人間福祉学部
K.G.

学生 ソーシャルワーク実習で居場所の重要性を感じ、 空間づくりに携わる道へ。

社会福祉学科 4年生
竹内 優月さん
掲載日:2026.02.25

岐阜県出身。聴覚障害と発達障害の家族がおり自身も軽度の難聴で、「障がい者も生きやすい社会に貢献したい」という思いから手話を習得できる人間福祉学部社会福祉学科に進学。ソーシャルワーク実習ではさまざまなタイプの障害者と関わり、居場所の重要性を感じたことから、卒業後はインテリア業界への就職を決意。一人一人の心地良い空間づくりに携わる予定。

手話を習得して聾者と聴者のかけ橋になりたい。

重度の難聴の妹と発達障害の妹がおり、私自身も軽度の難聴で、小学生の時に初めて補聴器を付けました。その頃から、障害者を身近に感じていない人たちの視線を冷たく感じ、生きづらさを抱えるようになりました。誰もが暮らしやすい社会に変えたいと思うようになり、福祉について学べ、第2言語で「日本手話」を履修できる人間福祉学部を選びました。

日本手話の授業は12年生の2年間、週2回受講しました。うち1回は、聴者の先生から手話の歴史や相手に伝わりやすい手話のこつなどをクイズを交えながら楽しく学びました。もう1回は、聾(ろう)者の先生から実践形式で手話を学ぶとともに、聞こえないならではの暮らし方を教わったり、聾者のゲストを招いて交流したりしました。それまでごく簡単な手話しか知らなかったので、新しい表現を習得できるのがとてもうれしく、充実した時間でした。1学年下の授業では授業運営の補佐や履修学生の支援を行ったりする「ラーニング・アシスタント」を務め、聾者の先生やゲストの食事会にも参加させていただく中で「もっと手話がうまくなりたい」と思い、4年生になってからその先生が講師を務める手話教室にも通い始めました。今後は学んだことを生かし、聴者と聾者の架け橋になりたいです。

一人一人に合わせた支援を行うことが重要。

3年生の「ソーシャルワーク実習」では、大阪市内にある特別養護老人ホームに1週間、障害者支援施設に約1カ月間通いました。とりわけ障害者支援施設での経験が、視野を大きく広げてくれました。その施設は地域活動支援センターも運営しており、毎週開かれるサロンで障害者の人たちとゲームなどを通して交流、さまざまな人と関わるうちに障害の種類や程度はもちろん、各人の性格によっても柔軟な対応が必要だと実感しました。例えば、軽度の知的障害の人は自身を客観的に見ることができるため強い劣等感にさいなまれていたので前向きな気持ちになれるような声かけをしました。また、精神障害の人には頭の回転が速い人もおり、ゲームやおしゃべりの中で圧倒されることがしばしばでした。多様なタイプの人たちに最初は戸惑いましたが、徐々にその人の特性に合わせてコミュニケーションを取れるようになり、実習が終わる頃には利用者と支援者という立場を超えた信頼関係ができ上がっていました。一人一人と真剣に向き合った時間は私にとって貴重なものとなり、その後もアルバイトとして月に数回、施設の運営をお手伝いしており、利用者の皆さんとも交流を続けています。

涙を誘う障害者描写の危うさを学んだ。

ゼミは障害学や障害者ソーシャルワーク、精神保健福祉などについて研究する松岡克尚教授のクラスに入りました。松岡ゼミはグループでの活動が多く、印象に残っているのが、3年生の秋学期に取り組んだ障害者週間用の学内展示です。20人のゼミ生が3つのグループに分かれ、「感動ポルノ」といわれ障害者を題材に健常者を感動させようとするコンテンツの危険性を指摘するパネルなどを制作しました。私のグループでは、映画やドラマを分析し、問題のある描写を探りました。私は聾の男女が登場する作品を担当し、聾の女の子が「トートバックを使いたいけど手話の邪魔になるから無理なの」とか「好きな人の声を聴けてうらやましい」といったせりふに注目。聴者の同情を誘うような内容ですが、以前聾の方がこの作品に対して「私はトートバックも持つし、彼女のようには感じない」と話すのを聞いたことがあり、特定の聾者の描写が全ての聾者に当てはまると誤解を招く危険性に改めて気付かされました。

手話に対するニーズと現実のギャップを探りたい。

卒業論文のテーマは「聴者への手話教育の必要性について」です。第2言語の「日本手話」に定員オーバーで受講できなかった同級生がいることを知り、手話を習いたい聴者に対し学べる環境が十分に整っているのかが気になったのと、一方でどれくらいの聾者が聴者に手話の習得を求めているのかという疑問を持ったからです。まずは、聴者に「手話を学びたいか」「手話も一つの言語だと思うか」といったことや手話に関する基礎知識を、聾者には「聴者に手話を習得してもらいたいか」などを問うアンケートを作成、100人ずつからの回答を目標に、知人等を介して回答を求めているところです。結果からは聴者が手話についてどの程度理解しているかも分かるので、どのようなプログラムにすべきかなども導き出せればと考えています。

論文の導入では聾者の生活に言及する部分もあり、文献がなかなか見つからず困っていると、松岡教授から「他の障害にも範囲を広げて文献を集め、聾者にも当てはまることを探ればヒントになるかも」とアドバイスをいただき、解決につながりました。松岡教授は、いつも明るく前向きな言葉で私たちを後押ししてくださいます。

心地いい空間の重要性を感じインテリアの道へ。

1年生から3年生の冬まで、関西学院大学を中心に300人近い学生が所属するダンスサークルで活動していました。ジャンルごとに分かれ、私はヒップホップのチームで30人ほどの仲間と大阪のスタジオで練習に励みました。3年生の時にはリーダーを務め、遅刻をしたり練習中におしゃべりに興じたりするメンバーがいると、その都度11で皆でいいものをつくろうという思いを伝えてチーム全体の雰囲気を大切にしました。引退公演時には心を一つにしたパフォーマンスで言葉にできない達成感を味わうことができました。

就職は当初、福祉業界を考えていましたが、「ソーシャルワーク実習」で障害者一人一人にその人だけの心地いい居場所があることを知り、その重要性を感じてインテリアの分野からアプローチするのも面白そうだと方向転換、インテリアメーカーから内定をいただきました。配属先はまだ分かりませんが、自社製品で快適な空間を提案する広報の仕事や、障害者も使いやすい製品の開発に携わりたいです。それが、子どもの頃からの願いでもある「誰もが暮らしやすい社会」に少しでもつながればと思っています。