について、失業率や1人当たりのGDP、人口移動数といった具体的な数値を挙げて東西を比較し、真の統一は道半ばであるとしながらも、旧共産圏の国々と東ドイツとの比較では、東ドイツの成長は目覚しいことを説明されました。さらに、かつてベルリンでは住民が東西どちらの出身者であるか一目瞭然であったが、現在は判別が付かないほどその差は小さくなっていると述べられました。

最後に、ドイツと欧州の関係について、ドイツ再統一は欧州の統合と歴史的に密接な関係にあることを説明され、ECSC(ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体)の設立を例に、欧州の統合によって生まれた現在の平和を強調されました。また、財政危機や難民といった新たな問題にも触れられ、特に難民受け入れについては、第二次世界大戦後にドイツが国際社会から受けた恩に報いる機会と捉えていること、ドイツ国内でも受け入れ態勢や方法について活発な議論があることを教えてくださいました。

ご講演後は、パネリストの学生やフロアーとの質疑応答が行われました。いくつかの質問への答えの中でドイツのリーダーシップについて触れられ、国際的な問題の解決にあたりドイツがリーダーシップを発揮しすぎるのは問題だが、全く発揮しないのはさらに問題だという声があることを紹介されました。財政危機解決の采配を振ったドイツというイメージとは逆に、実際は周辺国の声に耳を傾け、意見を押し付けることなく実務役に徹してきたことを説明し、今後もうまくバランスをとっていくことが大切だ、とされました。

寄せられた質問は、戦争謝罪の姿勢、歴史教科書の作り方、周辺国との友好関係の築き方、難民の受け入れや教育、フォルクスワーゲンの不正問題と多岐にわたり、それぞれの質問に対して、大使はユーモアを交えつつ丁寧にお答えになり、学生たちの顔には笑顔と真剣な表情が交互に浮かんでいました。

第67回 自由民主党 政務調査会 会長代理 小野寺 五典 氏が講演

2015年7月3日

小野寺 五典 氏

小野寺 五典 氏

7月3日(金)、自由民主党 政務調査会 会長代理 小野寺 五典氏を講師として、本学東京丸の内キャンパスにお招きし、第67回国際学部連続講演会を7月3日(金)午後6時~午後8時まで「我が国の防衛と安全保障」をテーマに開催しました。(司会:国際学部教授 鷲尾 友春)。

この討論・講演会には、東京在住の関西学院大学OB・OGの方々や、ポスターによる案内に応募された一般参加者、合計約80名と、上ケ原キャンパスからはSkypeを活用して約20名の国際学部生が参加し、活発な質疑が繰り広げられました。

小野寺氏は、日本の安全保障環境が厳しさを増している中、自らが防衛大臣や外務大臣政務官、あるいは外務副大臣等を務められた経験から得た、日本の安保体制に関連する法制上の不備や、運用主体である自衛隊の運用体制不整備等の問題点を、具体的に指摘され、しかしそれらは、逐次、改善されつつある、との現状認識を披歴されました。

例えば、これまで陸上自衛隊と海上自衛隊との間で、装備が必ずしも統合運用されておらず、3.11の災害救援に際して、当初、最も早く救援に駆け付けたのが、大部隊を擁する北海道勢ではなく、九州勢であった、との意外な事実を紹介されました。何故、北海道からの部隊の到着が遅れたのか、その原因は、陸上自衛隊が保有する大型トラックを海上自衛隊の艦船に積んで津軽海峡を渡ろうと試みたが、海上自衛隊の船は陸上自衛隊の大型車両を輸送するような設計になっておらず、北海道と東北の間の海を陸上自衛隊の大型トラックが越えられなかったため、それ故、陸続きで駆け付けた九州の部隊が、逸早く被災地で救援活動に従事することになったのだ、とのこと。

また、フィリピンでの災害救助に日本の自衛隊が出動した時も、同じような問題が発覚したとして、次のような事例を紹介されました。それは、自衛隊のヘリコプターの大保有主体は、陸上自衛隊だが、そのヘリコプターを海外に持って行くには海上自衛隊の船に積まなければならない。これまで、あまりその種のことが想定されておらず、フィリピンの災害救援の際に初めて、この種の海上自衛隊・陸上自衛隊の共同作戦が必要となったのだが、実施してみると、陸上自衛隊のヘリコプターの羽が大きすぎて、海上自衛隊の船の格納庫に入らず、そのために、羽の部分を解体せざるをえなかった。その解体に2日、輸送に3日、そして現地での組み立てに2日かかり、結局、フィリピンで自衛隊が積極的な救援作業を開始するまでに一週間近くもかかってしまった。こうしたことを考えると、米軍のオスプレーは、自動で羽がたためる様になっており、実際、オスプレーなら羽をたたむのに2分で済んだ。緊急時に、時間節約は極めて重要な要素で、こうした点からもオスプレーの導入に踏み切った。オスプレーの安全性の担保が問題なら、むしろ自衛隊自らの手で、そうした安全性担保の措置を講じることこそが、為さるべきだと考えるべきではないのか、とのこと。

小野寺氏は、こうした具体的事例を次々と提示され、問題点は次第に明らかになり、それと共に、運用上の課題も解消されてきている、と最近の改善ぶりを説明されました。
講演はその後、尖閣諸島を巡る米国の基本姿勢(尖閣列島は日米安保の対象)や、そうした基本姿勢に立脚しての日米の姿勢の強固化が中国に対応ぶりを変化させ始めたとの認識等に及び、さらに、こうした外交と安保の表裏一体運用こそが、日本の平和を盤石のものにするのだとの持論を展開されました。

お話はその後、集団的自衛権の問題に移り、南スーダンでの国連のPKO活動従事の自衛隊が、想定上直面しなければならない課題等を紹介する形で、集団的自衛権の必要性に言及されました。日本の自衛隊は、現地でキャンプ地造営を担当しているが、その隣に国連職員の宿営地があり、仮にここがゲリラなどに攻撃され、近接の自衛隊に救援要請が来た場合、現行法上では、すんなりと要請には応じられない。現行法では、自衛隊が攻撃されて初めて、反撃出来る仕組みだが、自衛隊自体が攻撃されていない状況では、たとえ近接の国連職員救援のためには出動することが出来ない。結局は、現地司令官の個人的判断で、しかも志願者を募るやり方で従事隊員を集め、おもむろに近接の国連施設を偵察に出かけ、そこで敵の攻撃をわが身で受けて初めて、反撃が出来る。このような、自分がまず撃たれて、初めて正当防衛的対応をするしかない、それはやはり問題ではないか。こうした認識に立ち、小野寺氏は、現地の司令官の個人的責任と判断で、ことに処するようなやり方ではなく、やはり政治家が大基の問題をきちんと整理して、現地がそれに基づいて動ける体制を整えることこそが必要、と述べられ、講演を締めくくられました。

後半は、小野寺氏と東京会場の方々と上ケ原キャンパスの学生とのディスカッションおよび質疑応答が行われました。集団的自衛権、砂川事件、普天間基地移設問題、米軍との関係について、少子化による自衛隊員の人数・質の確保について、平和安全法制による自衛隊の声、戦争経験者世代の声について等々、多数の質問が寄せられました。小野寺氏は、各質問に対して丁寧に回答してくださいました。

第66回 読売新聞大阪本社 代表取締役会長 弘中 喜通 氏が講演

2015年6月30日

弘中 喜通 氏

弘中 喜通 氏

6月30日(火)、読売新聞大阪本社 代表取締役会長 弘中 喜通氏を講師としてお迎えし、第66回国際学部連続講演会を開催しました。約60名の学生・一般の方々が参加しました。なお、この講演会は、グローバル人材育成推進事業の一環として、関西学院大学産業研究所の協力を得て実施しました。(司会:国際学部 鷲尾友春教授)

演題は、「ジャーナリズムとしての新聞」。冒頭、弘中氏は、昨年、大きな社会問題となった朝日新聞社の慰安婦報道や福島原発吉田所長調書の報道の誤りを取り上げ、新聞業界全体が失った信頼を回復・再生するためにも、今一度新聞に求められる役割は何か考え直す必要性があると述べられました。

朝日新聞がスクープした1980年のリクルート事件、毎日新聞が報道した考古学会の神の手事件、ワシントンポスト紙がニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件等、報道されなければ闇に葬られたであろう事件を報道すること、これが新聞、メディアの大きな役割だと考えていると主張されました。

現在は、“見た”、“知った”ことを誰でもネットで発信できる、そういう意味では一億総発信時代となっている。しかし、“見た”ことは事実でも、その背景について関係者に確認していくことは、組織を持った新聞社にしかできない。新聞社は、信頼性、正確性、専門性を重視し、報道への信頼を裏付けるために手間暇を惜しまない取材と徹底的なチェックをしている。弘中氏は、朝日新聞がリクルート事件を報道するまで半年かけた事例を挙げながら、新聞が持つ信頼性の高さについてもお話されました。

講演会後半は、弘中氏と学生とのディスカッションおよびフロアーとの質疑応答が行われました。新聞への信頼を取り戻し、読者を増やす具体的な方策は何か、他紙との差別化はどうはかっているのか、新聞社での女性の労働環境について、プライバシーと表現の自由のバランスについて、イラクで襲撃され死亡したフリージャーナリストの自己責任論について、政治報道の在り方について等々、ジャーナリズムに特化した質問が寄せられました。

第65回 駐日パキスタン特命全権大使 ファルーク・アーミル 氏が講演

2015年6月18日

ファルーク・アーミル 氏

ファルーク・アーミル 氏

駐日パキスタン特命全権大使ファルーク・アーミル氏をお迎えし、第65回国際学部連続講演会を6月18日(木)に開催しました。ご講演、ディスカッションとも英語で行われ、学生・教職員約120名が参加しました。この講演会は、グローバル人材育成推進事業の特別講演会として、国際学部により実施されました。(司会:国際学部 鷲尾友春)。

テーマは、“Looking Forward: Pakistan in the 21st Century” 「未来への展望:21世紀のパキスタン」。
「パキスタンは、平和と民主主義、価値観の共有などで、日本と密接に繋がっています。パキスタンは、日本を、南アジアの地域において平和と安定を維持し、発展するための重要なパートナーだと認識しています。」

「パキスタンの大統領は、近隣国の平和、安定、繁栄なしにパキスタン国内の平和と経済的発展は達成できないと常々述べています。パキスタンにとって、近隣国との繋がりは成長に欠かせないものであり、こうした精神に沿って、私たちは近隣諸国と道路や線路、海上路線を強化し、物理的な繋がりを強めています。ガスなどのエネルギーをパイプラインで繋ぎ、近隣国と共有することは争いを少なくすることになります。これらが21世紀に実現させなければならないことです。バランスの取れたアプローチで近隣国や、遠くの国とも友好関係を築いていきます。」

「パキスタンが平和維持活動(PKO)を行っていることは日本では一般的に知られていないと思いますが、現在、7つの平和維持活動を行っています。2011年にはパキスタン人の女性が世界で初めてUN’s International Female Peacekeeper Awardを受賞しました。」

「女性の社会的地位の向上を目指し、憲法も国民生活の全領域における女性の完全参加を保障しています。法制度をしっかりと確立しなければ、女性の社会進出、活躍は進んでいきません。現在、女性たちは農業、産業、ビジネス、国軍、法律制定の場に誇りを持って参加しています。特に女性国会議員の数では、25か国の先進国を抑えて世界で74位という立派な位置にいます。そして、パキスタンの民主政治で一番強調しておきたい点は、2013年に初めて民主主義的手段で円滑に政権交代が行われたことです。」

「日本とパキスタンの友好関係は1911年から始まっており、初めてカラチに日本の貿易会社が1918年にできて以来、現在では75の日本の会社がパキスタンで経済活動を行っています。日本のJETROやJICAから経済面だけでなく、教育面等その他多くの分野で協力を頂いております。そして四方山に囲まれた地域でJICAの協力で日本とパキスタンの友好トンネルも作られました。」

大使は、ご講演の最後にシャリフ首相の21世紀の展望を紹介されました。
「民主的かつ進歩的な国をめざすこと。そして戦争のない平和で安定した地域をつくっていくこと。平和と繁栄の為に近隣国とwin-winの関係を築き、より大規模な貿易の繋がりを持つことで持続した経済的発展と成長をすることというものです。」

第二部のパネルディスカッションでは学生パネラーに加え、会場からも質問が積極的に提起されました。そうした質問に対し大使は真摯に答えてくださり、最後に「私がいつも伝えているのは、どんな職業に就こうとも物事は自分が信じているように見えるということ。テレビでは大きな出来事のほんの一部だけが報道され、全体像は全く映されていません。誤った判断、誤解、差別、そして誰かの見解によって見方を変える前に、あなたたちには是非パキスタンに来て、実際にあなたたちの眼で物事を見て欲しい。」とメッセージを残されました。

第64回 シスメックス株式会社 代表取締役会長兼社長 家次 恒 氏が講演

2015年6月8日

家次 恒 氏

家次 恒 氏

6月8日(月)、シスメックス株式会社 代表取締役会長兼社長 家次 恒氏を講師としてお迎えし、第64回国際学部連続講演会を開催しました。約130名の学生・一般の方々が参加しました。なお、この講演会は、グローバル人材育成推進事業の一環として、関西学院大学産業研究所の協力を得て実施いたしました。(司会:国際学部 鷲尾友春教授)

「グローバル時代に若者に期待すること」と題した講演の中で、家次氏は、まず、神戸を活動拠点として、医療機器分野でグローバル展開をしているシスメックス株式会社の経営の歴史についてご説明されました。グローバル展開において、同社が、1989年ベルリンの壁崩壊、1990年代のIT革命、2003年のゲノム解読、IPS細胞の発見等、時代の流れ、社会・医療環境の変化に伴って、積極的に海外に事業展開を進め、着実に成長を続けてきた実績を紹介されました。ライフサイエンスの劇的な変化に、企業がどう対応していくかが鍵であり、環境の変化に応じた戦略が必要だと強調されました。

また、これからの医療環境についてもお話されました。先進国では高齢化や医療ニーズの多様化、新興国では人口の増加や医療インフラの整備が急速に進み、病気の予防や治療における検査の重要性が高まり、世界中で検査市場が拡大していくことが予想され、今後は、一人ひとりに合ったオーダーメイド医療の実現が求められていること等をお話されました。

さらに、グローバルな視点、外から日本をみること、違いを認め受け入れる重要性等をお話され、学生に期待する事として、次の3つを挙げられました。(1)Face to Face~積極的に関わり人脈を持つ、(2)情報に頼らない~好奇心を持って自分の目で見て考える、(3)外国語~コミュニケーション能力を高め自ら発信する。結論として、自分はどうなりたいか、何をしたいか、という志(目標)をしっかり持つことを強調され、「意あらば通ず Where there is the vision & the will, there is a way.」というメッセージを学生達に残されました。

講演会後半は、家次氏と学生とのディスカッションおよびフロアーとの質疑応答が行われました。グローバル企業の経営者として意識していることは何か、社員に人として大事にしてほしいことは何か、女性や留学生の雇用について、同社のグローバル人材育成への取り組み、企業業績を高めるため心がけていること、戦後の急成長をリードしてきた秘訣等、特に経営戦略に関する質問が寄せられました。

講演会終了後、学生達から、「神戸からメイドインジャパンを発信し、グローバルマーケットを開拓していることに非常に関心をもった」、「経営戦略を学んでいるため、社会、顧客、従業員に対してどのようなアプローチをとっているのか興味をひかれた」等、多数の感想がありました。

第63回 駐日アイルランド特命全権大使 アン・バリントン 氏が講演

2015年5月26日

アン・バリントン 氏

アン・バリントン 氏

第63回国際学部連続講演会は、駐日アイルランド特命全権大使 アン・バリントン氏を講師としてお迎えし、5月26日(火)に開催されました。この講演会は、グローバル人材育成推進事業の一環として、関西学院大学産業研究所の協力を得て実施され、約80名の学生・一般の方々が参加しました。(司会:国際学部教授 鷲尾友春)

講演テーマは、「日本とアイルランド:相違点より多い類似点」でした。バリントン大使は、アイルランドの歴史や文化、経済、政治、自然に至るまで幅広い内容をパワーポイントで大変わかりやすくご説明されました。

「英国、米国、そしてEUが、とりわけアイルランドの発展に大きな影響を与えてきました。約460万人のうち、14歳以下が20%、3分の2が15歳から65歳、65歳以上は12%、人口増加率2%以上と、若い国です。学校で古代ヨーロッパのケルト語をルーツとするアイルランド語を教えますが、皆が英語を話します。シャムロック(クローバー)は、セント・パトリックがアイルランドにキリスト教を布教した三位一体を表す平和のシンボル。気候は、ブラジルからの暖流でめったに雪積もなく穏やかです。日本よりずっと小国ですが、同じぐらいのツーリストが来る世界的観光国。緑の田舎と豊かな観光資源に恵まれ、西海岸は世界で最も美しく、謎と神話にあふれています。」

「農業国でしたが、25年前から金融、医薬、ITなどハイテク産業分野で大きく発展しました。2008年のリーマンショックで銀行への巨額な財政支援が必要となり、EUやIMFからの金融システム規制が導入されましたが、昨年その改革が完了し、結果、これも昨年、EU域内国で最高の5%の成長率を記録しました。今年も成長が期待されています。製薬、化学、生命科学やITなどの分野で海外から多くの投資を呼び込むことに成功し、それら外資の多くの欧州本部がアイルランドに置かれています。」

「日本とアイルランドにはとても古くからの文化があり、ケルト神話には日本とよく似た話が数多くあります。ケルト文化といっても、伝統音楽、美術、文学、詩など多様です。国際ダンスフェスティバルも開かれ、スイフトなどのノーベル賞作家もアイルランドから出ています。多彩な海産物、牛肉、乳製品は日本にも輸出されています。2013年6月に安倍首相の来訪があり、交流が深まり、日本企業も多く進出してきています。両国は似たところが多く、違うところも多いですが、かつて同国出身のラフカディオ・ハーンが日本を愛し、西洋に日本を紹介したように、今後ともアイルランド大使として相互理解を深めたい。」とお話されました。

講演会後半は、いつものように学生とフロアーからの質疑応答が行われました。国民投票で認められた同性婚について、アイルランドの高度経済成長の理由の1つとしてEUに加盟したことがあげられるが、EUとの今後の関係性とEUの未来についてどう思われるか、現在の英国との関係について、EU内の人の移動についてどう思われるか、かつて世界に流出したアイルランド系の人々を自国に帰国促進する政策(人材誘致)について等々、アイルランドの経済成長やEUの将来や課題に関する質問が寄せられました。

講演終了後、バリントン大使は、ご多忙中にもかかわらず、国際政治・国際関係に関する研究に取り組んでいる学生研究会のディスカッションにも快く参加してくださり、学生との学びの一時を楽しんでおられました。

第62回 駐日イスラエル特命全権大使 ルツ・カハノフ 氏が講演

2015年5月20日

ルツ・カハノフ 氏

ルツ・カハノフ 氏

駐日イスラエル特命全権大使ルツ・カハノフ氏をお迎えし、第62回国際学部連続講演会を5月20日(水)に開催しました。この講演会はグローバル人材育成推進事業の特別講演会として経済学部「経済学セミナー」との共催により実施されました。また、この講演会では、現在国際学部にイスラエルより来られているエフラット・ベンジブ客員教授の研究発表も行われました。(司会:経済学部教授 井口泰)

「日本イスラエルの経済協力と文化交流」をテーマとしてカハノフ氏は、イスラエルの国の成り立ち、経済発展の要因や日本での活動をわかりやすく説明してくださいました。
「イスラエルは国としてはとても若く、移民から成り立つ国家であり、その移民が経済的負担の理由にもなっていますが、彼らから新しい能力、アイディア、エネルギーを注入してもらっています。移民問題などの課題や困難を乗り越えることが力と革新の源となっています。」

「イスラエルは民主国家であること、最近になってガス田を地中海で発見したものの国内に資源がなく国家の発展を人的資本に頼っていることが日本と共通しています。また、国土の半分が砂漠で水資源に限りがあるため灌漑問題の課題に取り組み、周辺国の紛争から自国を守る防衛技術へ挑戦するなど、イスラエルの技術の発展は『課題への挑戦』に起因します。」と『挑戦』することの大切さを繰り返し強調されていました。

「日本とイスラエルはアジアの国々の中でも一番古く1952年から友好関係を持っています。現在はお互いの国の人々が多く交流できるよう、日本政府と観光・就労ビザの話し合いを進めています。そして、より多くの日本の若いリーダーたちにイスラエルにきてもらいたいと思っています。また、両国が協力を深めている状況で、技術分野における情報共有など、経済関係を促進する関西地区の拠点として大阪にオフィスを設ける予定です。」

エフラット・ベンジブ客員教授

エフラット・ベンジブ客員教授

大使のご講演に引き続いてベンジブ客員教授(国際学部)の研究発表が”Mental Maps: Perceptions of space, the case of Israel-Palestine”「中東におけるイスラエルという空間」というテーマで行われました。人種を問わずイスラエルに住む学生たちを対象としてイスラエルの地図を描いてもらい、彼らの頭の中でのイスラエルの国境を調査したもので、とても興味深い研究内容をわかりやすく説明して頂きました。

ベンジブ客員教授のご講演後に、大使の講演会の質疑応答の時間が設けられました。中東と日本の経済的関係、イスラエルでの女性の立場等に関して質問があり、大使と文化・科学技術担当官であるニール・ターク氏が一つ一つに真摯に答えてくださいました。ご講演中に大使が「日本人の方はすべての中東地域で紛争があり大変危険だという考えを持っているようですが、私はイスラエルが安全で安定しており、とても活き活きしている国だと断言します。」と述べられたように、ターク氏も旅行、留学問わず、ぜひたくさんの日本人の方々にイスラエルに来てほしいという思いを講演会の参加者に伝えてくださいました。

第61回 元世界銀行副総裁 西水 美恵子 氏が講演

2015年5月18日

西水 美恵子 氏

西水 美恵子 氏

第61回国際学部連続講演会は、元世界銀行副総裁 西水 美恵子氏を講師としてお迎えし、5月18日(月)に開催されました。この講演会は、グローバル人材育成推進事業の一環として、関西学院大学産業研究所の協力を得て実施され、約160名の学生・一般の方々が参加しました。(司会:国際学部教授 鷲尾友春)

演題は、「あなたの知らない世界銀行-元世界銀行副総裁が、世銀の実態と現場を語る‐」でした。冒頭、西水氏は、「貧困とは何か」という問いを学生に投げかけ、その後、貧困の生活を体験するために、パキスタン北部のカシミール地方でホームステイされたご自身の経験を話されました。そこでの生活は、毎日、日の出前に往復2時間かけて泉まで水を汲みに行き、家に帰って子供たちと朝食を食べ、ヤギに餌をやり、畑仕事をする。昼前にもう一度水を汲みに行き、お昼はお茶だけ。そして薪集め、洗濯、ヤギに餌をやり、また夜に水を汲みに出かける。夜の水汲みは、暑さと疲れで朝より時間がかかる。ホームステイ先のお母さん(アマ)が言った言葉は”This is not life. It’s just keeping a body alive”。人間的な生活ではなく、何の希望も持てない動物のような生活。気が狂ってしまいそうな生活。このような生活では人間として生きる最低限の希望すら持てない。アマが願うことは、「子供たちが教育を受けて、この生活を繰り返さないようにすること」でした。こうした実態が長い間、世界から見落とされてきた事だと語られました。

講演中、西水氏は、「経済学では貧困を経済発展の過程で起きる自然現象と捉えがちだが、現実は、悪統治、悪い政治がつくった人造現象である」とも述べられました。貧困層の唯一の希望は、子供たちが教育を受けて、より良い将来を生きること。しかし、学校建設事業にさえいろいろな汚職があり、大人の都合で建設されるだけで、アマの希望も否定され、人間として生きる最低限の希望が持てない生活が続く。

世界銀行の使命は、「貧困のない世界をつくること」。世界銀行が教育に力を入れるのは、こうした貧困をなくすことだ。世界銀行の手続きは、うるさい、面倒くさい、時間がかかるなどと言われることが多い。例えば、公平で質の高い教育への融資を行うために様々な条件を設定するが、その条件のねらいは、一国の良い統治の下で、いい教育制度が築かれること。そのためには、いくら時間がかかっても、国家を私有化する様々な汚職や、それに関わるマフィア的な権力とさえ闘わなければならないのが現実だ。

ご講演後には、学生代表・会場参加者とのディスカッションが行われました。西水氏のご希望により、学生達やフロアーからの質疑応答にいつもより長い時間が充てられました。世界銀行の融資を返済し終えるまでに国民がより豊かになるために最も大事なことはなにか、少数民族への教育環境の確保にどのように取り組んでいるか、国際機関で働きたい人へのアドバイス、文化・宗教が大きく異なる国々で仕事をしていく上で大事にしている基準はなにか、女性の社会進出について等、たくさんの質問が寄せられました。

第60回 シルク・ドゥ・ソレイユ ディレクター クロード・ブルボニエール 氏が講演

2015年5月11日

クロード・ブルボニエール 氏

クロード・ブルボニエール 氏

シルク・ドゥ・ソレイユのディレクター、クロード・ブルボニエール氏を講師にお迎えし、第60回国際学部連続講演会を5月11日(木)に開催しました。ご講演、ディスカッションとも英語で行われ、学生・教職員約130名が参加しました。この講演会は、グローバル人材育成推進事業の特別講演会として、国際学部により実施されました。(司会:国際学部 鷲尾友春)。

“Why was the world’s biggest circus company born in Québec? ”と題したご講演で、ブルボニエール氏は主にシルク・ドゥ・ソレイユの歴史と経営方針についてお話しくださいました。

「カナダのBaie-Saint-Paulという街でストリートパフォーマーをしていたギ・ラリベルテ氏が才能のあるパフォーマーを集め、1984年にシルク・ドゥ・ソレイユを結成しました。当初は様々な文化を融合した芸術的かつアクロバティックな鍛錬を行い、シルク・ドゥ・ソレイユの特性を懸命に作り上げました。」

「現在、シルク・ドゥ・ソレイユは、芸術的な創造、演出、そしてパフォーマンスに献身する、ケベック発祥の国際的な組織となりました。私たちの使命は”世界中の人々の想像力をかき立て、感覚を刺激し、感情を引き出す”ことです。また観衆の視覚の記憶を変え、それを広げていく夢の創造者でもあります。」

「創設より約30年間、常にマーケットの成長と変化などに対応し続けきたことが成功の一つの理由です。もう一つ、世界各国で成功を収めるために、それぞれの国でその地域のエンターテイメントのマーケットを熟知している会社と強い絆のパートナーシップを結ぶことを大切にしています。例えば、日本では大手テレビ局と1992年からパートナーシップを結んでいます。これから新興国に進出する際にも必ず、現地のパートナーと揺るぎないパートナーシップを結ぶことが成功への道だと考えています。」

ご講演後には、学生代表・会場参加者とのディスカッションが行われ、どのような人がシルク・ドゥ・ソレイユのメンバーに選ばれるのか、組織内での文化的・言語的相違の克服方法と、各国での講演を行っているのか、今後シルク・ドゥ・ソレイユはどのように変化していくのか等、国際的に活躍するシルク・ドゥ・ソレイユにふさわしい質問が寄せられました。ご講演の最後に「国際的な考えを持った人間になるには英語を学ぶことはもちろん大切なことですが、異なる文化に適応する柔軟性も重要です。よりよい人間になるために他から学び、世界に心を開き、世界中の人とコミュニケーションをとってください。」と学生へアドバイスをくださいました。

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