2025.03.21.
社会福祉学科 森原里帆子さんがハワイ・ソーシャルワーク・セミナーに参加

社会福祉学科の森原里帆子さん(安藤幸ゼミ、参加当時3年生)が、ユニベール財団主催「第17回ハワイ・ソーシャルワーク・セミナー」の参加者に選ばれました。

本セミナーは、日本ともアメリカ本土とも異なる、ハワイ特有のソーシャルワークを学ぶ貴重な機会です。森原さんは、社会福祉士養成課程における240時間のソーシャルワーク実習を経たからこそ、さらなる学びへとつなげたいという思いで、本セミナーに参加しました。本記事では、森原さんのレポートを紹介します。

参考:ユニベール財団「 ハワイ・ソーシャルワーク・セミナー

【ハワイ・ソーシャルワーク・セミナー】

今回のセミナーは、ユニベール財団が主催し、2025年2月16日から3月2日までの15日間、ハワイで実施されました。参加者は、ソーシャルワークを学ぶ全国の大学院生や大学生20人でした。今回のセミナーでは、ハワイにおけるソーシャルワークの理論や実践に関する講義、福祉施設の見学、そして演習や発表の機会も設けられていました。

【セミナーへの参加動機】

今回のセミナーに参加しようと思ったきっかけは、昨夏に実施したソーシャルワーク実習の事後学習にあります。その学習の中で、同じ領域の福祉施設であっても、地域ごとに異なる特色があることや、地域によって提供される福祉サービスに違いがあることを学びました。

そこで、より広い視点で考えたときに、日本と他国では福祉制度やサービスにどのような違いがあるのかという疑問が生じました。福祉に関する情報は論文などを通じても得られますが、昨夏の実習から、実際に現場を訪れ、自分の目で見て体験することによって、より深い理解につながることを実感しました。そのため、今回のセミナーに参加し、日本とは異なる福祉のあり方を直接学ぶことで、知識の幅と深さを広げたいと思いました。

【セミナー内容と学び】

今回のセミナーは、「アロハ・スピリットを学ぶ」というテーマのもとで実施されました。まず、ハワイの福祉施設を複数見学しました。高齢者施設、重度障碍児の入所施設、女性刑務所、ホームレス支援シェルターなどです。これらの施設の中には、ハワイ在住のソーシャルワーカーであっても普段は訪問できない施設も含まれていることを知り、非常に貴重な学びの機会となりました。

また、ハワイ大学にて、現地の教授による講義を受講し、ハワイにおけるソーシャルワークの理論や実践について学びました。さらに、ハワイの伝統的な作物であるタロイモとココナッツの畑で収穫や植樹を体験し、農作業を通してハワイの文化を肌で感じることができました。

特に印象的だったのは、タロイモの収穫体験です。ハワイの人々にとって、タロイモは単なる作物ではなく、「祖先とつながる神聖な存在」として大切に守られてきた文化の一部です。そのような貴重な作物を、全員で泥だらけになりながら収穫したことで、自然と仲間との心の距離が縮まったように感じました。この瞬間、ハワイの人々が大切にする「アロハ・スピリット」を実感することができました。

【セミナーを通じた気づきと学び】

セミナー中、ハワイの人々が大切にしているスピリチュアルな考え方について学ぶ機会がありました。初めは、「スピリチュアル」という言葉に宗教的な意味合いを感じ、なかなか理解しにくいものでした。二週間のセミナーを通じて、自分なりにスピリチュアルについて考え続けましたが、明確な答えを見つけることはできませんでした。

しかし、メンター・セッションで実際にハワイの福祉現場で働く方とお話しする機会があり、その際に「Agree to disagree(意見の相違を認める)」という考え方を学びました。日本では、自分と異なる意見や価値観を受け入れることに抵抗があり、変化を好まない傾向があるように思います。一方で、ハワイでは、「あなたが私のことを理解できないことを理解する。あなたが私とは異なる考えを持っていることを受け入れる」という考え方が広く根付いており、対立を生むのではなく、違いを尊重する文化があることを知りました。

この話を聞いたことで、私は「スピリチュアルを今すぐ理解しようとするのではなく、それを大切にするハワイの文化を尊重し、受け入れることが大切なのではないか」と考えるようになりました。異なる価値観を受け入れることは、言葉にするのは簡単ですが、実際に直面すると難しさを感じるものです。今回のセミナーを通じて、自分自身はまだその考え方を十分に実践できていないことに気づくことができ、大きな学びとなりました。

【今後のキャリアへの活かし方】

今回のセミナーでは、福祉職を目指す多くの学生と出会い、それぞれのビジョンを聞く機会がありました。その中で、私自身も自分の興味のある分野について、さらに深く学びたいという気持ちが芽生えました。また、福祉に携わることは福祉職に就くことだけではなく、一般企業からのアプローチも重要であると感じました。特に、福祉従事者が不足している日本において、一般企業がどのように介入し、福祉の支援体制を構築できるのかを考えることが必要です。福祉の現場は、福祉職だけで支えるものではなく、社会全体で支援する仕組みを作ることが求められます。

そのため将来的には、福祉職に限らず、企業や地域社会と連携しながら、福祉の現場を支える体制づくりに携わりたいと考えるようになりました。今回のセミナーを通じて、福祉の実践をより広い視点で捉え、社会全体で支援の仕組みを整える重要性を学ぶことができました。

【最後にメッセージ】

ハワイ・ソーシャルワーク・セミナーが実施されることを、ゼミの指導教員から教えていただき、ぜひ参加したいと思いました。参加申込書では、志望動機やソーシャルワークについての考えや経験を問う多くの作文課題がありましたが、自分の思いや考えを精一杯綴りました。その結果、参加者の1人として選考に選ばれたときは、喜びよりも驚きの方が大きかったです。

英語でのコミュニケーションや海外渡航に不安を感じることがあるかもしれませんが、このセミナーは日本では経験できない貴重な学びの機会になります。実際に、私も現地での体験を通じて、新たな視点を得ることができました。興味のある人は、ぜひ挑戦してほしいです!