
学生 ゼミで得た視点や実習での学びを、 沖縄に持ち帰り生かしたい。
沖縄県浦添市出身。県外の大学で視野を広げ、その学びを故郷で生かしたいという思いと、高校時代に貧困の連鎖に気づき興味を抱いた福祉の分野が結びつき、人間福祉学部社会福祉学科に進学。日本手話の授業でろう文化を知り、「ソーシャルワーク実習」で多様な現場を体験し、ゼミでは地域活性化に取り組むなど学びを深めている。強みの一つとするため社会福祉士の資格取得を目指す。
グループワークで人の意見を聞こうとする姿勢が備わった。
沖縄から県外に出る人は少なく、私にとっても高いハードルでした。ただ、通っていた中高一貫校には「県外で学ぶのもいいこと」というスタンスの先生方が多く、自分自身もこことは違う場所があるんじゃないかと思うようになりました。家族の「たくさん学んで、楽しんで、帰っておいで」という後押しもあって、一度関西に出て異なる文化を知ることにしました。大学卒業後は再び沖縄に帰ると決めており、県外に出た以上は学んだものを持ち帰りたい、それは何だろうと考えた時に、福祉というワードがポンと浮かびました。沖縄の貧困や若年妊娠などの問題を扱った本を読み、そこにある課題の連鎖に気づいたことが大きかったと思います。漠然とですが福祉について知識を深めたいと思い、関西学院大学の人間福祉学部を選びました。
授業ではグループワークが多く、特に学生たちが付箋に意見を書いてボードに貼っていくという手法は、付箋を介するので気後れすることなく自分の意見を出すことができ、「これいいね」「これはちょっと」と自然なやり取りができます。いろいろな視点を得られるのがいいところです。私自身も、人の意見を聞こうとする姿勢が備わり、すぐに否定するのではなくいったん受け止めることができるようになりました。「言おう」「聞こう」という関係性を築きながら、正解がないことについてみんなで考えていけるのが、高校までの学びとは異なる点だと感じています。
日本手話を受講しろう者独自の文化に興味を持った。
1、2年生では、第2言語として日本手話を選択しました。手話というコミュニケーション技術を身に付けられたことに加え、日本手話は日本語の代替的な表現方法ではなく一つの独立した言語だということ、ろう者には独自の文化があることを自然な形で知ることができたのは大きな財産だと思っています。特に、ろう者の文化的な視点が聴者とは異なると知り、興味深いという意味での面白さを感じました。
3年生の今は「ラーニング・アシスタント」として、動画撮影の補助など先生の授業運営の手伝いをしたり、2年間の学びの集大成となる発表の方法などを履修中の学生にアドバイスしたり、先生と学生、双方の仲介的な役割も務めています。1対多の授業とは異なり、先生方とはより近くで、“個”として関われるからこそ充実した時間にしたいと考えています。つながりは学外にも広がり、10月には先生方が立ち上げたろうの子どもたちの運動会にボランティアとして参加させていただきました。
多様な人々の生活の場である地域について知りたい。
3年生からは安藤幸准教授のゼミに所属しています。1年生の時の日本手話の授業に安藤准教授が学生に交じって出席されており、その理由を伺うと「知りたいと思ったから」というものでした。そういう立ち位置で物事を考える先生がいることに驚き、「一緒にやりましょう」と手をつないで歩んでくれる感じが好きで、安藤准教授の下で学ぶことにしました。また、地域福祉や地域共生社会などを研究の軸とされており、多様な人々が混在し生活する場である地域について深く知りたいと思ったのも理由です。
ゼミでは今年の5月、奈良県の北東端にある自然豊かな山添村をフィールドに、学生サポーターとして、村の活性化や観光客増を目指す地域の取り組みを後方支援する活動をスタートしました。2つの大きなプロジェクトのうち、私が関わっているのは地元産ハーブなどを使ったオーガニック系化粧品、ヨモギを原料にした商品の開発です。どういう商品を作り、どのように売り出すかを地元の人たちと考えているところで、ヨモギ商品についてはみんなで候補を出し合ってブランド名が決まり、これから本格的に動き始めます。先日は取り組みの中間発表のために初めて山添村を訪ねました。村の豊富な資源を強みとして生かし地域の活性化を図るという考え方は、これまでの私にはない新しい視点でした。
顔を見ながらのやり取りで福祉の課題がより身近に。
将来に向け自分の武器の一つとするために社会福祉士の資格取得を目指しており、3年生の夏に約1カ月間、宝塚市社会福祉協議会で「ソーシャルワーク実習」を行いました。福祉におけるさまざまな領域の人が暮らしている地域に着目し、日常の生活を知るために児童館や障害者支援施設、高齢者のデイサービス施設などで利用者の方とコミュニケーションを取ったり、協議会の各課を見学したりしました。実習全体を通して、自分で見て、聞いて、感じられたことが一番大きな学びでした。障害のある方や、祖父母以外の高齢の方と関わるのはほぼ初めてで、現場で実際に顔を見ながら会話を交わしやり取りをしたからこそ、福祉の問題をより自分の身近なこととして受け止め、考えないといけないと強く思いました。
実習に当たっては、それぞれの施設は利用者の方々にとっていつもの生活の一部であり、そこに“お邪魔させてもらっている”という気持ちで臨みました。普段の生活を妨げることがないよう自然な距離感を考えながらコミュニケーションを取っていました。また、沖縄に何を持ち帰るかという視点から魅力的だったのが、宝塚市にある大型児童センターです。子どもたちが自由に活動でき、高齢者と触れ合え、相談もできる施設で、居場所としてすごくいいなと感じました。
みんなが温かい人間福祉学部は色で例えればオレンジ。
入学時に明確な目標があったわけではなく、関西という地域を知りたい、福祉について勉強したいという気持ちでシンプルかつナチュラルに学びを受け入れてきました。将来を模索しながら走り続けている感覚です。4年間で経験し身に付けた考え方やノウハウとともに、関西に出たことで沖縄の良さをより知ることができたもの大きな収穫でした。これらの学びを持って、卒業後は当初の志の通り、ふるさとに帰ります。その全てをそのまま応用できるわけではないと思うので、沖縄における福祉の現状や問題点を知ることがこれからの課題です。現在の一番の目標は、4年生の冬に社会福祉士の国家試験を受けて資格を取得すること。その資格を沖縄で生かすことができれば最高だと思っています。
人間福祉学部は先生も学生たちもみんな温かく、色に例えればオレンジや黄色といった暖色のイメージです。学部が入っているG号館への横断歩道を渡ると、「ああ、ホームだ!」とちょっとほっとします。これまでに授業やゼミなどを通じて知り合った友人たちはみんな頼りになる人ばかりで、支えられ、助けられています。どんな話も笑いに昇華させる能力は本当にすごいな~と尊敬します。毎日が楽しく、本当に友達や家族、そして環境に恵まれているなと感謝しています。