国連開発計画(UNDP)佐藤暁子弁護士による 講演会を開催しました
―ビジネスと人権― ~接続可能な社会に向けた企業の役割~
2026年5月14日(木)に国連開発計画(UNDP)ビジネスと人権リエゾンオフィサーとして活躍されている佐藤暁子弁護士をお招きし、ビジネスと人権をテーマとした講演会を開催しました(主催:国際学研究フォーラム(児島幸治教授企画) 共催:国連外交統括センター)。当日は、学生および教職員あわせて42名(うち教職員5名)が参加しました。
佐藤氏は、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく企業の人権対応を専門とされ、国際機関やNGOでの豊富な実務経験を有しています。講演では、企業活動が人権に与える影響や、企業に求められる責任について、具体的な事例を交えながら解説いただきました。
バングラデシュのラナ・プラザ崩落事故や、パーム油の生産現場における労働者の人権問題などを通じて、企業が自社だけでなくサプライチェーン全体における人権リスクを把握する必要性が示されました。また、企業活動の背景には、消費者である私たちの日常生活や選択も関わっていることから、問題を遠い国や一部の企業だけの課題として捉えるのではなく、社会全体で考える視点の重要性が共有されました。
さらに、近年重要性が高まっているテーマとして、気候変動と人権、紛争影響地域における人権対応、テクノロジーと人権の3点が挙げられました。これらの課題はいずれも特定の部署だけで対応できるものではなく、企業全体のガバナンスとして取り組む必要があることが強調されました。加えて、人権デュー・ディリジェンスを一度限りの対応ではなく、継続的なプロセスとして企業経営に組み込むことの重要性についても説明がありました。
佐藤氏は、人権リスクを完全にゼロにすることは難しいものの、リスクを把握し、対話を重ねながら最小化していくことが重要であると述べられました。また、参加者に対して、将来の就職先や企業を選択する際にも、人権の観点を意識してほしいとのメッセージが送られました。
本講演を通じて、参加者は、企業活動がサプライチェーン上で働く人々の生活や権利と密接に関わっていることを学びました。また、人権課題は特定の国や企業だけの問題ではなく、消費者としての行動や、将来の進路選択にもつながる身近なテーマであることへの理解を深めました。
今後、参加者が国際社会や企業活動について考える際に、人権の視点を一つの判断軸として持ち、誰もが尊重される社会の実現に向けて主体的に考え、行動していくことが期待されます。